借景でアウトドア感を満喫、土間を書斎として使う:窓&玄関が絶妙の住宅事例4選
家づくりの際に、窓や玄関を工夫すると暮らしが快適になります。ここではそんな住宅事例を4つ紹介。「大きな窓をつくり、アウトドアリビングを生活に取り入れた家」「スペースが広くて、書斎や遊び場のように使える玄関のある家」「壁に窓がほとんどなくても天窓でどこも明るい家」…。家づくりの参考に。

Case1.テラス窓やドーマー窓で、自然環境を取り込む
本田さんの家 長野県 家族構成/夫45歳 妻43歳 長男9歳
設計/田邉雄之建築設計事務所 撮影/中村風詩人

造園家の本田浩さんが「自分の庭をつくりたい」と建てた住まいは、カラ松の外壁とテラス窓がよく調和し、田園風景に溶け込んでいます。この家の魅力は、大きなテラス窓やドーマー窓(屋根の上に突き出た小さな屋根つきの窓)のある開放的な空間。
庭を見下ろす最高の場所である北側のデッキは、本田さんにとって、庭づくりの構想をまとめるアウトドアリビング。このLDとつながる開口部に特注のテラス窓を設置しました。庭を眺めるピクチャーウィンドウになるばかりか、窓をあければ内と外との境界があいまいになり、自然を屋内に取り込めます。
また、2階には光と風をもたらす南向きのドーマー窓を設置。家じゅうがほぼ一室空間なのも手伝って、ここから取り入れた風が北側の大きな開口部に向かって吹き抜け、光も階段越しに1階のLDなどを照らします。光と風、庭を含めた自然環境を享受できる住まいです。

コンクリート敷きの工作用デッキに、玄関をさりげなく配した南側の外観。屋根にあるのがドーマー窓。

スリット状の床や蹴込みのない階段越しに、ドーマー窓からの光が階下に届きます。窓には、すべてLow-eガラスを用いた断熱サッシを採用。
Case2.緑を感じる3階建て。窓から美しい風景を取り込む
Tさんの家 東京都 家族構成/夫50代 妻50代 長男
設計/スタジオCY 撮影/水谷綾子

「緑道の景色を生かしてアウトドアリビングのような雰囲気が楽しめる、そんな開放的な家に住みたいと思いました」(妻)。
緑道を見下ろす2階は、両開きのガラス扉で室内と一体化するバルコニーとLDK。桜が咲く季節には窓の外が一面ピンク色に染まり、夏には緑に包まれます。

コンパクトな敷地を有効活用しつつ、全体のボリュームを抑えるため、建物は半地下を含む3層構造にしました。
1階は妻が自宅で開いているデトックスサロンと寝室、緑道を見下ろす2階にはLDKと洗面浴室、そして2つのバルコニーがあります。3階には、男の部屋と、広く気持ちのいいルーフテラスをつくりました。

3階ルーフテラスで夏を過ごす様子。「緑が生い茂る夏の景色も大好き。クーラーボックスに飲み物を入れて持っていき、お友達とバーベキューをしたりします」(妻)。
ここに水道栓とミニシンクも設置したのも大正解。何度もキッチンを行き来することなく食事が楽しめます。

窓が美しい景色を取り込み外を感じられる、心地よい暮らしが生まれました。
Case3.会話を生む、フレキシブルに使える玄関
Oさんの家 東京都 家族構成/夫40代 30代 長男10歳 長女8歳 二男6歳
設計/エキップ 撮影/水谷綾子

子どもたちが成長するこれから10年間は、家族が密に過ごす時間。そう考えたOさんは、親子のコミュニケーションが深まる家を建てました。注目したいのが、多目的に使える広い土間玄関。
大きなガラスをはめ込んだ引き違いドアが、屋外と住まいをボーダーレスにつなぎ、開感たっぷりです。「テレビを観て、くつろげる玄関にしたい。それに、早朝出勤や深夜帰宅があるので、書斎は家族に迷惑をかけない位置に」という夫の希望から、玄関には夫の書斎コーナーを設けることに。
今では、長男が上階で勉強中は、下の2人の子どもたちがジャマをしないようにと、ここでテレビやゲームを楽しむそうです。

南側の中3階に子どもたちのスタディールームをつくり、2階のLDKとオープンにつなげることで、南側からの日差しがキッチンまで届く設計に。

階段下のデッドスペースを生かしたシューズクローゼット。

土間床や書斎に敷いた人工芝で、半屋外気分を満喫。玄関ホールの間口も広くて、出入りしやすいプランに。
Case4.トップライトで家じゅう明るいエネルギーハウス
Sさんの家 宮城県 家族構成/夫40歳 妻33歳 長女5歳 二女3歳
設計/都市建築設計集団/UAPP 撮影/中村風詩人
Sさんの住まいはトップライトからの光と熱を上手にコントロールし、夏涼しく、冬暖かい快適な住環境を実現した環境共生住宅です。
周囲を家に囲まれていて、一見窓のない閉鎖的な印象ですが、光と熱を上手にコントロールし、のびやかな空間と一年じゅう快適な室内環境を両立しています。

西側の隣地が畑に使われていて開けていますが、ここにもやがて住宅が建つ予定。それを見越して壁面の開口部はご覧のとおり最小限。光はトップライトから取り入れます。

周囲を住宅に囲まれたSさんの家は壁に開口部を設けても眺望は望めず、プライバシーも保てません。そこで常に光を取り込めるトップライトを採用し、明るい室内空間を実現。

切妻屋根のトップに四角い窓を並べ家全体の採光装置としています。南端の窓は開閉でき、夏の熱気を逃がします。
周囲を閉じた家でも、屋根に窓をつくるだけで、暮らしはグンと快適になるという好例です。