※この記事は2014年08月08日にBLOGOSで公開されたものです

8月7日夜、大阪市の橋下徹市長が退庁時のぶら下がり会見で、前日に引き続き再び朝日新聞の慰安婦問題検証特集についてコメントした。以下、その質疑の部分をお送りする。

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ー朝日新聞の関係者を国会に呼んで検証すべきじゃないかと、自民党の石破幹事長も…

いや、石破さんもはっきりとは言ってないんじゃないですか。検討する、くらいでしょ。

ー必要であればと。

ま、国会でやるよりも、言論機関でもっとやりあってくださいよ。ええ。 国会でやったところで別にそれ、どちらの方が国民のみなさんに事実が知れ渡るかと言えば、国会の論戦よりもやっぱり言論によってね、産経新聞のように、またその他のいろいろな雑誌が言ってるじゃないですか。あのようにどんどん言って、それに朝日新聞が反論したらいいじゃないですか。

まさに言論の中で、読売がやり、産経がやり、毎日も朝日もやって、週刊誌もやって、雑誌もやってるんですから、そこに委ねたらいいと思いますよ。

ー昨日は検証をここで止めるべきではないという主旨のお話をされていましたが…

だから国会での検証ということではなくで、事の問題点というか、そういうところの議論をね、朝日・毎日は強制連行の有無はあまり問題じゃない、と。そういう被害者がいるんだから、女性の人権全般の問題としてね、きちんと考えるべきだという結論を出しましたよ。それはそうなんだけれども、強制連行を、無いものをあったと報道したあのことの影響について、朝日はちょっと能天気過ぎます。

あのことによって、だから、今までの保守を自称する政治家が悪かったんですよ、また保守論客という人もね、僕が批判を受けるまでの間は、強制連行はなかったからこれは合法だったんだと。もっといえば公娼制度の延長だってことを言い続けたひとたちが、僕がああやって世界からバッシングを受けたことで、誰もそれ言わなくなったんですよ。そういう議論をしてたからおかしくかったわけですよ。だから朝日も意地になってたんですよ。

かたやこっちに、強制連行が無ければ日本は悪くなかった、問題無かった、という論客がゴマンといたから、だから朝日が意地になってね、いや日本は悪かったんだ悪かったんだと言い続けて来たわけですよね。

だから朝日の検証記事にも…まさに朝日が見誤ったのは、国内だけの、国内の保守政治家、慰安婦問題を正当化する人達だけを対象に自説を述べようとしたから見誤ってしまって、強制連行の有無にかぎらず、やったことについては悪い悪いと言い続けてきたんだけども、強制連行の有無っていうものは、日本を正当化する、日本が良いか悪いかっていう、そういう基準じゃなくてね、通常の、いわゆる不幸な…通常のって言ったらまた誤解を生むかもわかりませんけども、不幸な過去、不幸な戦争の過去としてね、みんながどこかで最後、未来に向かって平和条約を結ぶわけですよ。そのの平和条約の中で解決されるような戦争責任の問題なのか、そうじゃない、平和条約で解決されないようなとんでもない事案だったのか、ここの分け目に強制連行の有無があるってことを、朝日はあまりのもちょっと認識不足ですね。

だから非常にドメスティックな議論で、慰安婦問題を正当化している政治家に反撃するために暴走しちゃったんでしょうね。だからもうそこはね、やっぱりこれは女性の人権問題として二度と繰り返しちゃいけない、当たり前の話ですから。そこはしっかり押さえて。

だから今回の朝日の記事よってね、鬼の首を取ったように、日本は悪くなかったんだ、日本は問題なかったんだ、当時は合法だったんだという議論は国際的には通用しません。

でも次からのステージはね、ドメスティックな議論じゃなくて、世界を相手に、きちっと議論しないといけないのは、平和条約で解決される、いわゆる不幸な過去、いわゆる戦争責任の問題なのか、平和条約でも解決できない戦争責任の問題なのか、ここの議論に移すべきなんです。

で、ナチス・ドイツの戦争犯罪については平和条約では解決できないだけの、もうとんでもない悲惨な、とんでもない重大な、残虐な、人道法に反する、違反行為であるということで、時効もなく影響に追及されるわけです。ナチス・ドイツの犯罪行為についてはね。それから、宗主国が植民地においておこなった数々の暴行、陵虐について、これもやっぱり平和条約では解決されないだろうという考え方が、今もうほぼそれが国際的なスタンダードですよ。

だからなんでね、日韓基本条約、請求権ならびに経済協定で、完全かつ最終的に解決された、と日本側が思っている慰安婦問題を、韓国側がまだ法的責任を追及してきて、国連人権委員会も、日本に賠償せよとかもっと誠意をもった対応を示せと言ってくるかといえば、強制連行という事実があったから、日本だけが特異な性奴隷を使っていたから、通常の戦場の性の問題とは違って、平和条約では解決されない事案なんだというふうに国際社会がみんな思っているわけですよ。とその根拠が強制連行の事実なんです。

だから強制連行の事実がなかったいうことであればね、こちらも大手振って正統化する、そんなことは絶対やってはならない戦争責任なわけですら、でもそれは1965年のね、日本と韓国のあいだのいわゆる平和条約、 戦争責任については精算する、日韓基本条約によってね、この問題は解決されたと見て行きましょうと。 そうでなければ、日本だって原爆を落とされたことについて、どうなんだって話になるわけですよそれは。あんなのあきらかに人道法違反ですよ。ナチス・ドイツの戦争犯罪と同じくらいの話だと思いますよ。民間人無差別爆撃やってね、東京大空襲、大阪大空襲あれだってどうなんだって話になりますよ。

でもサンフランシスコ条約によってね、いわゆる戦争問題については基本的には無しにしましょう、将来に向かって歩んでいきましょうっていうことをやったのが平和条約なわけですから。

戦争って、いろいろ悲惨な事案っていうか、本当に命や人権が蹂躙されるような、そういうことが次々と起きるから、戦争ってやってやいけないわけです。
そういうこと踏まえて平和条約結んだ、その平和条約で解決される問題なのか。そうではない問題なのか。これは強制連行の有無ってことで分かれるんですよ。

だから強制連行がないといことになれば、朝日新聞のように、有無なんてのはあんまり意味ないんだと、こちらが反省する気持ちを持ち続けることが重要で、有無なんてのはどうでもいいんだっていうのは、全然国際社会を見ていない、非常にドメスティックな国内的な議論です。
朝日が日韓関係をこじらせた最大の原因ですよ、これ。そのままあんな報道がなければね、これは大変不幸な過去だけれども、でも平和条約でね、申し訳ないけれども一旦精算した問題ですよということをきちんと言っておけばね、ここまで日韓関係こじれなかったですよ。
強制連行があったと、あれだけのことをやって、あれだけの報道をやっていけばね、それは韓国サイドだって国連サイドだって、いや、これは日韓基本条約で解決されるような問題じゃない、ナチス・ドイツのホロコーストと同じような問題だと、みんなそう思ってるわけですよ。だからこじれてるんですよ。

だから朝日新聞の報道ですよ。僕は朝日の記者に問われた時に、慰安婦問題っていうものこそ、日韓関係の一番の問題点だってことを2年前か3年前に言って、自分も勉強不足だから一生懸命勉強して自分の論理を組み立てて、ああいう形で去年言いましたけれども、まあなかなか世間は付いてくれなくて、当初色々批判を受けましたけれども、やっとこういう形でね、何が問題で何が事実だったのかってことがこうやって国民に知れ渡るようになってきてよかったと思いますよ。

でもこれはあくまで言論でやりあってもらいたいですよ。もっと朝日に対して、あんな言い訳じみた、不十分な見解じゃなくて、国際社会における評価っていうところにステージを変えてね。
僕が外国特派員協会で喋ったときだって、もう、世界各国の記者は、いや強制連行やったんだろ、強制連行やったんだろ、の一点張りですよ。だから性奴隷。アメリカ軍、イギリス軍、フランス軍を持ち出すなんて、お前らは俺達とは違うんだと言わんばかりに、もう徹底的にそれでやられましたよ。これは、自分たちがやった戦場の性の問題とレベルが違うんだと。世界各国は思っているわけです。

日本は正当化しちゃけないし、他国がやったからといって日本もやってもいいなんていうロジックはだめですよ。でも戦場の性の問題ととして各国が反省しなければいけない問題ですよと一生懸命言って、韓国のみなさんに対しても、不幸な過去についてはこちらも真摯な気持ちで対応しますよ、ということを示しながら、でも法的な問題としては、賠償責任の問題としては、やっぱり一旦結ばれた平和条約があるだから、将来に向かってなんとかやっていきましょう、と言い続けるしか無いと思うんですね。

で、朝日は終わりなんですか?あの検証は。

ー(朝日新聞記者)いや終わりということには特にしてないと思いますけどね。

ああいうの見てどう思うんですかね?社員として。

ー(朝日新聞記者)まあ、それは今、社内でいろいろ議論してますし…

僕だったらすぐ辞めますけどもね、そんな会社。いやそんなんもう、とてもじゃないけどいられませんよ。ここまでのことやって、よくいられますよね。すごい精神状態だなと思って。

ー(朝日新聞記者)いろいろ内部で議論してますので。

そうですよね。政治家向きですよほんとに、そこまでの精神。僕だったら報道出た瞬間に辞めますよ。というくらいまでのことに、朝日の社員のひとたちはあんまり感じてないんでしょうね。とんでもないことですよ。日韓関係こじらせてちゃって、もうどうするんですかね。こんな風にしてしまって。

だから慰安婦問題について、やっぱりそれはね、正当化した人達について追及していくのはいいと思いますよ。これは正当化する問題じゃないって。それは賛成します。

でも、強制連行っていうあの事実がね、これだけ国際社会に対して、日本国民、もっと言えば子どもや孫たちに対して、どれだけの不名誉なことをかぶせてしまったかと言ったらね、これはね、朝日は最後本気でやるんだったらね、もう赤字覚悟で国際版をとにかく毎日刷って、強制連行の話はありませんでした、日本は正当化するつもりはありません、日本はちゃんと反省しますけれども、強制連行はなかったんだから、性奴隷と評価するのはやめてほしいってことを赤字覚悟で世界各国に配信していくしかないんじゃないですか。とんでもない、一個人に対する名誉の侵害とかそういう問題じゃなくて、子どもとか、孫たち全員に対して汚名を着せたというか、これは僕だったら、そんな会社すぐ辞めちゃいますけどね。すごい精神力。

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