【▲天の川銀河と恒星ストリーム「C-19」のイメージ図。C-19は左下の方にほのかに見えています(Credit: Gabriel Pérez Díaz (SMM, IAC).)】


スペインのアストロフィカ・デ・カナリアス研究所は1月5日、スペインのアストロフィカ・デ・カナリアス研究所の研究者も参加する研究チームが、天の川銀河でも最も古い構造となる恒星ストリーム「C-19」を発見したと発表しました。研究チームによれば、C-19は球状星団の名残だといいます。


【▲恒星ストリーム「C-19」と球状星団の分布図、球状星団は〇であらわされ、重い元素の含有量に応じて色付けされています。赤は重い元素をより多く含み、青はより少なく含んでいます(Credit: N. Martin & Observatoire Astronomique de Strasbourg; Canada-France-Hawaii Telescope / Coelum; ESA/Gaia/DPAC.)】


球状星団は数十万個の恒星がほぼ球状に集まった星団です。とても古く、銀河の辺縁部などに分布しています。


恒星の流れである恒星ストリーム「C-19」はこの球状星団の名残です。球状星団が天の川銀河の重力によって引き延ばされたものになります。


で、重い元素は恒星内部の核融合反応や超新星爆発などによって少しづつつくられて宇宙に拡散していきます。そのため、恒星がどれくらい重い元素を含んでいるか調べると、その恒星がいつ誕生したのか解ります。重い元素を多く含んでいる恒星は比較的に新しく、重い元素を少なく含んでいる恒星は比較的に古いということになります。


そこで、研究チームは「C-19」を構成する恒星について、それに含まれる重い元素の量を調べたところ、非常に少なく、これまで天の川銀河でみつかっているもののなかでも、最も古い構造であることが解りました。その重い元素の含有量は太陽の0.04%ほどしかありませんでした。


研究チームは、このような研究成果を、ESA(欧州宇宙機関)のガイア位置天文衛星やカナダ・フランス・ハワイ望遠鏡(CFHT)など複数の地上の望遠鏡の観測データを組み合わせることで成し遂げました。


アストロフィカ・デ・カナリアス研究所から研究に参加したカルロス・アジェンデさんは「今回の発見は天の川銀河の進化の最も初期の段階についてのよりよい理解につながるものです」とコメントしています。


 


Image Credit: Image Credit:Gabriel Pérez Díaz (SMM, IAC)./N. Martin & Observatoire Astronomique de Strasbourg; Canada-France-Hawaii Telescope / Coelum; ESA/Gaia/DPAC.
Source: アストロフィカ・デ・カナリアス研究所(プレスリリース)/論文
文/飯銅重幸(はんどうしげゆき)