堤礼実アナも度肝を抜かれた今村聖奈騎手の快挙達成。「彼女、本当に新人ジョッキーなの?」
堤 礼実連載:『華麗なるウマ話』第40回
スポルティーバとフジテレビの競馬中継番組『みんなのKEIBA』とのコラボ企画、堤礼実アナウンサーの連載『華麗なるウマ話』。今回は、3年ぶりに福島、新潟の競馬場からの放送が叶ったことをはじめ、今年も話題満載の夏競馬について話を聞いた――。
夏競馬はこの2年、新型コロナウイルス感染拡大の影響でさまざまな制限を余儀なくされてきました。『みんなのKEIBA』も現地の競馬場から放送することができず、ずっと残念な気持ちでいたのですが......。
3年ぶりにやってきました、福島競馬場!
東京や中山の競馬場には、もちろんそれぞれの魅力があるのですが、やはり地方の競馬場はレースを走る馬との距離が近いので、とにかく迫力がすごい。番組放送中にスタジオのモニターでレースを見ていても、窓の外から「ドドドドドッ」という馬の足音が近づいてくるのが、はっきりとわかるほど。臨場感をたっぷりと味わえます。
特に現在は、声を出しての応援が禁じられているので、その分、競馬という競技の"生音"を存分に楽しむことができます。馬の足音だけでなく、コロナ前ならほとんど耳にすることがなかった、ジョッキーの気合の叫び声などが聞こえてくることもあります。
かつてのような大歓声がない寂しさもありますが、リアルな音を聞くことができるのは、新たな競馬の楽しみ方のひとつだなと感じています。
3年ぶりに系列局のスタッフのみなさんと一緒に仕事ができたのも、個人的にはすごくうれしかったですし、先輩MCの佐野瑞樹アナウンサーにソフトクリームをご馳走になり、仕事の合間を利用してパドックを眺められたことも楽しかったです。やはり、生で味わう夏競馬は最高です(笑)。
8月からは新潟開催に合わせ、『みんなのKEIBA』も新潟競馬場から番組を放送しています。競馬場や移動の合間にでも何か美味しいものを食べられたらいいな、と願っています。
さて、今年の夏競馬最大の話題と言えば、何と言っても今村聖奈騎手の活躍でしょう。
小倉競馬場で行なわれたGIII CBC賞で、新人ジョッキーにして重賞初騎乗初勝利という日本競馬史に残る快挙を成し遂げました。
今村騎手が乗るテイエムスパーダは、スタートからすぐに先頭に立つと、前半600mを31秒台という驚異のハイペースで疾走。新人ジョッキーがこんなに思いきりのいい騎乗ができるなんて、本当にすごいなと感心しながら見ていたのですが、最後の直線に入っても脚色が鈍るどころか、むしろ後続を突き放す強さで、楽々と逃げきってしまいました。
しかもタイムは、芝1200mのJRAレコードを更新する1分5秒8。勝ち方があまりにも鮮やかだったことの興奮と、とんでもないレースを見てしまったという驚きとで、私は佐野アナやDAIGOさんと思わず顔を見合わせてしまいました。
と同時に、今村騎手の勝利ジョッキーインタビューを聞いていて、「馬は最高の状態に仕上げてもらったので、あとは人間(騎手)がどうアプローチするか。走るのは馬なので人間が気負っても仕方がない」。そんな言葉で冷静にレースを振り返り、落ち着いた受け答えをしていたことがとても印象的でした。
時折初々しい喜びを垣間見せるものの、いろんなことを冷静、かつ客観的に見ることができているのには、本当に驚かされます。
「彼女、本当に新人ジョッキーなの?」
そんな疑問が自然と湧いてくるほど、すべてが新人離れしていました。
こうなると、少し気が早いとは知りつつも、期待してしまうのは、この秋のGI騎乗ですよね。
GIに乗るためには31勝が必要ですが、今村騎手はすでに通算30勝(JRA26勝、地方競馬4勝/8月13日現在)を挙げているのですから、今の勢いや積極的な騎乗を見る限り、条件のクリアは時間の問題でしょう。さらに、彼女ならGIレースだからと特別な力が入ることなく、馬の能力を最大限に引き出す騎乗を見せてくれそうな気がします。
こうした今村騎手の活躍が、新人騎手をはじめとする他の若い騎手たちの刺激になれば、さらに日本の競馬界が盛り上がっていきそうです。彼女の活躍に刺激され、周りのジョッキーたちがどんな変化を見せるのか。そんな相乗効果にも期待しています。
また、レースとは別に夏の競馬界の話題と言えば、競走馬のセリ市『セレクトセール』。今年も7月に北海道で開催されました。
今年のセレクトセールは、総売上257億円超の史上最高額を記録。加えて、4億5000万円を最高に1億円超で落札された馬が53頭を数え、これまた史上最多の頭数となりました。
最近は競馬育成ゲームなどの影響もあってか、セレクトセールも一段と注目をされるようになりました。単に馬券を買うこと以外にも、競馬に興味を持つきっかけが増え、競馬への入り口が多様化した印象があり、そうした背景もまた、史上最高額更新に影響しているのかもしれません。
とはいえ、私にとっては正直、まったくピンとこない金額です。競馬番組を担当して6年目になりますが、「自分の馬を持ちたい」という発想に至ったこともありません(笑)。
でも、一度くらいは生のセレクトセールを見てみたいですね。6年前に比べれば、馬のことが少しはわかるようになってきた......気がしますから(笑)。
自分の"相馬眼"を試しつつ、一度は未来のGIホースや三冠馬を愛でてみたいです。
Profile
堤 礼実(つつみ・れいみ) 2016年フジテレビ入社。
1993年11月23日生まれ、米国カリフォルニア州サンノゼ出身。
血液型:O型。趣味:ミュージカル鑑賞、ダンス。
好きなもの:東宝ミュージカル、宝塚歌劇、ハプスブルク家、
パクチー、チーズ。
モットー:「一瞬一瞬を大切に」「意志のあるところに道はある」
『みんなのKEIBA』(毎週日曜・午後3時00分〜)
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