顔がむくむのは水分貯留も水分不足もどちらも原因!自分でできる解消方法や放置してはいけない症状を徹底解説!

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顔のむくみは放置NG!顔が浮腫むのは、生活習慣の乱れや病気が原因である場合も。ここでは考えられる浮腫みの原因や対処法などをMedicalDOC監修医が紹介します。

監修医師:
楯 直晃 医師(リアラクリニック)

2013年熊本大学病院初期臨床研修医
2015年熊本大学病院総合診療専門修練医
2018年国立熊本医療センター救急集中治療部医員
2020年リアラクリニック名古屋院院長
2021年メディカル・テート株式会社CEO

救急科専門医、抗加齢医学専門医、プライマリケア認定医、内科認定医、産業医、健康スポーツ医、医療経営士、禁煙サポーター、日本産婦人科学会会員、厚労省緊急避妊研修修了、厚労省緩和ケア研修修了

「顔のむくみ」で考えられる原因・病気と対処法

人体の中の水分は、細胞内や血管内以外の領域にも存在し、これを組織間液と言います。顔のむくみは、顔の組織間液が異常に増えた状態です。組織間液が増える原因には、生活習慣の乱れの他に、臓器の機能低下や、血流、ホルモンバランスの異常など、いろいろな病気があります。それぞれの原因や病気に応じて対処法も異なりますので、わかりやすく紹介します。

ずっと顔が浮腫んでいる、むくみが取れない場合の原因と治し方

ずっと顔がむくんでいる場合は、体全体に異常に水分が貯まってしまう病気の可能性が考えられます。具体的には、心不全腎不全肝不全甲状腺の病気などが考えられます。
心臓は、血液を循環させるポンプとしての役割を持ちます。心不全になると、血液循環がスムーズに行われなくなります。その結果、顔や全身のむくみが現れます。
腎臓は、体の中の余計な水分を尿として排泄する機能があります。腎不全では、排泄が十分にできずにむくみの原因となります。

肝臓の機能が低下

肝臓の機能が低下すると、血液のタンパク質不足や血液バランスの異常が生じ、これらもむくみの原因と言われています。肝硬変や肝炎といった肝不全を起こす病気では注意が必要です。

甲状腺の病気

甲状腺ホルモンは、代謝機能を活発化させる働きがあります。橋本病など甲状腺機能の低下する病気は、水分代謝の低下から、むくみの原因となります。
それぞれの原因に応じて根本的な治療方針が異なるため、まずは一般内科で確実な診断を受けましょう。息苦しさや尿が出ないなどの症状がある場合は、緊急での処置が必要となることもあり、救急病院への受診も検討すべきです。

朝起きると必ず顔がむくむ場合の原因と治し方

日中は重力の影響で体の水分は足の方に移動するため、顔がむくむことは通常はありません。しかし、床に横たわった状態は、重力を全身がほぼ等しく影響を受けるため、朝起きた際に顔がむくんでいることがしばしばあります。
生活習慣によっては、朝に強く顔がむくむことや、長引く場合もあります。塩分の多い食べ物を多く摂取することや、寝る前の水分の摂り過ぎは、体内の水分が過剰になる原因となります。このような場合は、生活習慣を改めることでむくみが改善することがあります。

顔がむくんで痛い、頭痛を伴う場合の原因と治し方

顔がむくんで痛い、頭痛を伴う場合は、アルコール摂取が原因である可能性が考えられます。アルコールには、血管を拡張させる作用があり、血管の拡張によって血管内の水分が組織間液に移行し、むくみや頭痛の原因となります。アルコールを摂取するときは、適量を守りましょう。

生理中や生理前に顔がむくむ場合の原因と治し方

生理前になると、ホルモンバランスの変化によって、黄体ホルモン(プロゲステロン)の濃度が上昇します。プロゲステロンは、体に水分をため込むはたらきがあります。生理前に限らず、生理中もプロゲステロンの濃度は高い状態が続くため、この期間は顔がむくみやすくなります。生理自体は人間の体に起こる自然な変化で病気ではないため、生理中や生理前に他の症状で困ることがなければ、受診する必要はないでしょう。

産後に顔がむくむ場合の原因と治し方

出産による母体の変化で、産後数日から数ヶ月は、顔や全身がむくみやすくなります。分娩時に羊水が一度に体外に出ることや、母乳をつくるために、産後は体に水分をため込みやすい状態になることが原因です。また、産後は運動不足や睡眠不足になりがちで、血液循環が悪くなることもむくみの原因となります。水分摂取をこまめに行い、家の中でもできる簡単な運動を行うことや冷えを防ぐことでむくみを予防しましょう。

すぐに病院へ行くべき「顔のむくみ」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

過食や嘔吐を繰り返して顔がむくむ場合は、心療内科・精神科へ

過食や嘔吐を繰り返す病気として、摂食障害があります。

摂食障害(せっしょくしょうがい)

摂食障害には、極端な食事制限や、過食と嘔吐を繰り返すといった食行動の問題に応じて、拒食症や過食症など種々の病態があります。それらの病態によってさまざまな心身の症状が出現します。いずれの病態においても、栄養状態が非常に悪くなるため、タンパク質不足となり、顔や体のむくみが出現します。摂食障害の原因は、ボディバランスイメージの異常による認知の歪みや、強迫観念などの心理的要因が主な原因と言われています。主な診療科は、心療内科や精神科です。全身状態が非常に悪い場合や、その他の合併症がある場合には、内科を受診する必要もあります。

息苦しさがある場合は、救急科へ

息苦しさがある場合は、心不全などの可能性があります。原因次第では、人工呼吸器や透析治療などの集中治療が必要となる場合もあります。できるだけ早く、救急病院を受診しましょう。

尿が出ない場合は、救急科へ

尿が出ない場合は、腎不全などの可能性があります。原因次第では、人工呼吸器や透析治療などの集中治療が必要となる場合もあります。できるだけ早く、救急病院を受診しましょう。

皮疹がある場合は、内科・皮膚科へ

食べ物や薬などに対するアレルギー反応などで、皮疹や顔のむくみが出る場合があります。じんま疹や薬疹の可能性があるため、内科や皮膚科で原因の評価が必要です。また、重症化して血圧が下がり気を失うことや、息苦しさを伴う場合もあります。皮疹や顔のむくみの他に症状があるときは、救急病院への受診を検討すべきです。

「顔のむくみ」の解消方法&予防方法を紹介!

顔のむくみが出現するのは、必ずしも体内の水分が過剰な状態ばかりとは限りません。水分不足で体内の血流が悪くなると、体内の水分が停滞しやすくなり、顔がむくむ原因となります。
ここでは顔の浮腫みの解消方法と予防方法を紹介します。

顔がむくむのは、水分不足とタンパク質不足が原因!

また、偏った食生活などで栄養バランスが悪くなると、血液中のタンパク質が不足しがちです。タンパク質は、血管内に水分を保持する力を持つため、タンパク質不足だと、組織間液に水分が移動し、むくみの原因となります。現代人は、さまざまなストレスや生活環境、食習慣の変化などにより、水分とタンパク質が不足しやすいです。健康な生活を送る上で水分とタンパク質は必要不可欠です。特に持病がない場合は、水分は1日2ℓを目安に摂取しましょう。タンパク質については、大豆製品などの植物性タンパク質を中心に摂取することが望ましいです。

運動不足、肩こりも顔がむくむ原因!ツボやマッサージで解消!

慢性的な運動不足では、全身の血液循環が悪くなりやすく、体内の水分が停滞する傾向にあるため、顔のむくみの原因となります。また、肩こりも血行が悪くなることがその原因
の一つです。特にデスクワークが中心の人は、一定の姿勢で作業する時間が長いため、血流の低下が起こりやすいです。できるだけ定期的に身体をほぐすことや、運動を行う習慣づけをするとよいでしょう。血行の改善という点からは、ストレッチやマッサージ、ツボのような民間療法もむくみに対しては効果がある可能性はあります。むくみに対して確実な効果が得られる正しい方法で行うためにも、今後十分な効果の検証が必要となるでしょう。

顔がむくみやすいときは塩分、糖分を多く摂り過ぎる食生活に注意!

塩分、糖分を多く摂り過ぎると、血管内の水分の量が上昇し、組織間液が増えます。顔がむくみやすいときは、塩分や糖分の摂取は控えめにする必要があります。日頃の食事では、塩や砂糖は過剰にならないように、できるだけ味付けは薄めにしましょう。特に外食では、味付けの濃いものが多いため、十分に注意する必要があります。

「顔のむくみ」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「顔のむくみ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

浮腫みをとるために顔を冷やすのは効果的?

楯 直晃 医師

効果的な場合があります。
顔のむくみが強いときに、氷や保冷剤などで、むくんだ目などを冷やすことで、むくみの解消につながる場合があります。冷やすことで、毛細血管が収縮するため、血管内から細胞間質への水分の移動が少なくなるためです。スポーツによるケガなどで冷却処置が行われるのも、毛細血管を収縮させることで、むくみと痛みをできるだけ落ち着かせることができるからです。

ストレスが原因で顔がむくむことってあるの?

楯 直晃 医師

ストレスによる体のホルモンバランスの変化がむくみの原因となることがあります。
特に副腎から産生されるステロイドホルモンには、体内に水分を貯め込む働きをもつはたらきがあり、ストレスに応じて副腎からのステロイドホルモンの分泌量が増えることは、顔のむくみの原因になります。顔のむくみが続く場合や、他に症状がある場合は、ストレスの除去が必要となることや、ストレス以外の原因の可能性もあるため、まずは一般内科を受診しましょう。

サプリや漢方、薬で顔の浮腫みは解消できるの?

楯 直晃 医師

サプリメントや漢方薬については、むくみに対してまだ十分に有効であると判断する根拠に乏しく、今の時点では必ずしもおすすめはできません。
一部の医療用医薬品を適切に用いれば、顔のむくみの解消に役立つ可能性があります。心不全や腎不全などが原因で、明らかな体内の循環血液量の上昇が原因で起こるむくみについては、利尿薬で体内の水分を尿として排泄することで改善する可能性があります。フロセミドなどのループ利尿薬や、スピロノラクトンなどのカリウム保持性利尿薬が有効ですが、その使用にあたっては副作用などに十分に注意する必要があり、医療機関での診察、処方が必要です。

まとめ

顔のむくみは、病気が原因で起こることもありますが、生理や出産、生活習慣が原因となる場合もあり、多くの人が経験しているものです。むくみが強いときや、むくみの他に様々な症状が出てつらいときは、一度医療機関を受診しましょう。

「顔のむくみ」で考えられる病気

「顔のむくみ」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

内科の病気

心不全

腎不全

肝硬変

甲状腺機能低下症アナフィラキシー

血管性浮腫

産婦人科・精神科の病気

妊娠中毒症

産褥期

摂食障害

「顔のむくみ」に似ている症状・関連する症状

「顔のむくみ」と関連している、似ている症状は12個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについては詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

むくみが取れない

朝に顔がむくむ

頭痛がある

生理前・生理中に顔がむくむ

産後に顔がむくむ

過食や嘔吐を繰り返す

皮疹がある

息苦しさがある

満月様顔貌(ムーンフェイス)手のむくみ目の腫れ唇の腫れ

「顔のむくみ」症状の他に、これらの症状がある場合も「心不全」「腎不全」「肝不全」「甲状腺機能低下症」「摂食障害」「じんましん」などの疾患の可能性が考えられます。
複数併発している場合は、なるべく早く医療機関への受診をおすすめします。

【参考文献】

■英国精神医学会摂食障害NICEガイドライン2017