この記事をまとめると

ポルシェエクスペリエンスセンター東京は世界で9番目のポルシェの施設となる

■事の発端はテストコースの建設がキッカケだった

■サーキット内にある施設や完全にオリジナルなど性格の異なる施設が世界中にある

テーマパーク王国千葉県ポルシェが介入した真意とは?

 千葉県木更津市に今年10月1日にオープンしたポルシェの新しいブランド体験施設「ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京」。概要についてはすでにいくつかのメディアで報じられているが、なぜポルシェがこのような施設を作ったのか、不思議に思っている人もいるだろう。

 僕もそのひとりだったので、世界で9番目に設立されたということが気になって、他の施設を調べてみることにした。そもそもこの施設は、ポルシェがカイエンを生産すべく、旧東ドイツのライプツィヒに建設した工場に、テストコースを用意したことがきっかけだったようだ。

 ここはメーカーがテストで使うだけでなく、最新のポルシェをドライブしたり、インストラクターからドライビングレッスンを受けたりすることができた。評判はしだいに広がり、いまやトリップアドバイザーに観光名所として載っているぐらいだ。

 でもプロモーションを考えれば、ヨーロッパの東のほうに位置するライプツィヒは、ポルシェのユーザーが集結している地域とは思えない。

 ポルシェもそれは感じていたようで、スポーツカー好きが集まるル・マンやシルバーストンといった名門サーキットにも、ミニサーキットを活用する形で同様のメニューを展開。そして巨大マーケットであるアメリカではアトランタとロサンゼルスに、自前のコースを作ってサービスの提供を始めた。

クルマに乗る以外にも楽しめる要素が盛り沢山である

 現在はこれ以外に、ドイツのホッケンハイム、イタリアのフランチャコルタ、中国上海にもある。ただしこの3都市はル・マンやシルバーストン同様、サーキットに併設したタイプとなる。

 アトランタはポルシェの北米部門、ロサンゼルスは北米モータースポーツ部門の本社があるから、ゼロからこのサービスのために作られた場所は日本が初めてということになりそうだ。

 ドライビングスキルを高めるためのオンロードおよびオフロードのコース、レーシングシミュレーターなどを備えることは各施設に共通しているが、それ以外は場所によって異なる。

 たとえば木更津の施設にはレストラン906や956カフェがあるが、これは日本独自のネーミングで、アトランタにはレストラン356、ロサンゼルスにはスピードスターカフェやレストラン917がある。356 は北米でポルシェの礎を築いたモデル、スピードスターはアメリカのために生まれたロードスターであり、917はカンナムでも活躍した。そして906は1960年代の日本グランプリ、956はWEC-JAPANで優勝した。こうしたエピソードを盛り込んだようだ。

 なお今回のオープンに際しては、木更津市道125号線の一部が「ポルシェ通り」と名づけらて話題になったが、アトランタの施設の住所は 「One Porsche Drive」なので、初の試みではないことになる。