鹿児島空港へ鉄道を用いてアクセスすることは現実的ではありませんが、あえて“最寄り”と定義できる駅のひとつに、九州屈指のユニーク駅「嘉例川駅」があります。どのようなところなのでしょうか。

1903年に完成 県内最古の木造駅舎

 鹿児島の空の玄関口である鹿児島空港は、バスや自家用車、レンタカーによるアクセスがスタンダードで、鉄道を用いてここへ至ることは、ほどんど現実的ではありません。ただ、一応地図上では3km圏内に3つの駅があり、強いていうならばこれらが“最寄り駅”となります。そのうちのひとつ、鹿児島空港から、自動車で北東方面に10分ほど走った位置の森のなかにあるJR肥薩線の嘉例川駅は、とてもユニークな駅として知られています。


JR肥薩線の嘉例川駅(2022年6月、乗りものニュース編集部撮影)。

 というのも嘉例川駅は、県内でもっとも古い駅舎なのです。肥薩線が“鹿児島本線”として開業した1903年にできたもので、まもなく120年。国の登録有形文化財にも登録されています。九州のなかでも非常に古い駅舎のひとつです。

 木造の駅舎の桁行(駅舎の長さに相当)は約16m、梁間(駅舎の奥行きに相当)は6m。1日あたりの本数は吉松・都城方面が12本、隼人・鹿児島方面が11本となっており、電車が来ない時間であれば古民家風の施設と見紛えてしまうほどのルックスです。

 嘉例川駅は無人駅ではあるものの、そのユニークさから一種の観光地となっているようで、電車の発着のない時間でも、人の姿がみられることもあります。来場者には、この駅舎でレトロ感を味わいたい鉄道ファンや観光客のほか、同駅の観光大使を務めるという名物猫「さんちゃん」を見ようとする猫好きとらしき人も訪れるようです。