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 熊本名物といえば、辛子蓮根、馬刺し、最近ではあか牛などいろいろあるけれど、食べ歩きしてみたいのはやはり「熊本ラーメン」。豚骨のドスっとしたスープに、香ばしいニンニクがたまらない。

 育った場所にもよるけれど、東京育ちの熊本ラーメンデビューと言ったら、新宿のアルタ近くにある『桂花ラーメン』。初めて食べた豚骨スープの独特の香りや力強さは衝撃的だった記憶があります。東京育ちのイメージする熊本ラーメンは桂花って人、結構いると思う。

 ということで、今回は熊本出張の帰りに、熊本空港内で販売していた熊本ラーメンの中から、桂花以外の5つを購入して食べ比べです!

(左上)『北熊』、(左中)『大黒』、(左下)『黒亭』、(右上)『文龍』、(右下)『こむらさき』。北熊は1人前、文龍は3人前、残り3つは2人前

 基本的にいずれも半生タイプの麺に、スープの素が入っていて、賞味期限は購入日から数えると、2~3ヶ月程度。となると、多めに買って、人に配ってもよし、自分で好きなお店のものを買いだめしても良さそうです。

 市内はもちろん、お土産もくまモンだらけのなか、熊本ラーメン5店のパッケージにいずれにもくまモンのマークがないのが、逆に独自性を感じます。くまモンに頼らなくても勝負できるってことなのか。ラーメンの完成写真やメッセージのアピール感が強い!

スープの濃さにこだわりあり!「火の国 文龍」

箱入 「熊本 火の国 文龍」3人前1296円。3食入りなので当然他より箱が大きい。麺の茹で時間は一番短い1分半

 箱を見ると、「人気の秘密は超がつくほどにこってりとしたスープにあります」と書かれています。毎日300kg前後の豚骨を煮込んで作る濃厚な豚骨スープに中細麺で熱狂的なファンを生み続けているとのこと。3食の内訳は麺110g×3、添付調味料95g×3。1食分の熱量は561kcal。ちょっと気になる脂質は20.0g。

箱の中身。麺は中細麺。そしてスープの素を開けてみると、とっても濃厚でどろっとしている

 作り方は、添付のスープを1人前約250ccのお湯で希釈、麺の茹で時間は1分半。あらかじめ丼を温めておくのが美味しさのワンポイントとのこと。他の4つが麺100gなのに対し、ここだけ110g。ちょっとだけボリュームがあります。

流石の濃厚アピール。スープの味がとってもこってりしている

 “スープの濃さにこだわりあり!”と書いてあるだけあって、確かにスープは超こってり。豚骨ならではの、ほんのりとした甘味も感じます。そして、ストレート麺のイメージが強い熊本ラーメンにおいて、ちょっとだけ縮れている麺も好相性。豚骨感満喫の美味しさです。

昔ながらの熊本の味「熊本ラーメン 黒亭」

「熊本ラーメン黒亭」半生ラーメン864円。2食入り。海苔もついてる

 箱に「昔ながらの熊本の味」と書かれた「熊本ラーメン専門店黒亭(こくてい)」。昭和32年に、熊本市二本木で創業、お客様への思いのこもったほっとする味、と書かれています。つまり熊本で60年以上続く老舗店のラーメンってことですね。それは期待が高まります。

海苔や焦がしにんにく油などもセットに。トッピング付きっていい!

 内容は麺100g×2、スープ39g×2、焦がしにんにく油7g×2、海苔0.75g×2。海苔が入っているのは5個中これだけ。1食分の熱量は459kcal。脂質は15.6g。作り方は添付のスープと焦がしにんにくを270~300ccのお湯で希釈、麺の茹で時間は2分です。

ストレート麺に焦がしニンニク。5つの中でスープが一番褐色だった

 まず、海苔がセットになっているのが良心的。あるとないとじゃ、やっぱり違う! そして、焦がしにんにくの香ばしさがバシッとくる! 脂感があるのに、すっきり感もあるのは、おそらくこの香ばしさからなのかも。超個人的な感想だけれど、ザ・熊本ラーメン! と思える美味しさです。

昭和29年創業 元祖熊本ラーメン「こむらさき」

「こむらさき」半生ラーメン864円、2食入り

「元祖」の文字がつく「熊本ラーメン こむらさき」。箱にも堂々と昭和29年創業と書かれています。新横浜ラーメン博物館に入っているので、横浜エリアの人なら知っているかも?

 そして特筆すべきは秘伝にんにくチップ入り。「熊本ラーメンの特徴である、こむらさき発祥のニンニクチップは魔法の粉と呼ばれ、こだわり続けた伝統のとんこつスープをより味わい深く引き立てます」と書かれています。魔法の粉。いい響きだ~。

透明な袋はかやく。スープのお城のイラストはおそらく熊本城?

 内容は麺100g×2、スープ40g×2、火薬3g×2。1食分の熱量は420kcal。5個の中で一番カロリーが低い。脂質は9.2g。作り方は、添付のスープを300ccのお湯で希釈、麺の茹で時間は2分程度です。

乾燥ネギとにんにくチップ、乾燥キクラゲのかやくがあるだけで見た目がぐっと美味しく見える。乾燥キクラゲはほんのちょっと。存在感低め

 食べてみると、熊本ラーメンだけれど、ちょっとだけ博多とんこつに近い気もします。豚骨感はしっかりありつつも、すっきりとしたスープなのでドスっと濃厚感が苦手な人には喜ばれそう。爽やか系熊本ラーメン、という印象です。5個の中で一番カロリーが低いので、カロリーが気になるけれど、豚骨ラーメン食べたい、という人向けにも良さそうです。

頑なに守り続けるこだわりの味「支那そば 北熊」

「支那そば 北熊」中華めん(半生)594円、1人前

「支那そば 北熊(ほくゆう)」は、豚骨じゃなかった! 袋書きを見ると、鶏ガラをベースに、玉ねぎ、ニンジンなどの野菜を加えて長時間炊き込み、鳥と野菜の旨みを十分引き出して、縮れ麺との相性をよくした北熊独自の支那そば、とのこと。そして麺、スープの他に、特製揚げネギが入っています。

縮れ麺に鶏ガラ+野菜スープ+背脂のスープ、特製揚げネギ入り。1人前ってお土産に配るのにも良さそう

 内容は麺100g、スープ65g、揚げネギ1.5g。1食分の熱量は533kcal。脂質は23.0g。作り方は添付のスープを300ccのお湯で希釈、麺の茹で時間は3分が目安とのこと。ちなみに揚げネギは長ネギではなく、揚げたタマネギです。

鶏白湯系スープに焦がしネギがいいアクセント!

 見た目は同じ白濁色だけれど、やはり鶏。甘みとすっきり感が強い。だからこそ焦がしネギがビシッと味を決めている感じがします。そして、他に比べて塩気が若干キリッとしているのかも。豚骨に負けず劣らずの濃厚鶏系、という感じです。

焦がしニンニク入りとんこつスープ「熊本ラーメン 名店大黒」

箱入り「熊本ラーメン名店大黒」2人前648円、つまり1人前324円で本場の味!

 こちらも箱書きを見ると、「焦がしニンニク入りとんこつスープ」「お店の味をそのままに」などのキャッチコピーのほか、「お店にも是非いらしてください。頑固に一生麺名『旨さ』を守りながらお待ちしております」という店主のメッセージと店主の顔写真が。人柄が伝わってくるパッケージです。

ストレート麺とスープの素。こちらも具材は自分で用意が必要

 内容は麺100g×2、添付調味料60g×2。1食分の熱量は446.5kcal。脂質は14.3g。作り方は添付のスープを300ccのお湯で希釈、麺の茹で時間は2~3分です。5個の中で一番麺が細いかもしれません。

ニンニク濃厚味が好みの人にオススメ。見た目以上にドスっときた!

 そして、シンプルに見えて、一番ニンニク感が強かったのがこれ。最初にニンニクがブワッときて、あとから豚骨の甘みが広がってきます。飲んだ後のシメで食べたら美味いんだろうなぁ。シンプルに見えて、グッとくる味、といえそうです。

多彩で奥深い熊本ラーメンは一括りにしてはいけない魅力がいっぱい!

白濁スープでもネギやニンニクなどで全く違う美味しさ。熊本ラーメンの印象が変わった~

 5個の熊本ラーメンを食べてわかったのは、麺もスープもそれぞれに違いがあって楽しい! 濃厚推しなら「文龍」だし、ニンニクがっつりが好きなら「大黒」。老舗、オーソドックスなのがいいなら「黒亭」や「こむらさき」とか。もちろん豚骨に負けない濃厚な「北熊」も買って大正解。

 そして、どのラーメンにも言えるけれど、より美味しく味わうなら、刻みネギと海苔は用意すべき。煮卵やチャーシュー、メンマは、あればもっと幸せ、という感じです。ちなみに今回、食べ比べのために熊本県、有明海産の海苔を上天草市のリゾラテラス天草で入手し、近くの青果店でたまたま売っていた熊本産青ネギも購入。トッピングで熊本ローカル感をアップさせると、食べる楽しみがより増えるのでオススメですよ。

(取材・文◎いしざわりかこ)