FXの仕組みとは

「今日の円相場は、1ドル=110円で取引されています」などとニュースで聞いたことがあるでしょう。これは、「1ドルと110円を売買(交換)できる」という意味です。この交換の割合のことを為替レートといいます。海外旅行に行ったことがあるなら、お金を旅行先の通貨に両替したことがあるでしょう。FXの通貨の売買も、それと同じイメージです。

為替レートは平日24時間、絶えず変動しています。例えば1ドルが110円から120円に上がったとすると、1ドルを手に入れるのに必要な円が多くなった(=円の価値が下がった)ことになります。このように、ドル(外貨)に対する円の価値が下がることを「円安」といいます。

逆に、1ドルが110円から100円になると、1ドルを手に入れるのに必要な円が少なくなった(=円の価値が上がった)ことに。ドル(外貨)に対する円の価値が上がることを「円高」といいます。

FXの場合、円とドルの通貨ペアであれば、

円高のときにドル(外貨)を買って、円安になってから売る 円安のときにドル(外貨)を売って、円高になってから買い戻す

ことで、利益(為替差益)を得ることができます。円安になるときだけでなく、円高になるときにも利益が狙えるのが特徴です。

【FXで利益が生まれるイメージ】

筆者作成

FXの特徴とは

レバレッジがかけられる

FXでは、FX会社にお金(証拠金)を預けることで、預けた金額よりも多くの投資ができます。レバレッジとは「てこ」のことです。FXでは、レバレッジをかけることで預けた資金の最大25倍までの取引ができます。

スマホで平日24時間取引できる

為替レートは平日24時間常に動いています。しかも今はスマホで取引できるため、通勤・通学のちょっとした合間や、家事が落ち着いたときなどにも利益を狙えます。

スワップポイントが受け取れる

スワップポイントは、2つの通貨の金利差調整分。平たくいうと、利子にあたるものです。低金利の通貨を売り、高金利の通貨を買うと、その差額が毎日受け取れます。なお、低金利の通貨を買い、高金利の通貨を売ると、スワップポイントを毎日支払う必要があります。

【スワップポイントのイメージ】

筆者作成

為替差益を狙うには

外貨の取引は世界中のさまざまな市場で行われています。そのため、FXは平日24時間取引できます。しかし、為替差益を狙うならば、主要な市場が開く、為替レートが動きやすい時間帯が狙い目。具体的には、次の3つの時間帯があります(以下、時間は日本時間で、アメリカとロンドンはサマータイムです)。

8時~9時

ニュージーランド、オーストラリア、東京と、順に市場が開く時間です。特に月曜日のこの時間は、週末の出来事が為替レートに反映されて、大きく値動きする傾向が見られます。

10時半~16時

中国の上海市場が開くのが午前10時半、ロンドン市場が開くのが16時です。取引への参加者が増えるため、為替レートも変動しがちです。

21時半~2時

日本時間の夜、ニューヨーク市場が開きます。ロンドン市場とニューヨーク市場が重なるこの時間が最も参加者が多く、為替レートもよく動きます。世界経済の中心、アメリカでは為替レートに変動を与える指標がよく発表されます。

おすすめの通貨ペアはどれ?

FXで取引する2つの通貨のことを「通貨ペア」といいます。例えば、アメリカ(米国)のドルと日本の円の組み合わせなら「米ドル/円」、ヨーロッパのユーロと日本の円の組み合わせなら「ユーロ/円」などと表します。

米ドルとユーロの通貨ペア「ユーロ/米ドル」のように、円が直接絡まない通貨ペアもありますが、わかりやすいのは普段から馴染みのある円と外貨の組み合わせでしょう。

円と組み合わせる通貨でおすすめなのは、やはり米ドル。米ドルは世界中で流通している基軸通貨です。取引量が多く、値動きが比較的緩やかなのもメリットです。アメリカのニュースは日本でもよく目にできます。また、FX会社の手数料(スプレッド)も米ドルの取引が安く設定されているのもメリットです。

オーストラリアのドル(豪ドル)は資源国通貨として人気。石炭、鉄鉱石、金など鉱物資源を輸出することで経済成長を続けています。輸出先のトップは中国なので、中国の輸入の動向に左右されがちな特徴があります。

南アフリカのランドは米ドルや豪ドルに比べたらずっと小規模な通貨ですが、金利が高いため、スワップポイント狙いによく利用されています。

FXでは、為替レートに影響を与える「経済指標」の確認が必須

為替レートは、基本的にはその通貨を使う二国間の経済状態によって動きます。景気が相対的にいい国の通貨が買われ、悪い国の通貨は売られます。それに加えて、世界中の投資家の需要と供給のバランスによっても動きます。その通貨を買いたい人が多ければ上昇し、売りたい人が多ければ下落します。

どの通貨で取引する場合も、まずはアメリカの経済指標をチェックしましょう。世界経済の中心、アメリカの動向はほかの各国にも影響を及ぼします。

特に重要なのは毎月第一金曜日の夜に発表される雇用統計。アメリカの雇用の状況から、アメリカの景気がわかるというわけです。なかでも失業率や非農業部門雇用者数には、世界中から関心が集まっています。基本的には、失業率が減ったり非農業部門雇用者数が増えたりすれば景気が改善しているとみられて「ドル高」の要因になるのですが、市場の事前予想を下回った場合には「ドル安」になる場合もあります。

加えて、各国の中央銀行の会合、GDP、政策金利、消費者物価指数、鉱工業生産指数など、さまざまな指標が為替レートの上下に影響を与えます。FX会社のウェブサイトには、主だった指標の発表スケジュールがまとめられています。発表の前後で為替レートがどのくらい動いたかをチェックすれば、各指標の重要度も理解できるでしょう。

FXでは、投資ルールを決めて厳格に守ろう

FXはいつでも手軽に利益を狙える投資なのですが、簡単に勝てる甘い世界ではありません。FXで負ける人は多くの場合、自分の投資ルールを決めず、ギャンブルのような投資をしているものです。

FXをするにあたっては、投資ルールを定めて、それをきちんと守って投資しましょう。具体的には、次のようなルールがあります。

利益確定・損切りにルールを作ろう

FXで買った(売った)通貨を、利益が出ているときに売る(買う)ことを利益確定、損失が出ているときに売る(買う)ことを損切りといいます。

人は利益が出ていると「もっと儲かるかも」、損失を抱えていると「元に戻るかも」などと、つい投資に感情を挟みがちです。しかし、そうやって利益確定・損切りを遅らせるのは大怪我のもと。慣れてくるまでは「20銭上昇したら利益確定、10銭下落したら損切り」とルールを作り、淡々と売買するのがいいでしょう。慣れてきたら「20%上昇したら利益確定、10%下落したら損切り」としてもいいでしょう。

エントリールールはまずは「順張り」で

「エントリー」とは、通貨を売買するタイミングのこと。相場の動きと同じ方向に売買することを「順張り」、相場の変動を見越して、相場の動きと反対に売買することを「逆張り」といいます。

日本人は逆張りが好きな傾向がありますが、まずは順張りに徹するのがおすすめ。逆張りはハイリスク・ハイリターンの投資でうまくいったときの利益は大きいのですが、失敗したときの損失も大きくなりがちです。

レバレッジは通常「2倍」で

レバレッジは最大25倍までかけられます。単純にいって、利益を25倍にできるのですが、同時に損失も25倍になってしまいます。レバレッジをかけすぎると、ほんの少しの値動きの違いが命取りになりかねません。

だからこそ、レバレッジは通常2倍にとどめるのがおすすめ。相場が大きく動いているときでも、せいぜい3倍~5倍程度までにしておきましょう。慣れてくると、レバレッジを高くしたくなるものですが、そうやって失敗する人がたくさんいます。レバレッジは抑えましょう。

両建ては禁止

1つの通貨ペアで、買いと売りの両方を同時に行うことを「両建て」といいます。相場急変時に、同じ数量の通貨で両建てすれば、どちらか片方で利益、もう片方で損失が出るため、利益・損失をゼロにできます。

しかし、手数料やスワップポイントを支払うことになるので、その分損になります。そもそも、こうしたときには損切りルールに反しているのですから、素直に損切りしましょう。

積立投資ならスワップポイントをじっくり稼げる

「タイミングを狙うのはちょっと自信がない」という方におすすめなのが、積立投資でFXを行うこと。あらかじめ設定した通貨ペア・購入額・購入頻度・レバレッジで、少しずつ外貨を買い付けます。

たとえば、SBI FXトレードの「積立FX」で、米ドルに月1万円ずつ、10年間レバレッジ3倍で投資し続けた場合、同社のシミュレーションによると、スワップポイントによる収入が約4万円にもなる計算です。

米ドルの積立シミュレーション結果

引用:積立FXシミュレーション | SBI FXトレード

投資金額合計120万円に対して、スワップポイントを含めた合計額は124万円になっています。FXでも、積立投資を取り入れることで、一括投資よりもリスクを抑えながらお金を増やすことができます。

以上、FXの仕組みと投資のコツをお話ししてきました。FXは為替レートがどのように動いても機動的に利益を狙える投資であることはもちろん、積立投資で堅実にスワップポイントを狙うこともできる投資でもあります。自分に合った方法で、ぜひ取り組んでみてください。