POOL New / Reuters
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2018年に国際宇宙ステーション(ISS)で発生したエア漏れ事故は、その年の6月にISSにドッキングしたソユーズに2mmの穴が開いていたのが見つかり、それを塞ぐことでとりあえず危機は去りました。その後ロシアの宇宙機関Roscosmosは問題の調査を行い、調査結果をまとめましたが、ロシアのニュースソースRIA Novostiは先週、Roscosmosがその報告書をロシアの法執行機関に送ったと報じました。

Roscosmosは公式には何も述べていませんが、ロシアのタス通信は、今年4月、事故発生当時ISSに滞在していたNASAのセリーナ・オナン=チャンセラー飛行士が深部静脈血栓症を発症し「急激な精神不安定状態」となり、地球への帰還を早めるために穴を開けたと告発する記事を発表していました。NASAはこの記事をすぐに否定しています。

今回のRIA Novostiの記事は、オナン=チャンセラー飛行士が「他のクルーとの恋愛感情のもつれによるストレスで」穴を開けたと主張しています。当然ながら、NASAはこの報道も直ちに否定。ビル・ネルソンNASA長官は「これらの攻撃は誤りであり、何の信憑性もない」と述べたとArs Technicaは伝えています。

NASAは脊髄反射的にロシアの報道を否定しているわけではありません。NASAはエア漏れによるISSの減圧が始まる前から始まった瞬間における各飛行士のISS内における位置を把握しており、NASAの飛行士が誰ひとりとしてエア漏れ発生時にソユーズがドッキングしていたロシアのブロックにいなかったことを確認しています。そして2018年にRoscosmosが調査を開始したときには、そのデータを共有さえしています。

ロシアは最近、軍が実験のために自国の人工衛星を破壊、無数のスペースデブリをISSの軌道上にブチ撒けました。そのせいでロシア人飛行士を含むISS滞在クルーは、日に何度もドッキング中の宇宙船内に非難することを余儀なくされました。この問題は先週火曜に予定されていた船外活動(EVA)も直前になって延期されています。

冷戦終結後、米国とロシアは30年近く宇宙空間では互いに助け合うパートナーとしての関係を構築してきました。ところが、ここ最近はロシア側が理由のわからない挑発的行為を繰り返し、せっかくの友好関係を壊そうとしているようにも思えます。

Source:RIA Novosti

via:Ars Technica