●DJIの新アクションカメラ「Osmo Action 3」のポイントは?

中国DJIの新しいアクションカメラ「Osmo Action 3」が登場しました。見た目は一般的なアクションカメラですが、スマホ動画時代にふさわしい機能を搭載してきたのがポイントです。

9月中旬に販売が始まったDJIの新しいアクションカメラ「Osmo Action 3」。標準的なアクセサリーが付属する「標準コンボ」の実売価格は47,300円です

マグネットを使って縦横撮影が自在に!

DJIは、ドローンやスマホ用のスタビライザーで定評のあるメーカーですが、そのカメラ機能を生かしたアクションカメラ製品も投入しています。初代「Osmo Action」は、本体前面のレンズ側にもカラーディスプレイを搭載したデュアルスクリーンをいち早く採用したのが特徴でした。

2021年11月に登場した「DJI Action 2」は、ガラリとデザインを変更。カメラとディスプレイを搭載したほぼ正方形のカメラユニットに、マグネットで装着するフロントタッチ画面モジュールを組み合わせることで、同様のデュアルスクリーンを実現したユニークなモデルです。

超小型ボディを採用する「DJI Action 2」。スタンダードなPower Comboモデルの実売価格は34,650円前後

今回登場した「Osmo Action 3」は、ナンバリングこそ“3”ですが、DJI Action 2の後継ではなく、初代機の後継としてデザインを踏襲。そこにOsmo Action 2のエッセンスを追加したモデルとなりました。

前面と背面のデュアルスクリーンを継承するAction 3。デュアルスクリーンは自撮りにも使いやすいのがポイントです

背面には大型のタッチパネルディスプレイを搭載。物理的なボタンはありません

本体天面には録画ボタンとマイク。底面には後述するマグネットが装備されています

そのエッセンスは“マグネット”。本体底面にマグネットが内蔵され、付属のアダプターマウントがマグネットでピッタリと装着できるようになっています。仕組み自体はAction 2にもあったもので、自撮り棒などにマウントを装着しておけば、あとはマグネットで手軽に装着できるようになります。マグネットだけでなく爪を使ってロックするので、かなり頑丈です。

底面のマグネットマウントによって、自撮り棒や三脚などに簡単に固定できます

縦横の切り替えも簡単

【動画】マグネットマウントを使って、縦横の切り替えをしているところ。マグネットなのでピタッとくっつき、カチッと鳴るまで押し込めば固定されます。外すのも簡単で、マウント側の両方の爪を開ければ外せます。マグネットが強力なので少し力は必要ですが、簡単で素早い切り替えが可能です

このマグネットを使ったクイックリリース方式によって、複数のアダプターマウントを用意すれば、手早くカメラを移動して固定することができます。

もう一つのポイントが、縦位置でもマグネットで固定できるという点。本体側面にマグネットはないのですが、付属の保護フレーム側面に、本体底面と同じマグネットを使ったクイックリリースを搭載。横位置で撮影していても、すぐに取り外して縦位置で固定できます。

Action 3では「縦位置動画」を撮影するための機能が盛り込まれました。そのため、このクイックリリースによる縦横の切り替えがとても重要になります。正直、ビックリするぐらい便利な仕組みです。

縦位置にすると、画面のUIも縦位置になります

ちなみにマグネットなので、本体を鉄柱などに固定することも可能です。がっちりというほどではないので、ある程度の衝撃を受けると簡単に落下してしまうでしょう。保護フレーム装着時、横位置ではマグネットがフレームの奥にある形で、アダプターマウントでないと固定できません。基本的に、直接マグネットで鉄柱などに固定する使い方は想定されていないでしょう。

いずれにしても、マグネットで手軽に固定と取り外しができるのはとにかく便利で快適。個人的には、これだけでも欲しくなってしまいました。

動画SNSやVlogに最適な縦位置動画が撮りやすい

縦位置動画ですが、昨今はスマホで動画を撮影する人が多く、縦位置で動画を撮影する文化が生まれました。動画SNSと相性が良く、むしろ若い人はわざわざ横位置で動画を撮らない人の方が多いのかもしれません。

横持ちでのUI

こちらは縦持ちでのUI。実は、他社のアクションカメラでも縦持ちにするとUIは回転するので、Action 3だけの専売ではありません。しかし、Action 3はマグネットマウントで回転しやすくなっているのがポイントです

Action 3では、そうした動画SNS向けに「縦持ち」を完全サポート。これは、単に本体を縦に構えるというだけではありません。UIも全て縦位置になるため、操作性が縦横で変わりません。

Action 3を横持ちした場合、画面内の左右のスワイプで撮影モードの切り替え、左端の再生ボタンタップで再生、下から上へのスワイプで撮影設定変更、上から下へのスワイプでメニュー表示、右端のアイコンタッチでレンズ切り替え、といった形で、スワイプの方向とアイコンの位置で操作します。

縦持ちにしてもこれは変わりません。完全にUIが縦持ちをサポートしていない場合、縦持ちになった途端、撮影モードの切り替えが上下のスワイプ、撮影設定変更が左または右からのスワイプ、といった具合にあべこべになってしまいます。

スマートフォン、というのは画面が小さいですが、こんな感じでスマートフォン的な操作ができます

Action 3ではUIもきちんと回転するため、縦横で操作が変わりません。操作はタッチパネルで行うので、縦持ちで操作しているとスマホをいじっているような感覚です。あとはそのまま撮影すれば、縦位置動画が撮影できます。

個人的に、スマホカメラで縦動画は積極的に撮りませんが、昨今の動画SNSユーザーにとっては慣れ親しんだ形で撮影できるので有利でしょう。

実際に撮影していると、縦位置で写真を撮るような気分で縦位置動画を撮影したくなるシーンもありますので、そうした場合に撮影しやすいという点は利点です。

【動画】実際の動作を動画で。縦横を切り替えても操作感は変わりません

【動画】縦動画。こういった縦方向に長い景色だと、縦持ち動画もありかと思います

【動画】縦持ち+自撮り棒でドローン風の撮影をしてみたところ。あまりうまくはいきませんでしたが、手ブレをよく抑えられた映像になりました

前後どちらでも同じように操作できるデュアルディスプレイ

Action 3は、初代Actionと基本的な外観は変わらず、前後にディスプレイを備えた2画面のアクションカメラです。新たにフロント画面がタッチパネルになりましたが、これはAction 2のフロントタッチ画面モジュールを継承したといえるでしょう。背面と前面の双方がタッチ操作に対応し、どちらの画面でもすべての操作が利用できます。

【動画】前面のフロント画面もタッチ操作に対応。基本的にすべての操作が前面で行えます。スワイプするとレンズに指が当たって、ちょっと操作しきれないところはあります

前面でも背面と同様の操作が可能なので、自撮りでも迷うことがありません。また、一度固定したカメラを設定するのに、わざわざ背面に回り込む必要もありません。

カメラに対して前面からでも背面からでも、縦持ちでも横持ちでも、同じように使えるというのが、今回のAction 3です。

高度な手ブレ補正機能を搭載

撮影は、側面の電源ボタンを押して天面のシャッターボタンを押すか、電源オフ状態でシャッターボタンを押すと撮影が始まります。基本的にはアクションカメラなので、難しい設定は不要です。

側面には電源ボタンとUSB Type-Cポートを用意

もう一方には、バッテリー室+microSDカードスロットがあります。保護フレームを装着すると、こちら側の開閉はできなくなります

レンズは35mm判換算で12.7mm相当という超広角レンズ。前面のサブディスプレイもあるので、自撮りも完璧にこなせます。強力な手ブレ補正機能「HorizonSteady」によって、歩きながらでも安定した動画撮影が可能。もちろん、縦持ち時も手ブレ補正は動作します。

レンズは超広角レンズ。画角の切り替えとデジタルズームが可能

実際に撮影してみると、カメラがどれだけ傾いても、ぐるっと一回転させても水平を保ち続ける非常に強力な補正をしてくれます。ただし、この機能が有効なのは2.7K・60fpsまで。

手ブレ補正はほかに2種類あります。最大4K・120fpsまで対応する「RockSteady 3.0」は傾きの補正まではありませんが、歩行や自動車の揺れも問題なく吸収してくれます。もう1つの「HorizonBalancing」は、補正量を稼ぐためか超広角が選べなくなりますが、45度まで水平角度が傾いても水平に補正してくれます。こちらは4K・60fpsまでの動画が撮影できます。

【動画】車中に固定して撮影した動画。時速110km制限の高速道路なのでそれなりにスピードは出ていますが、かなり安定しています(これは元映像ではなく、カット編集のみしています)

【動画】1.5mの延長ロッドを使っていますが、ブレもなく安定した映像が撮影できます

このあたりの組み合わせがややこしいのですが、基本的にはRockSteadyを利用し、アクティビティに応じて使い分ける感じになりそうです。

【動画】暗部のノイズはやや感じますが、目に見えた通りという印象の夜景。あまり派手さはありません

●長寿命バッテリーで1日を通した撮影でも安心

見逃せないのがバッテリー駆動時間です。最大160分の長時間撮影に対応するほか、バッテリーの持ちが短くなりがちな低温の状況(-20度)でも最長150分の撮影が可能とのことですが、実際、動画や静止画を撮りながらの1日でも、意外にバッテリーが持続するという印象。

合間に撮影するぐらいならばバッテリー1個でも十分でしょうし、2個あれば積極的に撮影していても1日は持ちそうな印象でした。「Osmo Action 3 アドベンチャーコンボ」(実売価格は66,000円)ならバッテリーが3個付属し、さらに3個のバッテリーを同時に充電できる多機能バッテリーケースも付属します。このバッテリーケースはUSB PDに対応するので、80%まで18分で充電できるとしています。PD対応のモバイルバッテリーを併用すれば、まず充電には困らなそうです。

Adventure Comboには1.5mの自撮り棒(延長ロッド)やマグネットマウントが2つも付属しており、やや高価とはいえ便利に使えそうです。

手に持っているのが延長ロッド。筆者の身長は170cm

このように伸ばして撮影できるので、ドローン的な映像も簡単に撮れます

地上と水中撮影が切り替わる際などにホワイトバランスと露出を補正する色温度センサーや、3つのステレオマイクも備えるので、安定した撮影と高音質録音が可能なようです。水中撮影は今回実施していませんが、音に関しては前後の音もまんべんなく取得してくれて良好な印象でした。

「ACTION 3」のロゴにある左右の穴は前面マイク、「O」にあるのは色温度センサー

高度な手ブレ補正と高画質に満足

カメラのセンサーは1/1.7型。スマートフォンでいえばXperia 1シリーズが1/1.7型センサーを搭載していますが、比較的大きめなので、ダイナミックレンジや低ノイズが期待できます。ただ、画像処理の問題か、ノイズは比較的多めという印象です。

描写は自然な写りで、スマートフォンのような派手さはなく、見た目通り

ゆがみ補正もあるので、極端にゆがんだ映像にはなりません

広がりがあってインパクトのある写真が撮れます

撮影解像度は、動画で4K・30fpsだけでなく、60fps、120fpsでの撮影も可能。高画質なハイスピード動画が撮影できるのはうれしいところです。1080pなら240fpsまでサポートします。

レンズは単焦点ですが、デジタルズームは静止画で4倍まで、動画は手ブレ補正の有無とフレームレートで変わりますが、2〜4倍まで切り替えられます。レンズの画角は標準(ゆがみ補正)、広角、超広角の3段階から調節可能です。

撮影モードは最小限で、静止画、動画、スローモーション、ハイパーラプス。モード切り替えは画面スワイプのほか、側面の電源ボタン単押しでも入り替わります。ハイパーラプスの中にタイムラプスがあったり、動画の中にループ撮影設定があったり、他社のアクションカメラに存在する機能の一部は各撮影モード内あります。夜景モードのような機能はないようで、暗所撮影は弱めでしょうか。

作例

作例

暗所撮影の作例

画質は、十分な光源下であればスマホカメラと遜色ないレベル。超広角の広々とした写真が撮影できます。デジタルズームの画質はそこそこなのであまり期待しない方がいいでしょう。動画に関しては問題を感じない、さすがの画質です。

手ブレ補正の能力はスマホカメラ以上ですし、タフネス性能と超広角という特徴はアクションカメラならでは。Action 3はそれに加え、縦動画の撮影を重視したUI設計と、マグネットを使った使いやすさが特徴です。

もちろん、スマートフォン経由の操作にも対応します。画面が比較的大きく単体でも使いやすいAction 3ですが、スマートフォンアプリ「DJI Mimo」アプリの操作は快適。ただ、一部縦横が混在してしまうUIなので、逆に本体の方が縦持ちのUIは徹底している印象です。ただ、これはそのうちアプリのアップデートで解消するでしょう。

DJI Mimoの問題としては、Android版はGoogle Playからインストールできないことが挙げられます。検索しても発見できず、指定のURLからダウンロードしてインストールすることになります。iOS版はApp Storeからインストールできるため、本来ならばGoogle Playからダウンロードできるようにするべきです。

DJI MimoのAndroid版。右は撮影時のUI。微妙に縦横のUIが混在しています

アプリの機能としては、よくあるカメラコントロールや編集機能を搭載したアプリで、いたって普通に使えるよくできたアプリです。特徴的な機能としては「InvisiStick」があります。これは、動画内に写り込んだ自撮り棒を消してくれる機能ですが、ローカルではなくクラウド処理によって編集しています。

InvisiStickでは、まずアップロードをします。クラウド上で補正して、そのデータがダウンロードされます。それなりに時間がかかります

大元の延長ロッドが見える動画。こちらはロッドが消えています。ただし、完全に消えているわけではなく、持ち方ももう少し工夫しないとダメそうです

動画の時間にもよりますが、アップロード、クラウド編集、ダウンロードと続くため、結構な時間がかかります。ロッドは完全に消えるわけではないのですが、なかなか自然な形で消してくれますので、撮影方法を工夫すれば「ドローンで撮ったような空撮映像」風の映像は撮影できそうです。

全般的に、Action 3は完成度の高さと操作性の高さ、そして使い勝手の良さが光ると感じます。マグネットマウントだけでも十分購入価値があると感じますが、アクションカメラとしての充実した機能に加え、マグネットによるマウントのしやすさ、縦動画の撮影のしやすさ、バッテリー駆動時間の長さなど、ライバルに負けず劣らずの製品に仕上がっています。

小山安博 こやまやすひろ マイナビニュースの編集者からライターに転身。無節操な興味に従ってデジカメ、ケータイ、コンピュータセキュリティなどといったジャンルをつまみ食い。最近は決済に関する取材に力を入れる。軽くて小さいものにむやみに愛情を感じるタイプ。デジカメ、PC、スマートフォン……たいてい何か新しいものを欲しがっている。 この著者の記事一覧はこちら