ロシア新型旅客機、極寒シベリアでひたすら冷やされる試験を完了…なぜ実施? MC-21-300
マイナス30度って……ヒエ〜!
1月23日から約4週間実施
統一航空機製造会社(UAC)は、開発を進めている新型旅客機「イクルートMC-21-300」試験機が、シベリア地方にある極寒都市、ヤクーツクでの寒冷地試験を完了し、モスクワ州・ジューコフスキーの拠点に戻ったと、2022年2月19日(土)に発表しました。ヤクーツクはロシアのなかでも寒冷地として知られ、12月から2月にかけて1日の平均気温は、摂氏マイナス30度台にもおよぶとのことです。
寒冷地試験を行うイクルートMC-21-300試験機(画像:UAC)。
ヤクーツクでは1月23日から約4週間、機体とシステムの各種試験を実施。各試験項目の実施前には、屋外に機体が約12時間超駐機されたのち、給油、システム電源投入、メインエンジンや補助動力装置の始動、出発前の飛行準備の手順のテストが繰り返されました。
試験飛行では、同機の全システムに、低温による影響が無いか確認されました。ヤクーツクでの寒冷地試験では、最大6時間の飛行プランが設定。着陸は主に夜間に実施され、メインエンジン1基を計画的に停止させた飛行や、エンジン停止状態からの起動といった内容のテストフライトが、その極寒の環境の中実行されました。
イルクートМС-21ファミリーは、163〜211席を搭載できる単通路機で、競合機はエアバスA320ファミリー、ボーイング737ファミリーなどです。МС-21-300(MS-21-300)型は、プラット・アンド・ホイットニー製のPW1400G-JMエンジンが搭載されています。
寒冷地でのこういった試験はМС-21-300に限らず、民間旅客機は実施が必須になっています。機体にとって過酷な極寒条件のもとこういった試験を実施することで、機体のシステムや、各種設備の耐寒性能をチェックします。