でき立てのラーメンから本格サラダまである次世代自動販売機！ あらたなる食の革命となる可能性
しかし現在の自動販売機の設置数は、毎年緩やかな減少傾向にある。
日本自動販売システム機械工業会が発表した自動販売機データによると、自動販売機の普及台数は、2010年に約521万台だったが、2020年には約405万台に減少しているのだ。
こうした減少状況の打破をめざして従来の自動販売機では実現できなかったサービスや商品の展開を試みる次世代自動販売機が次々に登場し、大きな転換期を迎えつつある。
そこで今回は、次世代自動販売機と各社の取組み、そして自動販売機の今後についてまとめた。
■次世代自動販売機とは？
次世代自動販売機の特徴は、
商品の販売だけでなく、様々な付加価値を提供する自動販売機のことだ。
飲料総合ブランド「acure（アキュア）」の自販機もそのひとつだ。
acureは、JR東日本のエキナカを中心に約8000台の自動販売機を展開している。
acureのイノベーション自販機は、前面に大画面ディスプレイを搭載し、商品や商品の説明が表示されているのが大きな特徴だ。
acureのイノベーション自販機
しかし、それだけではない。
利用者の性別や年齢を判断して商品をすすめる機能まで搭載し、気温や時間帯にあわせたコンテンツ配信も可能で、デジタルサイネージとしての機能までもっている。
また、スマートフォンアプリ「acure pass」（アキュアパス）を利用すれば、スマートフォンからドリンクを購入でき、自動販売機にQRコードをかざすだけで商品を受け取ることもできる。
■でき立てのラーメンが食べられるYo-Kai Express の次世代自動販売機
米国企業「Yo-Kai Express（ヨーカイ・エクスプレス）」は、ラーメンの調理と販売を兼ね備えた次世代自動販売機を提供している。
もはやラーメンは日本だけでなく世界でも人気の食品だ。
日本では特に多くの人に食されていることから、日本進出に至ったという。
日本では、昨年11月にオープンしたばかりのショップ「b8ta Tokyo - Shibuya（ベータ・トーキョー・シブヤ）」（東京・渋谷）に試作機が設置されている。
Yo-Kai Expressの次世代自動販売機の試作機
ラーメンを購入するには、
画面の商品を選択後、クレジットカードまたはQRコードで決済する。
決済が完了すると、冷凍ラーメンがスチームで加熱され、90秒ほどで熱々のラーメンが出てくる。ラーメンに本格的な生麺と具材を使用したことで、インスタントラーメンとは一線を画す点が大きな違いだ。
「b8ta Tokyo - Shibuya」に設置された次世代自動販売機の試作機で提供されているラーメンは4種類で、麺や具材、スープは、それぞれ異なる。
価格は調整中だが、700〜800円前後を予定している。
取材時は、自動販売機が調整中のため、残念ながら試食はできなかった。
試食したスタッフによると、本当に熱々のラーメンが出てきて、美味しいとのこと。
麺はコシがあり、チャーシューは厚みがあり、しなちくはシャキシャキで、本格的なラーメン店に近いという。
自動販売機のディスプレイから好みのラーメンを選択する
Yo-Kai Express CEO アンディ・リン氏は、
開発の動機を「必要に迫られたから」という。
ある日、深夜にお腹が空き、インターネットで食事ができる場所を探したが、あいにく見つからなかった。その後YouTubeで、うどんの自動販売機が日本にあることを知り、テクノロジーの力で今までにない調理機を作ろうと思い、次世代自動販売機の開発に着手した。
米国ではカリフォルニア州を中心に繁華街や商業施設、空港、カフェ、大学などに設置され、時間を問わず美味しい料理が食せると話題になっている。
日本では今後、JR東日本と提携して、新たなレシピの開発および沿線への自動販売機の設置を目指すとしている。
■淹れたてのコーヒーが楽しめるAIカフェロボット「root C」
株式会社New InnovationsのAIカフェロボット「root C」（ルートシー）は、淹れたてのコーヒーを提供する次世代自動販売機だ。
スマートフォンアプリで受け取りたい場所（ステーション）とコーヒー、時間を指定する。
またスマートフォンアプリでは、いくつかの質問に答えるだけで最適なコーヒーを提案してくれるパーソナライズ診断機能「root C MATCH」も提供される。
root Cなら自分好みのコーヒーが楽しめる
root Cのコーヒーは、単品購入だけでなくサブスクリプション（月額定額制）による購入も可能なところが面白い。
・単品購入 450円/杯
・Limited Plan（8杯まで） 1,980円/月
・Unlimited Plan（杯数無制限） 7,980円/月
■新鮮なサラダが食べられる「CRISP STATION」
株式会社CRISPのサラダストア「CRISP STATION」（クリスプ・ステーション）は、新鮮なサラダを提供する無人販売機。
1号店は昨年11月1日（月）、東京駅近くの丸の内ビルディングにオープンした。
CRISP STATIONのサラダの種類は豊富だが、いずれも1,295円（税込）と同じ価格で販売されており、その日の気分や食事に合わせて選択ができる。
購入方法は、各サラダのパッケージのQRコードをスマートフォンで読み取り、クレジットカードで決済する。
豊富な種類が並ぶサラダの無人販売機だ
次世代自動販売機は、いずれも消費者に本格的な商品だけでなく、新しい負荷価値も提供している。さらに次世代自動販売機が増えることで、購入データの抽出から新しいビジネスの開拓にも期待できる。
今後はroot Cのように個人にカスタマイズした商品を提供する自動販売機も増えてくるだろう。
・acure＜アキュア＞
・Yo-Kai Express
・AIカフェロボット「root C ルートシー」
・CRISP STATION
ITライフハック 関口哲司
