後味の悪い〝文春砲〟になってしまった小室哲哉の不倫疑惑 - 渡邉裕二
※この記事は2018年01月20日にBLOGOSで公開されたものです
「僕なりのけじめとして引退を決意しました」
音楽プロデューサーとして数々の実績と旋風を巻き起こしてきた小室哲哉（59）が突然の引退宣言である。
現在発売中の「週刊文春」で看護師との不倫疑惑を報じられたことから、小室なりに責任をとった形らしいが、それにしても呆気ない。意味不明である。
この責任の取り方に「潔い」という人がどれほどいるか？
どう考えても「開き直った」としか思えない。
正直なところサッパリ分からない「引退決断」
発端は1月13日のことだった。妻であるKEIKO（45）が大分県の実家に帰省中、看護師の女性を都内の自宅に招き入れ、2人だけで一夜を過ごしたというのだ。その前にも、昨年12月13日には女性宅に泊まったことがあったとし、さらに1月5日にはKEIKOを自宅に残し、都内の高級ホテルに籠っていたともいう。
もっとも同誌によれば、女性の家に宿泊した際は周囲を警戒し「帽子の上にパーカーのフードをかぶり、顔をマスクで覆う〝変装姿〟で人目を忍んでいた」としているが、高級ホテルでの密会の時は「腕を組んで部屋を出てきた」という（同誌には写真が掲載されている）。
正直なところ、小室にどれほどの警戒心があったのか、実は脇が甘いのか、どうも理解に苦しむところである、もちろん、その時の気分、テンションにもよるかもしれないが…。
で、お相手の看護師の女性だが、離婚歴のあるシングルマザーだという。小室が「ニンニク注射」を打つための行きつけだった東京・六本木のSクリニックに彼女が勤めていたことが出会いのキッカケだったという。
それにしても2人の関係は4年前の14年からキャッチされていたというだけに「長い関係」だったことになる。小室は、彼女と親しくなってからはクリニックに行くことがなくなり、彼女をスタジオや仕事場、自宅などに呼んで注射を受けるようになったそうだ。
19日に都内で行われた小室の釈明会見で、不倫疑惑について聞かれると「誤解を招く甘い言動が多々ありました。本当に申し訳ないと思っています」とし、噂される〝男女の関係〟については否定した。文春でも女性との関係については「病人と看護師」と否定している。だが、その一方で、彼女とは自宅で「一緒に寝た」ことを明らかにしていた。ちょっと不可解である。
小室は02年に小室も参加する人気グループ、globeでボーカルを担当していたKEIKOと結婚した。しかし、11年10月にくも膜下出血で倒れ、現在もリハビリ中だ。
６年以上に亘って闘病を続けるKEIKOについて問われると小室は「音楽にも興味がなくなってしまった」とした上で「大人の女性に対してのコミュニケーションが日に日にできなくなっていた」。
さらに 「3年ぐらい前からは、正直言って疲れ始めてきたことはあったと思います」 「音楽に向かわなきゃいけない時間が増え、ずっとKEIKOのサポートすることは不可能になり、スタッフ、ご家族の方々たちの支援がないと不可能になってきた」 と心境を吐露していた。
そういったストレスもあってか小室自身も体調を崩したという。
昨年の夏前には「突発性難聴」に近い状態にもなった。「今も左の耳がほぼ聞こえないです。原因不明ですが…」と言う。しかし、今回のことで「誤解を生じさせて、往々にして男女の関係を想像させる環境もあった」と、騒動の責任をとり「僕から音楽の道を退くことが、私の罪であると思いました」。
正直なところ、サッパリ分からない〝決断〟だろう。
今回の出来事はある意味で「小室哲哉らしい」
「男女の関係はなかった」ときっぱり否定していながら、「けじめとして引退」と言うのは、全く結びつかない。そもそも犯罪を犯したわけではなく、社会生活の中でのモラルの問題でしかないわけで、会見では、それこそ「反省しています」の一言で済んでしまうようなことだったかもしれない。
もちろん「奥さんへの裏切行為」と言ってしまえば、それまでだが、これは当事者の問題であり、それに単に小室が有名人というだけであって、小室だけを責める気にはなれない。
そもそも言い方は少々悪いが、今回の〝出来事〟は、私個人としては「小室らしい」だった。おそらく多くの人がイメージしているだろうが、女性に対してルーズなのが小室ではないか？それこそ幾度ともなく結婚、離婚、恋愛を繰り返してきた。KEIKOにしても離婚を切り出したことがあったほどである。そういった意味で「惚れやすく」「冷めやすい」タイプなのだろう。しかし、それが音楽プロデューサーとしての小室の才能を引き出していたのかもしれない。
いずれにしても、小室の言うところの「引退」というのが一体何を意味しているのか分からないが、言うまでもなく、今回は音楽活動とは全く別次元の問題であることは言うまでもない。だとしたら、やはり〝ウンザリ〟と言うことだろうか？
かつて、長期に亘って小室と関わったことのある音楽関係者は「この程度の問題で引退を口にするのは、やはり精神的に参っていたのかもしれない。ある意味でノイローゼに近い状態…。小室の性格からしたら、あるいは生きる気力さえ失われている可能性がある」と不安視していた。
「責任は果たしたい。不快に思う方のお目にかからないよう、全うしていきたいと思います。自発的な音楽活動は本日をもって終了させて頂きます。35年近く、本当にありがとうございました。心から感謝します」
小室の、この言葉の意味していることは？
おそらく莫大な借金が残っているはずである。そういった部分も含め、引退して、どう生活していくというのかも気になるところ。
「勝手な苦渋の決断ではあります。ただ今回、ご迷惑おかけして、僕なりの償いはこれが精一杯。これからどれだけ生活水準が下がったりするかは計り知れない。しかし皆さんに注目して頂けるのは、きょうが最後なのかもしれないと思います。実直に受け入れようと思います。生き方、身の振り方に関してはお時間を頂きたい。そこには、KEIKOのことも含めて考えていきたい」。
どうにもスッキリしない、実に後味の悪い〝文春砲〟となってしまった。
