トレーラーハウスは基本的に車両に該当するため、一般的な住宅を取得した際にかかる固定資産税などの税金がかからない点がメリットです。今回は、トレーラーハウスの税金について詳しく解説していきます。

トレーラーハウスに固定資産税がかからない理由

固定資産税とは、毎年1月1日に土地や家屋、償却資産などの固定資産を所有している人にかかる税金のことです。その固定資産が所在する市町村(東京23区の場合は東京都)へ納税します。

一般的にトレーラーハウスは建築物ではなく、車両とされているため固定資産税はかかりません。ただし、設置基準を順守して設置する必要があり、自治体によって基準は異なります。また、トレーラーハウスの税区分は自動車になるため、不動産の取得時にかかる不動産取得税も対象外です。

トレーラーハウスが建築物に該当するケースもある

トレーラーハウスが車両扱いとなるには、いつでも移動可能な状態であることが条件です。移動できる状態にない場合、建築物とみなされるかもしれません。

たとえば、以下のようなケースは建築物に該当する可能性があるでしょう。

・階段やベランダなどの付属物が固定されていて、移動に支障が出る状態
・電気や水道を使うための配線配管を簡単に取り外しできない
・設置場所から公道に出るための道がない
・タイヤを取り外していて、ほかの場所に移動できない

このようにトレーラーハウスが車両とみなされるには、常態として移動できることが条件となります。付属物によって運転が難しい、公道に出る道がないなどの場合は車両扱いにならない可能性があるため注意しましょう。

トレーラーハウスに税金がかかるケースとは?

トレーラーハウスに税金がかかるケースには、建築物に該当する場合、車検付きトレーラーハウスの場合、事業所用として使用する場合の3つがあります。それぞれ解説していきます。

建築物に該当する場合
トレーラーハウスが建築物とみなされた場合、不動産取得税や固定資産税がかかります。不動産の購入時にかかる不動産取得税とは、土地や建物などを取得した人に対して都道府県が課税する地方税です。税額は「固定資産税評価額×税率4%」で計算しますが、2024年3月31日までに住宅として取得した場合は税率3%に軽減されます。

また、固定資産税は「固定資産税評価額×税率1.4%」で算出しますが、一定の要件に該当する場合は固定資産税が2分の1に減額されます。そのほか、市街化区域内に設置した場合は都市計画税がかかります。都市計画税の計算式は「固定資産税評価額×税率(制限税率0.3%の範囲で市町村が定める)」です。

車検付きトレーラーハウスの場合
全長12m、全幅2.5m、全高3.8mを超えない大きさのトレーラーハウスは自動車と同じ扱いになるため車検が必要です。

車検を受ける際に自動車税環境性能割、自動車税(種別割)、自動車重量税がかかります。たとえば、自家用貨物車3~4トン区分の場合の税額は、自動車税環境性能割が本体取得代金の3%、自動車税(種別割)は年額1万200円です。また、自動車重量税は初回が2年分の3万2,800円、車検時に1年分の1万6,400円を納める必要があります。

そのほか、自賠責保険の加入が義務付けられているため、車検取得時と車検継続時に保険料を支払わなければなりません。自賠責保険料の目安は月額5,140円(初回は25ヶ月分をまとめて支払うことが多い)です。

事業所用として使用する場合
トレーラーハウスを事業所用として使用する場合、固定資産税(償却資産)がかかります。減価償却税とは、土地や家屋以外に事業所用として資産を取得した場合にかかる税金のことです。取得価額10万円以上の車両や機械設備、備品、工作物などが対象となります。

計算式は「1月1日時点で保有している償却資産の評価額×1.4%」です。評価額は購入価格と減価残存率(1年間使用したあとの資産価値を算出するための割合)によって算出されます。

なお、トレーラーハウスの減価償却期間は4年となっています。通常の建築物よりも短い分、1年あたりの減価償却費の計上額が高いため、一般建築物よりも節税効果は大きいと考えられるでしょう。

トレーラーハウスを居住用として使うには?

トレーラーハウスを居住用として使うためには、ライフラインの整備やウッドデッキの設置をしておくとよいでしょう。

ライフラインの整備
トレーラーハウスで生活するには電気や給排水、ガスなどのライフラインを整備しなくてはなりません。ただし、建築物とみなされないためには、電気・給排水ともにすぐ取り外し可能なワンタッチ式のアタッチメントを使用する必要があります。

電気は一般的に30A~50Aの契約が可能です。給排水設備も設置できますが、ガスに関しては基本的にプロパンガスの使用となります。なお、テレビアンテナ・電話線に関しても、一般住宅と同様に設置可能です。

ウッドデッキの設置
トレーラーハウスはタイヤが付いているため、一般的な住宅よりも地面からの高さがあります。出入りをラクにするには階段やウッドデッキなどの設置が必要です。

ただし、階段やウッドデッキも工具を使わずに取り外しできる状態でなければ建築物とみなされ、不動産取得税や固定資産税の対象になる可能性があります。そのため、階段やウッドデッキの設置には工夫が必要です。

建築規制のある場所での対応

トレーラーハウスには車輪があり、公道を走り住居を移転できる特徴があることで、道路運送車両法の基準緩和が適用されています。建築規制のある場所で本拠地として使用すると脱法行為につながる可能性があるので注意しましょう。

建築規制のある場所でトレーラーハウスを利用し本拠地としての住居を構える場合、日本建築行政会議「車両を利用した工作物」の設置方法を遵守したとしても、脱法行為に繋がり日本の土地政策の根本を揺るがしかねません。 本拠地としての住居を建築規制のある地域においてトレーラーハウスで設置する正当な理由はなく、建築規制のない場所で、2世帯、3世帯住宅(いつまでとは言えないが期間の限られたもの)でご利用ください。

引用元:日本トレーラーハウス協会「トレーラーハウスの定義」

まとめ

トレーラーハウスは車両として扱われるため、不動産の取得・所有にかかる不動産取得税や固定資産税はかかりません。ただし、車両と認められるには、「いつでも移動可能な状態であること」などの条件があるので、事前によく確認しておくことが大切です。