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 カレーは美味しい。チャーハンも美味しい。だからカレーとチャーハンが合体したら絶対に美味しい! という前提のもと、都内でカレーチャーハンが食べられる店を探し歩く日々。どこにでもありそうで、実は出している店がさほど多くないのがカレーチャーハン。日替わりランチとか不定期で出している店はあるんだろうけれど、なかなか気軽に巡りあえないのがカレーチャーハンです。なぜだろう?

 そんななか、中央区で働いている人から、『新富町にカレーチャーハンが人気の店があるよ~』と聞き、向かったのはその名も『カレー名人』。名人の作るカレー、そして名人のカレーチャーハンが食べられるってことですね。期待に胸を膨らませつつ、有楽町線の新富町駅をおりて店に向かいます。

カウンターとテーブル席のある店内。おそらくですが、居酒屋だったところをそのまま使っている? といった、和の雰囲気

 店に入って、『カレー名人』という屋号に納得。スタッフの人は皆、インドまたはバングラディッシュの出身とのこと。確かにカレー名人たち、ですね。居酒屋っぽい空間で本格的なカレーが食べられるようです。

「うちはカレー専門店ではなくて、無国籍料理の店なんですよ」と話すのはオーナーのジャラルさん。カレーはもちろんですが、インド・バングラディッシュ料理の他に、「枝豆」(380円)や「焼そば」(680円)など、いわゆる“居酒屋メニュー”も夜に出しているそう。

「作り方はインドですが出し方は日本。エスニック料理もあるんですよ」。メニューを見直すと、「小籠包」(380円)や「生春巻き」(680円)、「グラタン」(680円)などもあり確かに無国籍。そして、お酒が飲める状態になれば、夕方5~7時まではハッピータイムでグラスビールを350円で提供しているとのこと(全て税別)。

 もちろん、居酒屋メニューの中に、タンドリーチキンやミートボールシシカバブ風などインド・バングラディッシュっぽい料理もあります。

テレビでも紹介された、ランチメニュー一番人気のカレーチャーハン!

「テレビ取材でおなじみの伝統の一品」と書かれているところを見ると、テレビで紹介されて人気が出たってこと?

 ランチタイムのメニューを見せてもらうと、一番大きく紹介されているのがなんと「カレーチャーハン」(1000円・税込)。タンドリーチキンカレーやナンカレーよりも人気ってこと? 意外です。

「日本はチャーハンが人気。うちには美味しいカレーがあるから、組み合わせたらウケたんですよ」とジャラルさん。テレビには何回も出ているそうで、そのたびにカレーチャーハンを食べに多くの人が訪れるそうです。

「カレーチャーハン」1000円。大盛りは+100円。トッピングはチーズ、揚げなす、コロッケ各100円などいろいろ

 褐色のカレールーに、黄色みの強い半球型のチャーハン。そしてルーの中央にオレンジ色のゆで卵。「カレーは牛100%のひき肉カレーで、コリアンダー、ターメリック、チリパウダーなどオリジナルスパイスで作っています。他に牛乳やトマトソース、醤油などで、日本人好みの味にしていますね。チャーハンは、長ネギ、卵にキーマカレーを少し。無添加、化学調味料なしのカレーチャーハンですよ」。

 早速一口。口の中に、牛肉カレーならではの旨みがブワッと広がってきます。辛さは中辛程度。おそらくチリパウダー由来? ピリッとする刺激が後からやってきます。

ルーを混ぜたスパイシーなしっとり系炒飯と牛肉キーマカレーは相性抜群!

チャーハンはうっすらカレー色。パラパラとしっとりの中間ぐらい?

 続いてチャーハンを一口。こっちはカレーとのバランスを考えたのかシンプルな美味しさ。焼き飯ならではの香ばしさの中に、ほのかにカレーがいるかな? という程度。長ネギ&卵ならではの奥ゆかしさを感じます。

 そしてゆで卵。なぜオレンジ色? なぜルーの中央に?「ゆで卵はターメリックで色付けしています。元々はお客さんからの提案で、日本人は飾りが好きだからね」とのこと。そうか、お客さんからのリクエストでゆで卵を飾ったのか~。

牛ひき肉たっぷりのカレー。もちろん味の決め手は店オリジナルのスパイス配合

 食べ進めていくと、カレーのインパクトの強さを優しいチャーハンが受け止めているようなバランスで、食べるごとに食欲が増していきます。ゆで卵は鮮やかなオレンジだけれど、ターメリックで色付けしているだけで辛さはなし。途中からスプーンで割ってカレーとなじませると、心なしかルーの辛さが柔らかくなった気がします。

「うちは日本人好みの味を素材の旨みで絶妙に調合したオリジナルスパイスで作っています。27年店をやっているので、みんなが認めてくれているんですよ」とジャラルさん。長く愛されているカレーチャーハン&お店ってことなんですね。

「タイの人から教わった『ガパオ飯』(900円)もおすすめですよ」(オーナーのジャラルさん)

「緊急事態宣言や営業時間短縮がなければ、おすすめしたいのが珍しいビールですね。世界のボトルビールを1本600円~で提供しています。銀座だと高いけれど、ちょっと歩いて新富町までくればリーズナブルな値段で料理もお酒も楽しめるので、ここまで食べにきて欲しいですね」。

 確かに、銀座から新富町までなら、おそらく徒歩15分ぐらいだから徒歩圏内。逆に言えば、新富町でリーズナブルにゴハンを食べて、腹ごなしにちょっと歩いて銀座でお酒、というのもアリ。

 カレーチャーハンとは別に、店内に貼られたポスターで気になったのが「ほうれん草チャーハン」(1000円)。フォルムはカレーチャーハンと一緒ですが、カレーがグリーン。こっちも美味しそう! オレンジ色の卵の色が、緑のルーの中でさらにインパクト強目になっています。次回はこっちのカレーチャーハンも食べに来なくては!

 ゴリゴリのインド・バングラディッシュ料理ではなく、日本人の好みに寄り添ったカレーチャーハンは、程よい辛さと牛肉の旨み、そして隠し味の醤油とごま油で日本人好みに仕上げた、クセになる味わい。近所の会社勤めの人や地元の人に愛されているのが納得の美味しさでした!

(取材・文◎いしざわりかこ)

●SHOP INFO

店名:カレー名人

住:東京都中央区新富2-4-5
TEL:03-6280-5816
営:11:00~22:00(L.O.21:30) ※緊急事態宣言、まん防期間中は~20:00、不定で中休みをとる場合あり
休:日曜