国鉄時代に900両近くが製造されたキハ40系ディーゼルカー。北海道から九州まで全国各地に投入されましたが、老朽化と新型車両の導入で徐々に数を減らし、JR東日本では定期普通列車から引退。JR北海道JR西日本でも運転区間が縮小しています。

JR北海道では根室本線の新得〜厚岸から撤退

 北海道から九州まで全国各地の非電化路線で主に普通列車として使われてきた「キハ40系」ディーゼルカー。その数が徐々に減っています。

 キハ40系は国鉄が1977(昭和52)年から1982(昭和57)年まで計888両が製造されました。運転台が両側にありドアが片開きの「キハ40形」、運転台が片側のみありドアが両開きの「キハ47形」、運転台が片側のみでドアが片開きの「キハ48形」の3形式からなるグループです。


JR北海道のキハ40系(キハ40形)。先頭は朱色の「首都圏色」に塗り替えられたキハ40 1758(画像:写真AC)。

 1987(昭和62)年の国鉄分割民営化時にはJR旅客6社に887両が継承され、JR西日本ではキハ47形を両運転台に改造した「キハ41形」が登場。JR九州でもスピードアップ用にエンジンを交換した「キハ140形」「キハ147形」が登場しています。JR北海道でも急行「宗谷」「天北」「利尻」用に改造車の「キハ400形」「キハ480形」が登場しましたが、こちらはすでに廃車となっています。

 しかし、老朽化とともにJR旅客会社各社は新型ディーゼルカーを投入。JR東海はキハ25形ディーゼルカーを大量投入し、2016年までにキハ40系を置き換えました。

 JR北海道はH100形電気式ディーゼルカー「DECMO」、JR東日本はEV-E301系およびEV-E801系電車「ACCUM」、GV-E400系電気式ディーゼルカー、JR九州はBEC819系電車「DENCHA」やYC1系電気式ディーゼルカーと、新世代のローカル線向け車両が次々と投入されています。結果、JR東日本では2021年3月のダイヤ改正でキハ40系の普通列車は消滅。観光列車に改造された「リゾートしらかみ(くまげら編成)」「びゅうコースター風っこ」などが運行されるのみとなっています。

 JR北海道は2022年3月のダイヤ改正で根室本線 新得〜釧路間にH100形の増備車を投入し、これにより同 新得〜釧路と釧路〜厚岸間で運転されていたキハ40系は撤退。新得〜釧路間はH100形、釧路〜厚岸間はキハ54形に統一されています。JR西日本では山陰本線 西出雲〜益田間の列車がキハ120形とキハ126系に変わっています。

キハ40系の定期普通列車が走る路線は?

 キハ40系(観光用や特急用に改造された車両を除く)の定期普通列車が運行されているJRの主な線区は次のとおりです(2022年6月現在)。

JR北海道
・函館本線 函館〜長万部、札幌〜旭川
・日高本線
・室蘭本線
・石勝線
・根室本線 滝川〜東鹿越 ※2022年6月現在、東鹿越〜新得は不通
・宗谷本線 旭川〜音威子府
・石北本線
・釧網本線 網走〜緑


JR西日本のキハ40系ディーゼルカー(キハ47形)(2006年3月、伊藤真悟撮影)。

JR西日本
・城端線
・氷見線
・山陰本線 和田山〜西出雲、益田〜幡生、長門市〜仙崎
・山陽本線 幡生〜下関
・播但線 寺前〜和田山
・吉備線
・津山線
・姫新線 津山〜中国勝山
・因美線 鳥取〜那岐
・境線
・芸備線 三次〜広島
・岩徳線
・山口線

JR四国
・高徳線
・鳴門線
・牟岐線 徳島〜阿南
・徳島線 徳島〜穴吹

JR九州
・日田彦山線 城野〜添田 ※2022年6月現在、添田〜夜明(日田)は不通
・後藤寺線
・筑豊本線 桂川〜原田
・唐津線
・長崎本線 佐賀〜久保田
・豊肥本線 熊本〜宮地
・三角線
・肥薩線 ※2022年6月現在、八代〜吉松は不通
・吉都線
・日豊本線 高鍋〜西都城、国分〜鹿児島
・鹿児島本線 熊本〜宇土、鹿児島〜鹿児島中央
・指宿枕崎線
・日南線

 このほか私鉄・第三セクター鉄道では、道南いさりび鉄道や会津鉄道、錦川鉄道、小湊鐵道、北条鉄道でキハ40系を譲り受けて使用しています(会津鉄道はAT-400形に改造)。