さいたま市内の住宅街に、細い道のど真ん中へ階段が接続しているという、ある種ダイナミックな歩道橋があります。クルマは確実に通れませんが、カーナビ類ではあたかも通れるかのような表示に。なぜこうした歩道橋ができたのでしょうか。

そりゃバイクなら通れるかもしれないけどさ…

 ある日、さいたま市の住宅街の道をクルマで走っていたときのこと。カーナビを見ると、その先、県道との交差点の向こうも道が続いているので、直進するつもりでいました。しかし交差点に近づくと、その思いは打ち砕かれました。「あ、行けない…」。


道のど真ん中に接続している歩道橋(画像:Google)。

 県道に架かる歩道橋が、交差点の向こうの道の真ん中に接続しているのです。交差点の向こうは車のすれ違いが難しいほどの幅になるのですが、その、ど真ん中に階段が下ろされています。バイクや自転車は通れそうですが、クルマは確実に通れません。

 階段側に行ってみると、その道は通学時間帯に歩行者・自転車専用となる道路でしたが、一方通行規制ではありません。このためカーナビでは「通れそうに」表示されています。

 ここは、さいたま市大宮区、県道2号線に架かる「三橋歩道橋」です。市が実施する「ネーミングライツ歩道橋」のひとつで、企業名を冠した愛称もついています。

 なぜ往来を妨げるように、道路のど真ん中へ下ろされるのか。さいたま市道路環境課によると、歩道橋が架かったのは1968(昭和43)年と古く、旧大宮市時代であるため詳細はわからないといいます。ただ、南側にある小学校と中学校の通学路になっており、歩行者優先、安全優先でこうした仕様になったと考えられるとのこと。

 古い資料を追うと、歩道橋が架かる道と県道、そして通学先の三橋小学校とも昔からありましたが、1966(昭和41)年に三橋中学校が現在地へ移転、68年には校地が拡張されています。

 そうした状況で、交通量の多い県道を安全に渡るために歩道橋が架設されたのでしょう。階段で道をふさいでクルマを通行できなくすれば、さらに安全性も高まるので、目的にはそぐいます。

 このように道のど真ん中に下ろされる歩道橋は、ここ以外にも存在しますが、それぞれ理由がありそうです。