いま明かされる製作の舞台裏!名作を作り上げた男たちの熱き魂を感じさせる『ジ・オファー / ゴッドファーザーに賭けた男』

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1972年に公開された映画『ゴッドファーザー』は、アカデミー賞において作品賞、主演男優賞、脚色賞の3部門を受賞し、今なお語り継がれるマフィア映画の最高傑作として映画史に燦然と輝く功績を残した。多くの映画監督や俳優、さらには映画界だけでなく、創作活動を生業としている人々に多大なる影響を及ぼしてきた名作である。しかし、映画公開にこぎつけるまでに様々な苦労を強いられていた。『ジ・オファー / ゴッドファーザーに賭けた男』は、いかにして『ゴッドファーザー』という映画が誕生したのか、その経緯に迫る作品だ。

『ジ・オファー / ゴッドファーザーに賭けた男』は、冴えない小説家マリオ・プーゾ(パトリック・ギャロ)が借金苦に追い詰められたことから、最終手段として“マフィアもの”の小説を執筆することから幕を開ける。

コルレオーネ家というイタリア系マフィアの物語を思いついたプーゾは、ただマフィアの犯罪を描くのではなく、そこに“家族のドラマ”を加えた。これにより作品は大ベストセラーとなる。これが『ゴッドファーザー』の原作。

ここまで大きな話題となった作品であれば、当然、映画化に向けて映画会社も動き始める。そこで本作の主人公であるパラマウント・ピクチャーズの新米プロデューサー、アルバート・ラディ(マイルズ・テラー)の登場。TV業界でコメディ番組を製作した後、映画界へとやってきたラディは低迷するパラマウントの運命を託され、低予算での製作という無理難題を押し付けられる。

さらに、イタリア系のイメージが悪くなるとして本物のマフィアたちが映画製作に異を唱え、失脚寸前の上司ロバート・エヴァンス(マシュー・グード)からの要求にも応えなければならなかった…。映画化企画はスタートラインに立った時点ですでに難航していた。

本作には『ゴッドファーザーに賭けた男』という副題がついているが、まさに『ゴッドファーザー』という作品に人生、いや命をも賭けた男たちの壮絶なドラマが映し出されている。だが、ここで疑問に思うことがある。タイトルにある“男”とは果たして誰のことを指しているのか?

おそらくは映画業界への憧れからパラマウント・ピクチャーズに入社した新米プロデューサーのアルバート・ラディのことだと思うのだが、本作を観ていると、『ゴッドファーザー』製作に関わったすべての人間が人生を賭けていることがわかり、決してラディ一人だけのことを指したものではない複合的な意味を持っているように思わせる。

原作者のプーゾは生活を“賭けて”小説、そして脚本を執筆し、パラマウント社のエヴァンスは自身の進退を『ゴッドファーザー』に“賭ける”、メガホンをとったフランシス・フォード・コッポラだって当時はまだまだ駆け出しの頃で監督としての未来を“賭けた”。さらに本物のイタリア系マフィアのジョー・コロンボは組織全体の名誉を“賭けて”映画化中止を求めてくる。あらゆるものを賭け、いかなる難題にもめげることなく、名作を作り上げた男たちの熱き魂を感じさせるシリーズだ。

軽快なテンポ、小気味いいストーリー、見事なクリフハンガーで映画製作の舞台裏を映し出し、まさにイッキ見不可避とはこのこと!

映画『ファンタスティック・ビースト』シリーズのダン・フォグラー扮するフランシス・フォード・コッポラや新進気鋭の若手俳優アンソニー・イッポリート扮するアル・パチーノなど、劇中に登場する実在の人物たちの再現度もかなり高く、映画ファンであればさらに楽しめるだろう。

『ジ・オファー / ゴッドファーザーに賭けた男』は、U-NEXTにて独占配信中。

(文/zash)