地デジ化直前 法案を作った元大臣 片山虎之助議員会見 - BLOGOS編集部
※この記事は2011年06月30日にBLOGOSで公開されたものです
7月24日の地上デジタル完全移行を前に、郵政大臣、自治大臣、総務庁長官、総務大臣を歴任した、たちあがれ日本・片山虎之助参議院議員の記者会見が、自由報道協会主催で行われた。【取材：構成 田野幸伸(BLOGOS編集部)】片山：最後の郵政大臣、最初の総務大臣をやりました。放送や通信を管轄して3年くらい。その後も自民党で情報通信のまとめ役をやっていた。平成13年の電波法改正でＴＶのデジタル化を明記した。来月24日でアナログが停波する。あれから10年かと感慨深く思う。これは国策だった。いろいろあったがデジタル化は上手く行っていると思う。
送信側は民放もＮＨＫも頑張って、中継局を1万箇所以上作った。受信側はエコポイントやデジタルサポートセンターとか普及の応援をやって、97～8％はデジタル化が済んでいる。問題は東日本大震災。岩手、宮城、福島は１年法律でアナログ停波を遅らせた。手間もお金もかかるが、これは仕方ない。政府が応援する。デジタル化は世界の流れ、電波を合理的に使うためだ。新たに生まれる35％の空きを、携帯電話やマルチメディア、防災関係に割り当てる。
ＮＨＫの問題だが、一つはガバナンス。去年から今年にかけて、会長選びが騒動になった。大変な醜態だ。ああいう決め方は良くない。もっと根本的に、ＮＨＫと民放の住み分け、公共放送は何をするべきか考える時期に来ている。今回の震災の報道は割りに良かったと思う。公共放送という事で、受信料を取っているということは、民放に比べて遥かに有利。ＮＨＫは準公務員だが、不祥事が多い。しかもくだらん不祥事が。やるならもっと堂々たる不祥事を（笑）企業としてコンプライアンスをもう一度考えなければならない。ＮＨＫへの就職だってなかなか入れないんだから。職員の教育を考えなさい。
そしてもう一つはコンテンツの2次利用、オンデマンドの有料化。国民が受信料を払って作ったものなんだから、利用の仕方を考えなければならない。ＮＨＫで必要なのは国際放送の強化。今の国際放送にかかってるのは200億。国からも30～40億税金が入っている。それなのに日本語と英語の放送しかやっていない。中国などは国際放送にすごく力を入れている。韓国も追いかけている。日本は発信力が足りない。今回の震災でも、ＮＨＫがしっかり世界に発信していれば風評被害を防ぐことが出来た。
質疑応答
Q:周波数オークションについて
片山：欧米の例を見ると、オークションで落としてからが上手く行ってない。大金があれば電波が押さえられるというのはいいことではない。国民の共有財産だから、高く売ったほうがいいのは分かるが、無制限・青天井でオークションをやるべきではない。
Q:元総務大臣ということで、管轄だった選挙制度・インターネット選挙について
片山：本当は（ネットでの選挙活動を）認めたほうがいいと思うが、選挙の公正を害する恐れがある。虚偽、誹謗中傷などをどうチェックするか。（相手陣営の悪口を）言いたい放題、書きたい放題になるので品の悪い選挙になる。が、基本的には解禁論者。チェック機能だけだな。
Q:今回の地震に関して、政府・総務省の対応は？
片山：地域の復興・復旧は地域の人の意見を聞いてやること。まず、元の生活に戻すことが大事。夢のような生活を望んでいるわけではない。国主導の復興は良くない。原子力発電についても、（原発が）なくなってはみんな困ってしまう。国民生活が維持できない。電気代が上がれば大きな企業が出て行ってしまう。ちゃんとした理解を国民に持ってもらいたい。５割というのは極端だが、何割かは必要。
Q:マスメディア集中排除の法則について
片山：集中排除が筋だが、経営の状況、人的能力を見ると、集中させてくれという意見が多い。メディアはだんだん変わっていく。その中で見直せばいい。今は止むを得ない。デジタル化まではメディアの集約は仕方なかった。
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「老練」という印象だった。「筋だが」「本当は」「止むを得ない」。自民党の中枢で「理想はそうだが、現実のベターはこうだよね」という利害関係の調整を数多くやってきたのだろう。
果たしてその手法で、東日本大震災から日本はたちあがれるのだろうか。
