元気だった頃は飼い主が作ったミニチュアの観光名所を楽しんでいたハムスター(画像は『KHON2 2022年10月11日付「UK woman travels 7,000 miles to Hawaii to scatter hamster’s ashes」(Courtesy: Lisa Murray-Lang)』のスクリーンショット)

写真拡大

亡くなったペットのハムスターに最後の旅をさせたい―そう願ったイギリス在住の女性は、3500ポンド(約56万円)をかけてハワイまで飛行機で飛んだ。コロナ禍に生きる意味を与えてくれたペットと最後の旅行としてこの計画を立てた飼い主の女性は、「私の人生に大きな影響を与えてくれた」とハムスターの存在の大きさを明かしている。『KHON2』などが伝えた。

【この記事の他の写真を見る】

英ウェストミッドランズ州バーミンガム在住のリサ・マリー=ラングさん(Lisa Murray-Lang、46)がペットでゴールデンハムスターの“スパッド(Spud)”を飼い始めたのは、パンデミックでロックダウンが始まる半年前のことだった。

ある日、リサさんが部屋の中でハムスター専用のエクササイズボールの中にスパッドを入れて遊ばせていたところ、ゴロゴロとボールを動かす音が聞こえないことに気づいた。リサさんが慌てて確認すると、スパッドはボールの蓋を開けて逃げ出してしまったことが発覚した。「スパッド! 出ておいで!」と必死に呼びかけると、幸運にもスパッドはしばらくしてから無傷でリサさんの前に姿を現した。

ロックダウンがいつまで続くのか誰にも分からない中で、このハプニングをきっかけにリサさんは「スパッドだってずっとロックダウンを経験しているんだ。しかも4匹の保護ネコたちに囲まれて!」と気がついた。ずっと狭いケージの中で生きていたスパッドに世界を見せてあげたいと考えたリサさんは、段ボールでミニチュアの観光名所を作ることにした。映画『ハリー・ポッター』シリーズに登場する架空のホグワーツ城やロンドンのバッキンガム宮殿、ハリウッド、エッフェル塔、凱旋門など様々なミニチュアセットを作り、スパッドはそのセットの中を動き回り世界中の観光地を冒険した。

ロックダウンで家にこもる生活が続き自営で行っていたペットシッターの仕事もほとんどなくなってしまい大きな不安に襲われていたリサさんにとって、この作業は良い気分転換になったという。

「スパッドは楽しんでいましたし、私も夢中になれました。スパッドが私の正気を保たせてくれたんです。ベッドから出る理由をスパッドが与えてくれ、私は諦めることも屈することもありませんでした。スパッドのおかげで私は生きているのです。」

リサさんはスパッドのために様々な観光地セットを作り続けたが、スパッドは今年3月に3年5か月の生涯を終えた。ゴールデンハムスターの平均寿命は2〜3年と言われており、スパッドは平均よりも少し長生きで、人間の年齢に換算すると138歳に相当するとリサさんは明かした。生きる理由を与えてくれたスパッドがいなくなり意気消沈したリサさんだったが、最後にスパッドを本当の旅に連れて行くことにした。

リサさんがこれまでに作ったミニチュア観光地のうちの1つに、ヤシの木やイスなどを用意してハワイをテーマにしたセットがあった。リサさんがこのセットを作っている間は4フィート(約1.2メートル)の雪が積もるほどの大雪に見舞われており、このセットをつくるためにハワイを調べていたことで元気づけられたという。このセットはスパッドのお気に入りでもあり、ハワイをスパッドの最後の地として選んだ。

そしてリサさんは夫ともに3500ポンド(約56万円)をかけて、バーミンガムからアムステルダム、ロサンゼルスを経てハワイのホノルルまでスパッドの骨壺とともに旅をした。

「コロナという恐ろしい時期を乗り越えなければならなかった時、スパッドは私を救ってくれたんです。スパッドの体は小さかったかもしれませんが、私の人生に大きな影響を与えてくれました」と話すリサさん。ワイキキ滞在中の今月14日に散骨のセレモニーを行い、遺灰を遺骨ネックレスに少し入れて、いつでも一緒にいられるようにしたそうだ。

画像は『KHON2 2022年10月11日付「UK woman travels 7,000 miles to Hawaii to scatter hamster’s ashes」(Courtesy: Lisa Murray-Lang)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)