震災で失われた熊本城天守閣のしゃちほこが復元!復興のシンボルとして一般展示も - BLOGOS編集部PR企画

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※この記事は2017年09月01日にBLOGOSで公開されたものです

2016年の熊本地震で被災した熊本城の再建が進められている。

8月30日には、大天守、小天守に設置されるしゃちほこが完成し、お披露目会が行われた。熊本城の再建には、日本財団が30億円の支援を行っており、しゃちほこの復元・制作は熊本城再建支援の最初の事業であるという。

お披露目会は、熊本城近くの観光施設・城彩苑で行われ、大西一史熊本市市長と笹川陽平日本財団会長が出席。また、しゃちほこの製作者である藤本康祐氏も出席し、制作時の苦労などを語った。

「熊本城は熊本のシンボル」

大西市長は、「私自身、震災が起きた際にしゃちほこのない熊本城の姿を見て、がく然とした。やはり熊本城というのは熊本のシンボル。その上にしゃちほこがあるというのは重要」と語った。

また、日本財団が震災の発生直後に30億円を超える支援を決めたことについて、「熊本城はもとより熊本全体の復興に大きく影響した。そのことに改めて感謝したい」と話した。

熊本の復興支援の総額は128億円

続いて日本財団の会長である笹川陽平会長が挨拶を行った。日本財団は熊本城の再建を含め、総額93億円の支援を発表していたが、震災後に大雨による災害などが起こったこともあり、支援総額は128億円にまでなったという。

笹川氏は、「もちろん個々人の暮らしも重要だが、熊本の皆さんの心のふるさと、シンボルである熊本城の再建に貢献したいという思いがあった。我々の支援をきっかけに、日本政府のみならず日本全国で熊本城に対する関心が高まった」と話した。

今回、お披露目されたしゃちほこを制作した瓦職人の藤本康祐氏は、「震災後は余震も絶えず、ニュース映像で熊本城を見るたびに、本当にこれは現実なのか、という気持ちになった。そうした、なかなか心の整理がつかない中で、しゃちほこづくりの依頼をもらった」と話す。さらに、制作中に余震が起こる可能性があるため、なかなか着手できなかったという。

鬼瓦やしゃちほこなどの飾り瓦を制作する職人は「鬼師」と呼ばれる。藤本氏は、「全国の鬼師が支援してくれた。また、地震を経験した地域に住む鬼師たちが様々な助言をしてくれた」と、同業者たちへの感謝の思いを語った。そして、様々な試行錯誤を経てしゃちほこが完成したことから、「余震が心配される熊本で制作して、今日という日を迎えたのは一つの成果」だと振り返る。

天守閣はいまだに修復の途上にあるため、しゃちほこは来年3月(小天守のしゃちほこは9月)まで一般展示される。そのため、通常は仰ぎ見ることしかできないしゃちほこを間近に見ることができる。そのため、大西市長も「これを機会に多くの人たちに見てもらいたい。そして、実際に天守閣に登る日が来たら、その姿を見て復興が一歩ずつ進んでいることを実感してもらいたい」とPR。

一方で、藤本氏は、「しゃちほこの表情に注目して欲しい。ほかのお城の上にあるのとは少し違う。怖いというよりも優しい、ひょうきんな顔をしている。言葉に尽くせないいい顔をしているので近くで見て欲しい」と語っている。