※この記事は2014年10月20日にBLOGOSで公開されたものです

20日、小渕優子経済産業大臣に続き、松島みどり法相が辞任会見を行った。冒頭発言は以下の通り。

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安倍内閣の足を引っ張ることはできないと考えた

本日、法務大臣の職を辞することといたしました。我が国の基本法制、法秩序を維持を司る法務大臣の地位にありながら、このところの私の言動によって国政に遅滞をもたらし、国民の皆様にご迷惑をおかけする事態を招き、大変申し訳ないと考えております。

安倍総理に抜擢していただき、法務大臣という重職に就任した身として、経済再生をはじめとする 山積する課題に取り組んでいる安倍内閣の足を引っ張ることはできない。そう考えました。これからは一議員として安倍政権を支えたいと思っております。今回、地元の支援者の皆様のせっかくのご期待に添えなかったことにつきましては、誠に残念であります。

在任期間は二か月足らずでしたが、かねての持論でありました強姦罪の法定刑が強盗罪より軽い。強姦致死傷罪が強盗致傷罪より軽いことの問題を就任直後でに提起したことに対し、省内が素早く動いてくれて、有識者による性犯罪の罰則に関する研究会が発足しており、今後に期待したいと思おっております。

一つだけは、自分で考えてきたことを進めることが、短い間でしたができました。私からは以上です。

私のやったことが法に触れるとは思っていません

―就任後2か月での辞任となるが率直なご感想を

私自身としては、本当に伝統のある重い、重要な法務省という役所の大臣になって、これまでの自分の考えからの「あれをやりたい」「これをやりたい」「国民に法律を近づけたい」、いろんな思いを持っておりました。

図らずもこういう形で退任することは、残念だと考えております。

―答弁では討議資料といっていたが、今回辞任されたということで、その認識は変わったということなのか?

いえ、まったく変わっておりません。私自身、法に触れることをしたとは考えておりませんが、とにかく私の問題で国政を停滞させてはならない。その思いで、法務大臣を辞職することにいたしました。

―配布したのは、改めて確認ですが、うちわですよね?

国会でも申し上げました。一年間で成立した主な法律について、国民というか、私の地元の方々にも、いろんな年代の男女の方々に知っていただきたいと一生懸命記しました。反対側には私の名前が入っております。確かに形の上で、「うちわか?」と言われれば、うちわの形は、持つところもありますし、していると思います。

ただ、先ほどもございました「財産上の有価物」かという問題については、このうちわというのは一般に商店街の名前が書いてあって、イベントで配って、そのまま捨てられる。そんな類のものだと思いますし、そういう問題になる寄付行為だとは思っていません。

―そういう中で、今回辞任という道を選んだのは、民主党からも刑事告発されているし、「ひょっとしたら法に触れるのでは?」という意識があったのでは。

違います。刑事告発そのものの問題というよりは、民主党を含め、野党の中に、この問題など私の問題だけではないかもしれませんが、こういう閣僚を抱えた中では、「国会審議ができない」とかあるいは「重要な法案を審議しない」とか、そういうような動きが出ております。もちろん、法務委員会にも出ております。それは正に申し上げました、国政に停滞をもたらすこと、そういうことがあってはならないということ。

私のやったことが法に触れるとは思っていません。

―配られたもの以外に、ひょっとしたら有価物と取られかねないものを配布したことはなかったのでしょうか?

ありません。

―一部からカレンダーを配布したのではないかという指摘も出ているが。

カレンダーというのは、室内用ポスターですよね。政治の世界で室内用ポスターという。外に貼って出してはいけないけれど、応援している人の自分の家の中、会社の中とかで、まぁこれも「財産上価値」のあるのか。一枚書きのぺらっとしたものに名前や私の説明、写真を載せているものが中心で、「財産上の価値」というものは値段から見てもそういうものではないと思います?

―それはカレンダーとしての機能は有しているものなのですか?

12か月の日にちとかは書いてあります。

―そうすると「有価物」になってしまうのではないでしょうか?

「財産上の有価物」というのは、どれぐらいから言うのか、それはわかりませんが、私は、そういう認識は持っていないから、法律違反になると思っていないから、自分の親しい人の会合で、後援会の会場で配りました。

―辞任をいつの時点で判断したのか?小渕大臣の辞任と同じタイミングになったのは理由があるのか?

確かに先週は「続投する」と。「しっかりと法務大臣の仕事を務めてまいる」と申しておりました。それから土曜日、日曜日、諸般の情勢を踏まえて、大臣辞任の決断をするに至ったということでございます。

―これはご自身の判断なのか?小渕大臣と合わせた方がいいなど周囲からの助言などがあったのか?

いえ、新聞でそういうことを書かれている記事もありましたが、私自身がタイミングとして、国会が遅滞なく、国政が遅滞なくいくためには、今のタイミングだと考えました。土日に熟考を重ねました。

財産価値の有無はどのように判断されるのか?

―「女性の活躍」を謳った内閣改造でありながら、二人の女性大臣が辞任することについてのご意見を。

たまたま私は女性ですし、小渕大臣も女性です。ただ、私の言動が問題になったというのは私が女であっても男であっても関係ないことだと思いますので、それはわからないんじゃないかと。

そして、私としては安倍内閣にとにかくしっかりと仕事をしてもらいたい。それに支障がでること、足を引っ張ることは、決してそれにあたる行為になるようなことを私がしてはいけない。それがひたすら、「なぜやめたか」と聞かれれば、安倍内閣がやらなければいけない全国津々浦々の経済再生、全国の中小企業も小規模事業も「景気が良くなった」と感じてもらえる、そんな日本をアベノミクスで作っていく。そのためには、今停滞しているわけにはいかない。そのように考えております。

―今回の辞任の判断、挨拶については総理、官房長官などと話をしたのか?

辞任のあいさつは、私は常に自分の言葉で話すように考えておりますので、間違えてはいけないので一応原稿を書きましたけれども、自分で書いたものです。

―小渕大臣の辞任との関連や自身の辞任が、他の閣僚に影響を与える可能性について

二つ目のご質問につきましては、私の辞任が、ドミノとかそういうことではなくて、私の辞任が、それこそが、先ほど言いましたような安倍内閣が日本に経済再生を実感してもらう政策に取り組んでいく、私もそう思ってこの2年半、国会議員としていろんな活動、仕事をしてきましたが、それを実現するためであって、それがマイナスになるとは全く考えておりません。

なお、小渕大臣の比較をされましたが、それは「それはそれ」、小渕大臣の方もよく存じているわけでもございませんし、「それはそれ」「私は私」で全然別箇の問題でございます。

―うちわを発注した業者の納品書などの書類には「うちわ」と書いてあったとのことだが?

私も見ました。納品書などは、その会社の人から見ると、商品というかブランド名を書かれたというか、それは会社としては「うちわ」の範疇だったんだと思います。私が申したり、私のというか、領収書その他というのは、これは討議資料の印刷したものですから、それは食い違っているのはおかしいことじゃないと思います。

―民主党から告発を受けたことについては、今後捜査に協力的な姿勢を示すのか?

私もそれほど詳しいわけではございませんが、告発というものはいっぱいあって、受理というのもいっぱいあって、その中から、それがどういうものかの捜査、点検がなされていくんだと思います。おっしゃられた点に関しましては、「協力するのか」と言われたら、もちろん必要なもの、既に国会の委員会の方にも、いろんな収支報告書ですとか、領収書とか出していますから、同じものを出すだけで、私もこれから詳しく調べてみないとわからないような複雑な問題は抱えておりませんので、それをするだけです。

―告発状の受理と辞任は関連はあるのか?総理からはどのようなお話があったのか?

まず告発の受理との関連はございません。国会審議とか国政が停滞するかどうか。それが大事なポイントでございますから、それと直接関係があります。タイミング的にはね。

もう一つ、総理から言われたのは「心機一転。新しい気持ちで能力を生かしてほしい」。そういうお話をされました。考えたことは、この週末の、金曜の夜から何が変わったかというと、いろいろ考えました。でも、結論は結局、この安倍内閣の国政を一日も停滞させたくない。それにはどうすればいいのか。いろいろ考えたのですが、私が続けるよりも身を引いた方が多分良い。

それは私のことを評価し、抜擢してこういう重職につけてくださった安倍総理を支えるという形の、閣内で支えるのではなくて、辞めて身を引いて一議員として支えていく方法があるのではないか。そう思ったんです。

―国会内では、「法律を都合よく解釈しているのではないか」と指摘され、大臣としての資質を問う意見もあったが、そのことについては?

それは当たらないと思っております。例えば、「告発されたら後どうなると思うか」というような質問がございましたから、それに対しては法務大臣ですから「個別具体的に影響を与えることはいうことが出来ません」と申し上げました。

現在は、法務大臣ではありませんので、私の政治家・松島みどりとして申し上げますと、「法に触れることはしていない」と、そう考えていると言いきっている次第です。

―大臣の資質に対する指摘に対しては?

私は、法務大臣に的確であると安倍総理に考えていただいて、この重責につかせていただき、そして自分では資質はあると考えて法務行政にあたっていました。

―性犯罪に対する有識者会議を立ち上げたという話を先ほどあったが、やり残したことなどがあるか?

今申し上げた件に関しましては、最初の会合が10月末に有識者による性犯罪の罰則に関する研究会、これは学識者とか関係被害者団体とかで始まります。後はもとより、私が自分がどういう中身にしろという考えはありませんでしたから、皆さん方である程度のうちに結論を出してもらって、そこからさらに法律の改正につながればいいと言っておりましたので、これについてはある程度満足しています。

それ以外のことにつきましては、来年、せっかく民法改正、債権法の120年ぶりの改正、この法案の中身を詰める時期でしたから、私も一緒に議論したいと思いましたが、それがかなわなかったのが、残念ですが。

ただ、与党の議員として、そうやって法務の重要なマターについて関係すること。そしてまた入管の職員を増やさなければいけない。さらに再犯防止のために行政と保護が一体とならなければいけない。「どうしていくか」という思いは一杯ありますけれども、それも与党の一員として、党内の部会その他で発言して、バックアップをして、大臣じゃなくても、国会議員としてやれることはたくさんあると思っております。

―資料によると、討議資料とされるうちわは80円程度だが、財産価値があるかどうかというのは、何を基準に判断されると考えているのか?

財産価値の問題です蹴れれども、法律の厳密な条文の意味はわかりませんが、それが例えば売買の対象になるとか、あるいはそれによって投票活動に、「何十円のものをもらったから、この人に投票する」とかそういうことをね、「こういう中身を書いてる人だから」と思って投票してくれるならいいけれども、「うちわという扇ぐものをくれた人だから投票する」と。そういう価値判断になるようなものではないと。財産的価値というのは、私はそのような解釈をしております。

―公選法上の罪となるかどうか、というのは投票行動に影響を与えるかどうかだということですか?

それは私の考え方であって、法律上、法律について、ましてや告発されているわけですから、判断する方が、そう考えるかはわかりません。

―財産的に価値があるものだと判断される可能性もあるが、その場合は受け入れるのか?

もう大臣じゃないですけど、それはわかりません。わかりませんというか、捜査をされるとしたら、どうなるかまだわかりませんし。

―土日に熟考したとのことだが、うちわの問題が出てから10日間経っているが、今後さらにこの問題が国会の審議に影響を与えると判断された理由は?

法務委員会をはじめとして、各委員会、各法律の審議、これからであります。今おっしゃったような予算委員会とか、一般質疑はありましたし、法務委員会も大臣の出処に対する一般質疑でありましたから、いよいよ数々の法律、法務の各、他の委員会をやっていくのもこれからだと思っております。

―そういう中で、本当の法律とか法案をやりとりするにあたっては、この問題が影響を与えると半産されたのですか?

直接うちわの問題がどうこうということではございません。直接それだけではなくて、いろんな総合的判断でございます。

―先ほど、「財産上の有価物」について、「売買の対象になる」「投票にあたっての価値判断になる」との回答があったが?

いま思いつくことは、そういったことです。他にもあるのかもしれません。

―ネット上で売買の対象になっているようだが?

それは、このような派手な展開になったから、ネット上でそういうことのようですけれども。夏にお渡しした時点で、「儲かった」という顔とか、「ずいぶん高価なものをもらった」というような雰囲気の方はどなたもいらっしゃいませんでした。

―告発を受けたことが辞任のタイミングに与えた影響は?

提出は先週ですが、受理されたのは今週だったんじゃないですか?。私が辞任を心で決めたのは日曜日ですから、そうじゃないです。

―今回の辞任が、「女性が輝く社会」というような安倍政権の打ち出しているテーマに与える影響について、どのように考えるか?

私自身、安倍政権の「女性活用」ということについては、本当に日々感無量であります。私が、何十年も前に大学を卒業した時には、経済学部の女子学生など採用してくれる企業はありませんでした。入社案内に関しても、男子にも3メートルも来たけれど、女子には一冊も来なかった。そういった中で、安倍総理が企業に向けても、政府においても、そして政治の世界でもこうやって女性を活用しようと思ってくれたこと。そして、その一環として私を法務大臣という、このような職に就いた。これは一連の流れとして、素晴らしいと思います。

ただ、この「女性を活用しよう」ということは、どの会社においても、どの政府、どの組織においても そのうちの一人が、ちょっと失敗だったというか、私自身は再生可能な失敗だと思っておりますが、その何かの小さな失敗で部長になった女性が部長の職をはずれるとしても、その人に続く人が有能であれば、きちっと職につけると思うし、そして、その女性自身が安倍内閣に掲げる「再チャレンジ」、部長を外された女性もいったん外されても、また頑張ればポジションがある。そういうものだと思っております。

―今後の女性活用にとってマイナスだとは?

もし、万が一、これでマイナスというかやめようと思う会社の方がいらっしゃるとしたら、絶対にそんな考えは持たないでいただきたい、そう考えております。

―松島さんは赤い服のことが多いと思おうが、今日は白い服を着ているのは、潔白だということを主張してるのか?

法務大臣になってからは、あまり赤い服は着ないで、ちょっと落ち着いた色の服を着るように心がけておりました。今日は女性が確かに「今日は何を着ようかな」と考えるときには、何か自分でも思うところがありますから、白を着たというのは、よく理解していただいたと(笑)

公選法上云々というよりは、新しいまっさらな気持ちで歩みだそうとそういう気持ちです。

―1日が二人の大臣が辞任会見をするというのは前代未聞だと思うが、同じタイミングになったことへの所感と、穿った見方をすればまとめることによって早めの幕引きを図りたいという意図があったのでは?

月曜日ですからね。始まりの日でありますし、もちろん野党の行動も、報道各社の動向もありますから。

―あえて同じ日を選ばれたと?

同じ日を選んだというよりも、10月20日の月曜日を選んだということです。結果的に同じ日になったのかもしれませんが、別に連絡を取り合ったわけではありませんから。

―二人の大臣が1日でやめることになったことについては?

それは、私がいうことではありません。

―昨日、今日は党の関係者と連絡を取られたのでしょうか?

まぁ官邸とか党の先輩、いろんな先輩方とお話はしました。でも決めたのは私です。

―総理に対して、どのように説明して、総理はどのような反応だったのか?

私が申し上げましたのは、せっかく抜擢して法務大臣につけていただきましたのに、いろんなことで、安倍内閣の政治を停滞させかねない事態になって申し訳ないと。辞職したいと。

総理からは先ほど申し上げましたが、「心機一転、これからもがんばっていろんな場面で能力を発揮してくれ」と。

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