「それでもすり抜けますか?」バイク目線で死角だらけ 県警の“実演”による注意喚起が話題
渋滞中に右折車を譲ったところ、自車の左わきをすり抜けてきたバイクと右折車が衝突するという「サンキュー事故」。その様子がSNSで話題になる中、神奈川県警がライダーの死角について注意喚起しています。
「すり抜け禁止」という法律はないが…
車列の左側をすり抜けるバイク(画像:写真AC)。
渋滞でノロノロ運転の最中、対向車が右折しようと合図してきたので車列を空け譲ったところ、自車の左わきをすり抜けてきたバイクと右折車が衝突した――このような動画がSNSで拡散し、いわゆる「バイクのすり抜け」について話題となっています。
これについて神奈川県警察本部の交通部交通総務課がTwitterで注意喚起。「この状況で、あなたはすり抜けますか?」のメッセージとともに、渋滞に見立てた車列をつくり、すり抜けをするライダーには死角が多数あることを訴えています。
模擬の車列ではクルマの前に人がしゃがみ込んでいますが、バイクからは全く視認できず。それどころか座高の高いクルマに阻まれ、2台前のクルマですらチラッと見える程度です。交通総務課は「『見えない=存在しない』ではありません。『いるかもしれない』という防衛運転をお願いします」としています。
冒頭の事故はしばしば「サンキュー事故」とも呼ばれます。右折車は譲ってもらった手前、急いで通過しなければという意識が働き、前方不注意のまま右折を開始してしまうというものです。右折車がもし、譲ったクルマの前で一時停止をしていれば、衝突は防げたかもしれません。
バイクのすり抜けが違法かどうかは、その行為が追い越しと追い抜きのどちらに該当するのかという点で、現場の規制などと照らし合わせて決まります。ただ今回の件は「車列の左側から追い抜いている(追い越している)」ことから、道路交通法第20条の3に規定される「追越しをするときは、その通行している車両通行帯の直近の右側の車両通行帯を通行しなければならない」に抵触する可能性があります。