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夫婦同姓を義務づけた民法や戸籍法の規定は憲法に違反しないとした最高裁大法廷の決定に対して、都内在住の事実婚夫婦が7月26日、再審を申し立てた。第二次夫婦別姓訴訟の弁護団有志が同日、明らかにした。

この決定は、最高裁が今年6月23日、都内の事実婚夫婦3組が夫婦別姓での婚姻届を受理するよう求めていた特別抗告に対して下したもの。このうち、世田谷区在住の事実婚夫婦が再審を申し立てた。

弁護団の有志によると、「最高裁の決定には看過できない判断の遺脱があった」として、異例の申し立てに踏み切ったという。

●「憲法14条1項違反」を判断しなかった最高裁

事実婚夫婦たちは、夫婦同姓を求める民法の規定によって、法律婚夫婦にだけ与えられている法的権利や利益を享受することができないとして、「法の下の平等」を定めた憲法14条1項に違反するなどと主張してきた。

しかし、6月の最高裁決定は、「単なる法令違反を主張するもの、またはその前提を欠くもの」として、「門前払い」した。

再審申立書によると、最高裁の決定は、判決に影響を及ぼす重要な争点が判断されていなかった(判断の遺脱があった)として、再審を求めている。

「判断の遺脱」とは、「判決の主文に影響を及ぼす事項であったにもかかわらず、判決理由中で判断を示さなかった」ことで、最高裁の決定に「その前提を欠くもの」とあるが、「その前提」が何を指すのかが述べられておらず、「その意味するところは全くもって不明」と批判している。

●「『人権の最後の砦』としての職責を」

また、再審申立書では、選択的夫婦別姓について多く報道され、国民も重大な関心を寄せているとして、「最高裁判所は『憲法の番人』である以上、憲法違反の主張を排斥するとしても、その判断理由は、一般の国民が合理的に理解できるものである必要がある」と指摘。明確で十分な説明がないまま、夫婦同姓を「合憲」と結論づける最高裁に強い懸念を示した。

弁護団の事務局長、野口敏彦弁護士は弁護士ドットコムニュースの取材に対し、次のようにコメントした。

「最高裁の確定判断が再審で覆る可能性がほとんどないことは重々承知しています。しかし、昨今、国会等でのやり取りも含めて『国民に伝わる言葉』での説明が極めておろそかにされていると感じており、本件では、『憲法の番人』である最高裁までもが、『前提を欠く』という誰が読んでも意味がわからない一言のみで憲法14条論を退けました。

このような風潮に一石を投じる趣旨で、今般再審申立てという異例の申し立てをした次第です。最高裁には、改めて自らの使命に立ち返り、『人権の最後の砦』としての職責を果たし続けて頂きたいと思います」