橋下市長、朝日新聞の従軍慰安婦特集についてコメント - BLOGOS編集部
※この記事は2014年08月06日にBLOGOSで公開されたものです
朝日新聞が5日、6日付朝刊で組んだ特集「慰安婦問題を考える」について、大阪市の橋下徹市長が8月6日登庁時のぶら下がり会見でおよそ20分間にわたり意見を述べた。ー市長、おはようございます。朝日新聞が慰安婦を巡る一部の記事について取り消しましたけれども、そのことについて。
いや、産経新聞が頑張ったからじゃないですか。
あの方、本名なんですかね?あの阿比留瑠比さん。もうあの方の力なんでしょうね。まあ、あれだけしつこく、しつこく、事実に基づいて報道して、ああいう風になれば、朝日新聞ももう逃げられなくなったんじゃないですか。
この間の名古屋の、結いの党と合流の時の記者会見で、結いの党と維新の会の安全保障の問題で、"どこが不一致なのか指摘してくださいよ"と僕が記者の皆さんに言ったら、誰も答えられなくて。そんなふがいない記者よりも、ああいう阿比留瑠比さんみたいな記者がみんな集まってきてくれた方が、政治家としてもシャキっとするんじゃないでしょうかね。
いやこれは産経新聞の、阿比留さんの力が大きかったと思いますよ。
また、ちょっと言わさせてもらったら、これまでね、この慰安婦問題についてはいろんな政治家とか、いろんな新聞というか週刊誌がいろいろ言ってたけれども、国民的なね、大きなそういう議論の広がりにならなかったところを、まあ少しでも僕が発言したことがきっかけとなったんであれば、それはもう僕は政治家冥利に尽きますよ。
32年間、朝日新聞が頑なに過ちを認めなかったことをね、ここまで産経が頑張ってくれた。産経が頑張ることによって週刊誌も頑張り始めた、いろんな雑誌も頑張り始めた。もう最後、朝日新聞が白旗揚げたわけですし。
これまでのコメンテーターね、いいことしか言わない、綺麗事しか言わないコメンテーター。個人名を出させてもらったら、僕にかなりどぎつい批判をしてきた、あの大谷昭宏氏ですよ。何ていうかですね、あの、強制連行っていうものはなかったと。虚偽だったと。これではっきりしたんじゃないでしょうかね。
ただね、今度間違ってはならないのが、産経新聞を始めね、保守政治家、保守を気取る政治家が気を付けなきゃいけないのは、これをもって鬼の首を取ったようにね、日本を正当化したら、これは完全に誤ります。
だからこれ産経新聞の正論なんかでも、稲田朋美さんのね、今の行革大臣ですか、あの方は、かつていわゆる"公娼制度"があったと、そういうことを持ち出して、慰安婦っていう問題、これは合法的だったんだと、堂々と産経新聞の正論で言ってましたけども、急に今、口を閉ざしてしまったけれども、僕が世界からも、国内からもあれだけ批判を受けて急に稲田行革大臣は「橋下発言は女性蔑視発言だ」なんていうことを言い出して、だんまりを決め込んでますけどもね。これは絶対にやっちゃいけないですね。間違っちゃいけない。
個人の評論家とか、個人がね、いろいろその、いわゆる売春というものについていろいろ合法化論を唱えるのはいいのかも分かりませんけども、国家運営の責任者が、世界スタンダードで考えたときに、これを堂々と合法化論というものを唱えるのは、絶対に世界的に見ても、世界の潮流から見てもこれは誤ってしまう。
朝日新聞のね、あの記事はまぁ、本当に言い訳に満ちた記事というか。
あの、僕ね、やっぱり朝日は取材はね、しっかりしている新聞だと思うんですよ。それぞれの記者もよく勉強しているし。でもね、ロジックが最近もう無茶苦茶。場当たり的なロジックで、全部自分のところへ跳ね返ってくる。
僕があの記事を読んでいて一番、あの、不快に思ったのはね、結局、読売新聞や産経新聞もね、"他紙も同じように報じてたじゃないか"、ってことを最後に付け加えてるわけですよ。あれは情けなかったですね。
なぜかって言えばね、僕が慰安婦問題の発言をしたときにね、アメリカ軍やイギリス軍、ドイツ軍、フランス軍、韓国軍だって、いわゆる女性を利用していた、という話をしたときにね、"なに正当化してんだ"と。"他国がやったからといって自分たちが良いと言えるのか"と、これをさんざん言ってきたのが朝日新聞ですよ。
で、僕は違うよと、ロジックが違うよと。これは今までの日本の保守政治家のようにね、日本国内の問題だけとして捉えて、日本を正当化してきた、そういうロジックは転換して、やっぱり世界スタンダードで考えればね、これは正当化しない。二度と過ちは繰り返さない。それを前提に、ただ、アンフェアなところはしっかり言っていこうと、そういうロジックで言っていたつもりなんですけど、なかなか今まであまり理解されなかったところもありましたけどもね。
今回のあの朝日新聞の、昨日の記事ですか。見事に自分を正当化してるじゃないですか。"読売新聞や産経新聞も同じように報じてたんじゃないか"と。あれを付け加えたことによって、あの検証記事は台無しになりましたね。
やっぱりね、朝日新聞の今、非常に弱いところ。もう世の中を動かすだけの力が無くなってきたのはね、ロジックがね、場当たり的。非常に場当たり的。
あのー、選挙のこともね、"集団的自衛権については国民の信を問え"と言っておきながら、大阪都構想について僕が信を問うたら"それは意味のない選挙だ"と言ったりね。もうちょっと朝日新聞も頑張ってもらわなきゃいけないんじゃないですか。
ただ強制連行の、これで事実が、少なくとも朝鮮半島においてはなかったと。他の地域で、軍が強制的に女性に暴行を加えたという事実はあったんでしょう。これは、オランダ人捕虜のね、スマラン事件でもそうですけど、これはね、戦犯です。戦犯なんです。
だからこれは、どこの戦地においてもね、あってはならないけれども、生じ得る、いわゆる兵によるね、レイプ事件、強姦事件としてこれはきちっと罰しなければなりませんけども、出てくるんですよ。これはもう戦争の本当に不幸な話なんです。だから絶対戦争なんかやめなきゃいけない。
だけど、これあの、最後朝日のね、また学者を引用してね、コメント、今日、出てましたけども、"ガラパゴス的な議論にしてはいけない"、と。朝日こそガラパゴスなんですよ。この問題はね、もう日本国内の議論だけにとどめちゃいけない。日本がやったことを正当化してはいけない、これは当たり前だし、日韓関係だけの問題でもないんです。韓国に対してもね、謝るべきところは謝らなきゃいけないんです。
ただしね、やっぱり認めちゃいけないところ、で、これ何が問題になっているかと言ったら、世界から、日本だけが特殊なことをやったという風に指摘されているわけですよ、"性奴隷"という言葉を使われて。でもこれ、強制連行の事実がなかった、強制連行が無かったということになれば、日本だけが性奴隷を使っていたという批判は当たりません。もし、日本がね、この慰安婦を利用していたということで"性奴隷を使っていた"というんであれば"世界各国がみんな性奴隷を使っていた"ということにしなきゃいけないんです。どちらでもいいです。だから日本が性奴隷を使っていたという国連の人権報告書が出てますけども、それだったら世界各国が性奴隷を使っていたというように国連も改めなきゃいけませんね。
朝日新聞はいろんな言い訳をしてますけどもね、これはもう非常に大きな問題。読売がきちっと言ってますけどもね、国連の人権報告書もたぶんその、今日の朝日の、あの学者さん、"ガラパゴス的な議論をしてはいけない"ということを言っていたあの学者さん、国連の人権報告書も読んでないんでしょうね。1996年に出た「クマラスワミ報告書」っていうものによって、日本が性奴隷を使っていたという話が広がってきたわけです。このクマラスワミ報告書の証拠はね、何かといったら、吉田清治さんの著書ですよ。だから全部繋がってるんです。だから今回朝日が認めたね、吉田清治氏の虚偽の話。これは虚偽だと、もう認めたわけです。そしたらね、あの朝日の報道によってね、国連の人権委員会も炊きつけられたわけなんですよ。
日本の戸塚(悦朗)さんという弁護士がどんどんNGOでね、国連の人権委員会に働きかけた。今回見てください。国連の自由権規約人権委員会から、日本は性奴隷を使っていたと、もっと厳しい批判が来ましたよ。その根拠は何かといったらね、朝日が大宣伝した、吉田清治氏のね、あの慰安婦についての話ですよ。済州島で日本の官憲が、兵隊が、とにかく女性狩りをやったと。その話がね、全部国連のこの1996年、クマラスワミ報告書、日本が性奴隷を使っていたということで批判を受けるようになった、世界から批判を受けるようになったね、クマラスワミ報告書の基礎資料に、吉田清治氏の文献が証拠になってるということなんです。
で、この吉田清治氏の文献が、今度はジョージ・ヒックスっていう、オーストラリアでしたっけ、そっちの方のジャーナリストかなんかの文献の証拠になったりとか。
だから朝日新聞はね、今回の問題、確かにね、消し去ることのできない事実であることは間違いないですよ。だから女性をね、そういう風に性的に利用していたということは絶対にあってはならないし、今後二度と繰り返してはいけない。だけれども、それは日本だけが特別にやっていたことなのかどうなのか。世界はみんなね、自分たちがやったことを棚に上げて、日本に対して全部押し付けてきているわけですよ。
だから慰安婦像なんていうものが、どんどんどんどん、世界に広がってるじゃないですか。
僕はずっと繰り返し言ってきたのが、日本も悪いけれども、でも世界各国だって戦争っていう場においては、それ以上のことをやってるわけです。ノルマンディー上陸作戦のときもそうだし、ソ連軍だって、第二次世界大戦の最後、日本に侵攻してきた時に、満州でやってきたことなんて、もうレイプの連続じゃないですか。これも歴史的な史実であるわけですよ。で、そういうことは戦争の本当に悲惨な過去。絶対こういうことは繰り返しちゃいけない。
だけれども、日本国だけが性奴隷を使っていたという風に、世界から不当な侮辱を受けることに対しては、きちっと反論しなきゃいけないし、なぜそのような不当な侮辱を受けることになったかといえば、朝日新聞のあの間違った報道。32年間、過ちを認めてこなかったこの姿勢によって、吉田清治氏のあの著書が、国連の人権委員会の中の重要な報告書の資料になっている。こういうところも、もうちょっとね、朝日新聞は検証しなきゃいけないですね。
だから"ガラパゴス的な議論にしてはいけない"ってのはその通りだけれども、何も国内だけで、日本人がやってきたことは正しかったんだとか、間違ってないんだとか、そんな議論じゃないんですよ。
これはもう、世界標準として考えてね、日本がやってきたことはどこまでを反省して、どこからはきちんと反論すべきなのかってことを、しっかり考える。もう次のステップはそこですよ。だから今回、この問題ね、ここで終息させちゃだめですよ。
一つは、国連人権委員会の報告書をもっともっと検証してもらって、吉田清治氏の文献がね、国連人権委員会のクマラスワミ報告書の第2章で、これどんどん引用されて、これが元になって、日本は性奴隷を使ったって言う風になっているわけです。もし日本が性奴隷を使ったという評価なんであれば、これ日本だけじゃなくて世界各国です。
第二点は、これは、日韓関係をこじらせたのは朝日新聞の記事なんです。なぜかと言えばね、通常の戦争犯罪であれば平和条約ですべて解消する、というのが、これがもう原則ですよ。ルールです。通常の戦争犯罪とか戦争責任については平和条約で解消すると。
でもこれもね、世界スタンダードで、虐殺とかホロコーストとか、重大な人道違反の罪については時効はないと。平和条約では解決されない、っていうのが、これもまた世界標準です。だからナチスドイツの犯罪だったりとか、こないだもイギリスが植民地に対して行っていたいろんな暴行事件についても、それは時効なく賠償していかなきゃいけない。これはもう、ある意味、国連の中のね、国際標準なんです。通常の平和条約ではね、解消されない罪もあるんだと。
で、日韓基本条約、請求権並びに経済協定の中で、完全かつ最終的にこの慰安婦問題が解決された、というのは日本の主張だけれども、韓国は違うんですよ。で、国連の感覚も違うんです。
この慰安婦問題っていうものは、通常の戦争犯罪ではない、戦争責任ではないという、そういう評価なんです。なぜかといったら、国がね、国家を挙げて、女性を強制連行して性奴隷にしたんだから、こんなのは通常の平和条約では、日韓基本条約、請求権並びに経済協定、平和条約では解決した問題ではない、というのが韓国の主張でもあり、これが国連の評価でもある。
だから強制連行というものが、重要な要素になってしまっている。だからいくら日本が、1965年の日韓基本条約、請求権並びに経済協定でね、全部完全かつ最終的に解決されて、日本政府がいくら言っても、世界はそれを認めてくれませんよ。虐殺とか、ホロコーストとか、それから重大な人道違反についてはね、時効なし。永久にやった人間を処罰せよ。だから、今回の国連の自由権規約人権委員会からもまたそういう風にまた勧告が出ているわけですよ。
だからもっとね、日本国民も、ジャーナリストの皆さんも、何が論点なのかということをもう一回、見定めないと。今まではずっと国内の問題だけでね、この慰安婦問題は当時は合法だったんだから日本人に責任はない、非常にドメスティックな国内の議論でずっとやってきた。それに対して、朝日新聞や毎日新聞は批判してきた。「そんな問題じゃない。責任を感じろ、反省しろ」と。それは国内の問題なんです。
だから反省するところは反省して、お詫びするところはお詫びする。しかし今、世界の問題になってるんでね。この強制連行っていう事実によって、日本だけが性奴隷を使っていたという不当な批判受けていることと、それから平和条約では解決されない問題なんだよってことを世界から言われてしまっているんですよ。
だから強制連行の事実がないっていうんだったらね、これは通常の戦場の性の問題、通常の戦争責任の問題としてね、考えて、やっぱり平和条約で解決したというふうに考えるのかどうなのか。こういうところをね、日本と韓国でしっかり議論しなきゃいけないと思いますね。
朝日の罪は大きすぎますよこれ。本当に。こんな単純にこれ、今認めてね、いや、消し去ることのできない事実なんだから、強制連行の有無なんていうのは大した問題じゃない。強制連行の有無なんて大した問題じゃない、っていうのは、非常にドメスティックな、国際社会を見てない議論ですよ。強制連行があったかどうかってのは、国際社会ではものすごい重要なんです。
だから日本人も、産経新聞も、保守政治家もね、今回の朝日のこの記事によって、鬼の首を取ったように日本を正当化するんじゃなくて、謝るところは謝って、その代わり、国際社会で、強制連行という事実がどれだけ重要視されてね、日本が不当に批判を受けて、そして日韓関係がこじれているのか。もう一回これをやっぱり議論し直して、韓国とやっぱりしっかりと協議をしていかなきゃいけないと思いますよ。
少なくとも、朝鮮半島においては、強制連行という事実はなかった。このことを元にした議論というのはだめです。やっぱり日韓基本条約、請求権並びに経済協定の中で、解決する問題でもあり、だけれども何かしらの知恵を絞って、日韓関係が改善できないかを探っていくべきなんでしょうね。
※編集部注:ここで、大阪市が実施し、不当労働行為と認定された職員対象アンケートについて、再発防止の誓約文書を労働組合側に提出、謝罪することについてのやりとりがあった。
(朝日新聞記者に)…で、朝日はどうなんですか?まあ明日僕さんざんやりたいんですけどね、重大ですよ、これ。本当に。32年間。僕はだから、別にこれと労働組合の問題を一緒にするつもりも無いけれども、それはね、間違ったらすぐ謝らないとそれは。これは大問題。で、今になってね、あれびっくりしたけど、今年の3月か4月にやっと取材に行ったんですか?あれ。記事に載ってたけどもね、あれは酷すぎると思いますよ。
だから何を論点として何を騒いで、日本の、何て言うのかな。どこまで日本をね、侮辱し続けるのかっていうかね、それで気持ちいいと思っているのかどうなのか分からないけども、これはね、罪大き過ぎると思いますよ。32年間、ずーっとこの問題をこうやって報じて、やっとこれ、ここに来て逃げられなくなったから、まあ認めることになったんだろうけど。
そのかわりね、最後のあれなんて、もっと記者が怒んないと。あんな情けないことを、最後ね、"読売でもこう書いていた。産経新聞でもこう書いてた"なんて、あれを書いたことによって台無しですよ。結局あれ、"他紙もやってたから。他紙もやってたでしょ、だから私もしょうがないでしょ"って、まさに僕を批判してた、自分を正当化している論拠じゃないですか。なんであんなもん載せたんですかね。他紙なんか関係ない、他国は関係ないと言い続けてたのは朝日新聞じゃないですか。"他国はどうであれ、日本がやったことについて反省しろ"って、僕に対して言い続けてきたんですよ?
僕は別に日本をね、正当化するつもりはないですよと、ロジックが違うということは言い続けてきました。これはロジックの転換をやったからね、当初はもう、メディアもみんな付いてこられなかったわけです。今までの保守政治家ってものは、日本を正当化するためにね、強制連行はなかったんだと。強制連行がなかったから日本は別に問題なかったんだと。僕はこれは違うっていうことは言い続けてきましたよ。強制連行があろうとなかろうと、やったことについて反省すべきところは反省する。
ただ強制連行についてはね、これは国際社会の評価の中で重大問題。だから僕が外国人の特派員協会のところに行ってもね、"強制連行やったじゃないか"ってその1点でした。"自分のところはやってない。あんたのところは強制連行やって性奴隷の制度を使ってたじゃないか"と。
今回、強制連行がなかったということになったらね、日本だって、これ、誇れることじゃない、絶対に反省しなきゃいけないけれども、他国と同じような、まさに戦争の中の戦場における性の問題として、不幸な過去としてね、世界各国が共有すべきような、そういう事案、それと同じなわけですよ。 それを強制連行、強制連行と言っていたもんだから、日本だけが性奴隷を使っていた、日本だけが特殊なことをやっていた、だから謝れ、謝れ。これはひどいと思いますよ。
で、最後の最後に"他紙もこういう風に報じてた"。"他紙もやってたんだから"。情けない。ほんと情けない。だから、集団的自衛権の話にしても、何にしても、かつては朝日が言えばね、世の中がこうやって動いていたのかも分からないけど、みんなそういうことを見抜き始めたんですよ。明日またやりましょう。
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