社会全体がカーボンニュートラル実現を目指す中で、燃焼しても二酸化炭素を排出しない水素はクリーンなエネルギーとして期待されています。トヨタとその子会社であるウーブン・プラネット・ホールディングスが、手軽に水素を持ち運びできるポータブル水素カートリッジのプロトタイプの開発に成功したと発表しました。

トヨタ、ウーブン・プラネット、持ち運び可能なポータブル水素カートリッジのプロトタイプを開発 | コーポレート | グローバルニュースルーム | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト

https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/37405940.html

ポータブル水素カートリッジのプロトタイプは以下のムービーで確認できます。

ポータブル水素カートリッジ(プロトタイプ) - YouTube

ポータブル水素カートリッジのプロトタイプはこんな感じの見た目。サイズは直径約180mm、全長約400mm。



トヨタによると、カートリッジ1本当たりの電力量は「一般的な燃料電池システムで発電する場合、カートリッジ1本当たりで一般的な家庭用電子レンジがおよそ3〜4時間運転できる」程度としており、今後検討する高圧水素タンクの前提で約3.3kWhを想定しているとのこと。

ムービーには、女性が肩ほどの高さにあるスロットにカートリッジを装塡(そうてん)する場面がありました。水素のメリットはあらゆる燃料よりも軽いという点で、カートリッジの質量はタンク満タンで目標値が5kgほどだとのこと。ただし、カートリッジの細かい仕様やデザインは今後検討が重ねられていくそうです。



トヨタは以前から水素エンジンの開発を続けており、2021年9月に開催されたレース「スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook 第5戦 SUZUKA S耐」では水素エンジン搭載車で参戦。ドライバーを代表取締役社長である豊田章男氏が務めたことで話題となりました。今回のポータブル水素カートリッジには、これまでトヨタが培ってきた水素エネルギー技術が応用されています。



トヨタは静岡県裾野市にあるトヨタ自動車工場の跡地約70.8万平方メートルを利用して、自動運転車やロボット、AIなどを組み込んだ実験都市「Woven City」を建設しています。

トヨタが構築予定の自動運転・ロボット・AIが組み込まれた実験都市「Woven City」の全貌とは? - GIGAZINE



今回発表されたポータブル水素カートリッジは、このWoven Cityで実証実験が行われるとのこと。トヨタは「トヨタとウーブン・プラネットは、Woven Cityなどでのヒト中心の実証を通じて、住民の生活に寄り添う身近なエネルギーとして水素をご利用いただき、新たな価値と生活を提案することに取り組みます。将来はこの取り組みを日本、そして世界に広げ、誰もが気軽にクリーンエネルギーを使える社会とカーボンニュートラルの実現に挑戦してまいります」と述べています。