@AUTOCAR

写真拡大 (全5枚)

ブランドの長所が小さなボディに

メルセデス・ベンツの長所が小さなボディに落とし込まれた、190クラス。英国に残存する例を調べてみると、走行距離が30万kmを超えるクルマも珍しくない。

【画像】小さなボディに長所が凝縮 メルセデス・ベンツ190クラス 最新のCクラスと写真で比較 全86枚

適切なメンテナンスを継続していれば、その程度の走行距離なら問題なく受け入れてくれる。ボディの状態も、同じ年式のクルマと比べれば良好なものが多い。


メルセデス・ベンツ190クラス(W201型/1982〜1993年/英国仕様)

それでも、購入する場合は機械的な状態の確認は不可欠。エンジンで注意するべきは、フェイスリフト前の4気筒シングルカムに組まれているタイミングチェーンだろう。

走行距離が長くなるほどチェーンが伸びたり、不具合を招く率は高くなるため、11万km前後で交換する必要がある。フェイスリフト後のエンジンには、耐久性の高い2列ローラーチェーンが採用されている。

ヘッドガスケットの劣化は珍しくない。ラジエータークーラントを長期間放置することで、腐食防止剤の機能が果たせなくなることが原因のようだ。

ボッシュ社製のインジェクションは、定期的に乗っている限り信頼性は高い。だが、長期間乗らないでいると不具合を招く。

オートマティックは、フルード管理さえ怠らなければほぼトラブルフリー。マニュアルも、リンケージのブッシュとフルードが消耗品だが、それ以上のメンテナンスが求められることは珍しい。

リアのデフからフルード漏れがないか、異音が出ていないかは確認ポイント。ダッシュボードの警告灯が正常に消灯するかも確かめたい。

優れた品質や堅牢性を表現する端正な容姿

メルセデス・ベンツとして、オプションにはサンルーフやエアコン、パワーウィンドウ、パワーミラー、アームレスト、MBテックスと呼ばれたクロスやベロアの内装など、様々なアイテムが用意されていた。

またスタイリング・パッケージも、英国ではスポーツライン、AMG、コスワースから選べた。イメージ通りの190クラスを、時間を掛けて探したいところ。


メルセデス・ベンツ190クラス(W201型/1982〜1993年/英国仕様)

アンチロックブレーキ(ABS)を装備した車両には、オートマティック・デフロック(ASD)と呼ばれる機能が実装されていた。雪上などでトラクションを高めるため、25km/h以上でデフにロックが掛かるシステムだ。

サスペンションも耐久性は高い。スプリングが折れていないか、ボールジョイントが摩耗していないか、サスペンションから液漏れしていないかなどを確かめたい。ハイドロニューマチックを用いたセルフレベリング機能の動作もチェックポイント。

ツーリングカー・レースに影響され、社外品のダウンサスで、車高が落とされている例は少なくない。人気のチューニングといえたが、乗り心地と操縦性のバランスが崩れてしまうことはある。

ブルーノ・サッコ氏が手掛けたスタイリングが、今も魅力的に映るW201型の190クラス。秀でたメルセデス・ベンツが凝縮されている。端正な容姿は、優れた品質や堅牢性も表現しているように思える。

購入時に気をつけたいポイント

ボディとシャシー

190クラス最大の敵が、ボディやシャシーのサビ。チェックポイントは沢山ある。プラスティック製トリムの裏側、サイドシル、前後のフロア、ジャッキポイント、ホイールアーチの内外、リアガラス周辺、荷室フロア、ドアの底辺などは観察しやすいはず。

ほかにもリア・サブフレームとアンチロールバー・マウント部分、エンジンルーム内のバッテリートレイやウォッシャーボトルの裏側などは要注意。

エンジンとラジエター


メルセデス・ベンツ190クラス(W201型/1982〜1993年/英国仕様)

エンジンは32万km以上の耐久性がある。実際、走行距離が短いものは多くない。充分に手入れしていれば、距離はあまり気にする必要はないだろう。

ラジエーター・クーラントを定期的に交換しないことで、ヘッドガスケットに不具合を招くことがある。タイミングチェーンとカムシャフト・カムバリエーターからの異音、キャブレターやインジェクションの不調には注意したい。

インテリアと電気系統

基本的に堅牢だが、ドアパネルは傷みやすいようだ。様々な仕様が存在するため、細部まで部品が揃っているか丁寧に観察する。交換部品の発見が難しい場合もある。

すべての電装系が正常に動くか確かめる。サンルーフが付いている場合は、開閉動作や水漏れの有無を確認したい。

サスペンションとステアリング

フロント・サスペンションは、スプリングとダンパーが別レイアウトになっている。スプリングが折れていないか、ダンパーからの液漏れがないか確かめる。ボールジョイントの摩耗や、セルフレベリング機能の調子もチェックポイント。

車高が落とされている例は少なくない。アルミホイールの状態も確かめたい。

メルセデス・ベンツ190クラス(W201型)のまとめ

ボディが錆びていなければ、W201型の190クラスは多くの喜びを与えてくれる。バリエーションは幅広く、英国の中古車価格を見るとスポーツラインは2割ほど高め。シングルカム・ユニットでは6気筒エンジンが1番人気。

だが、グレードやエンジン以上に注意したいのが、これまでの整備履歴。ボディの腐食状態とともに、理想とする190クラスをじっくり探したいところ。

良いトコロ


メルセデス・ベンツ190クラス(W201型/1982〜1993年/英国仕様)

耐久性が高く、運転する喜びを今でも味わえる。2.3-16やエボリューションなど、特別な高性能モデルを除いて、多くが比較的手頃な価格で流通している。

良くないトコロ

ディーゼルとキャブレター・ガソリンのエンジンは、期待ほど刺激が足りないかもしれない。サビたボディや望まれない改造、メンテナンス不足の190クラスは、金食い虫になる可能性が高い。

メルセデス・ベンツ190クラス(W201型/1982〜1993年/英国仕様)のスペック

英国価格:−
生産台数:187万9629台
全長:4420-4445mm
全幅:1740mm
全高:1361-1383mm
最高速度:170-249km/h
0-97km/h加速:7.1-13.8秒
燃費:8.1-12.4km/L
CO2排出量:−
車両重量:1080-1340kg
パワートレイン:直列4気筒1797-2498cc自然吸気OHC/直列6気筒2599cc自然吸気DOHC/ 直列4気筒2299-2498cc自然吸気DOHC/直列5気筒2497cc自然吸気OHC/直列5気筒2497ccターボチャージャーOHC
使用燃料:ガソリン/軽油
最高出力:89ps/5000rpm-234ps/7200rpm
最大トルク:16.8kg-m/2500rpm-24.9kg-m/5000-6000rpm
ギアボックス:4速オートマティック/5速マニュアル