仕事と子育ての両立。シッターや家事サービスがぜいたくではない理由
コロナ禍で在宅勤務が定着し、それに合わせて働き方も多様化してきました。職場復帰が頭によぎっても、子育てや家事など考え始めると不安が募り、一歩踏み出すことが難しいですよね。そこで、前回
に続いて出産後の仕事復帰で遭遇しがちな悩みについて、「ポピンズシッター」代表取締役であり、自身も一児の母である丸山祐子さんに対処法を聞いてみました。
職場復帰をするにあたり、大切なこととは…?(※画像はイメージです)
誰しもが不安に感じる「子育て」と「仕事」の両立ですが、周りの力を借りることも大切です。職場復帰を考えてらっしゃる方はぜひこの体験談を参考にしてみてください。皆さんが抱えている不安が解消できるかもしれません。
いざ働こうと思っても不安なことばかり。そこで、3月末にESSEレポーター293名に「仕事復帰に関するアンケート」を実施。そのなかで、「職場復帰した経験がある」と答えた170名に詳しく聞いてみました。
職場復帰に際して不安を抱く人が多かったのが、「子どもの体調」についてです。
※画像はイメージです
「子どもがよく熱をだし、休みづらい職場の為、困った。子どもがママといたい! と泣かれたこと」(大阪府・派遣社員・40歳)
「いつ保育園から呼び出しがくるかハラハラしながら仕事していた」(千葉県・専業主婦・40歳)
何かあるかもしれない。という不安を抱えたまま、仕事をするのは精神的にも肉体的にもつらいものです。ただ、不測の事態は必ずや起こるもの。丸山さんは、「子どもの病気などの不測の事態に備えるため、日頃から人に相談を」とアドバイスします。
「学校の行事と仕事の用事がかぶったり、子どもが急な病気で3日間登園できなくなったりと、子育て中はいろんな予定外の事態が起こります。そんなときは、ひとりで抱え込まず、誰かに相談しておくことが大切です。たとえば、日頃から会社の人にその状況や不安について共有しておけば、万が一のときに調整してもらえることもあるはず。家族にも日頃から相談しておけば、両親や夫のサポートも得られやすいはずです」
また、万が一のときは、病児保育やシッターなどを利用する手もあります。ただ、外部のサービスに頼る場合は、できるだけ、復職前や平常時から利用しておく方がベターだと、丸山さんは続けます。
「仕事の内容や会社の方針などが変化していることも多いため、復帰直後は新しい環境に自分自身が適応するのに時間がかかることもあります。そんなときに、ゼロから知らないサービスを利用するのは、新たなストレスの原因となることも。いざというときを見越して、先に相性のよいシッターさんや家事代行の人を選んでおくのがおすすめです」
丸山さんが言うように、子育てをしながらの仕事復帰には、周りの協力は必ず必要になるものです。では、アンケートでは、復帰したときの悩み相談をする相手は、どんな人が一番多かったのでしょうか?
復帰された方の一番の相談相手は「夫」が一番高い割合に。やはり、家事を分担するうえで、旦那さんとの話し合いは必要不可欠。次いで親や兄弟姉妹が多い結果となりました。
これに対して、丸山さんは「育児に悩みを抱えている方にこそ、ベビーシッターを活用してほしいです」と言います。
「子どもが0〜3歳くらいまでは、とくに育児が大変な時期です。最初のお子さんが生まれたばかりのお母さんは、はじめての育児に戸惑うことも多いですよね。シッターは育児や保育のプロなので、寝かしつけやトイレトレーニング、お着替えなどといった育児の知識を豊富に持っています。実際、利用者の方からは、『プロのシッターさんにいろいろ質問できるのはありがたい』『シッターさんは、一緒に育児をするパートナーのような存在』だと言っていただくことも多いです」
コロナ禍を経て、「リモートワークで在宅勤務になったせいで保育園の延長が認められなくなった」などと言う声も多数聞かれます。ただ、在宅勤務とはいえ、親が近くにいれば、子どもたちはかまってもらいたがるもの。
そのため、「自宅にいるときは、自分で面倒を見なくては」という呪縛に囚われてしまうことも多いと思いますが、こうした状況でこそ、賢くシッターサービスを利用するのもおすすめです。
画像はイメージです
「『在宅ワーク中にシッターを頼むなんてぜいたくだ』と考える方もいらっしゃるのですが、お子さんがいる状況では仕事にならないのも確か。そこで、在宅ワーク中だからこそ、シッターを利用する方も増えています。また、私たちのサービスは30分から使えるので、夕方のお迎えや習い事への送迎など、短時間でご利用される方も多いですね」(丸山さん)
在宅勤務中以外でも、「夜泣きが始まってまったく眠る時間が取れないため、睡眠時間を確保するためにシッターを利用したい」という人や、「連休中、毎日子どもの相手をしていると疲れてしまうので、1日だけシッターさんをお願いしたい」という人もいるのだとか。
家にいる時間だからこそ、ひとりで子どもの面倒を見なければならないと思ってしまいがち。でも、自分の時間を確保するために、シッターを利用するという手段も、ぜひ覚えておいてはいかがでしょうか。
育児サービスや家事代行サービスなどを利用したいという気持ちはあっても、「知らない人に家に入られたくない」「知らない人に子どもを預けられない」といった不安感を抱く人も少なくないはず。
「そうした抵抗感を持つのは、当然のことだと思います。だから、こうしたサービスを初めて利用する場合は、できればご自身がご自宅にいるときに一度利用していただくのをおすすめしてします。実際に働いている様子を見ることで、想像もつきやすくなるはず。特に、ベビーシッターの場合は、お子さんとの相性もあるので、お子さんが楽しそうにしているかどうかで、判断するのがいいのかなと思います」(丸山さん)
※画像はイメージです
また、家事代行や育児サービスを利用する際、真面目な人ほど「人を呼ぶならば、家を掃除しなきゃ」とかえって負担を感じてしまうことも。でも、丸山さんはこう続けます。
「ベビーシッターや家事代行などといったサービスは、今の状況が大変だからこそ、利用するものです。お伺いするシッターの皆さんは力になりたいという気持ちでお伺いするので、いつもの状態で受け入れていただくほうがありがたいです。ぜひ、気楽にご活用いただきたいですね」
ベビーシッターなどのサービスを利用できたら便利だとは思うものの、やはり気になるのが金銭面です。せっかく復職してお金を稼いでも、そのお金がシッター代に消えてしまっては、元も子もない…と二の足を踏む人も多いのではないでしょうか。
ただ、じつはベビーシッターを利用する人に向けて、多数の補助制度が存在するのだそうです。
「たとえば、弊社の場合、利用できる補助制度は大きく分けると二つあります。一つは、内閣府が発行しているベビーシッターの補助制度。これは、内閣府の承認事業主となっている企業から発行されるもので、一日最大4400円の補助が出ます。もう一つは、会社の福利厚生サービスですね。加入している企業の場合は、1回の利用ごとに500〜1000円ほどの補助が出るケースもあります」
そのほか、自分の住んでいる自治体がなんらかの補助制度を用意している可能性も。
「東京都で行っているベビーシッター利用支援事業では、自治体によって1時間2500円まで補助が出てベビーシッターサービスを利用することができます。じつは、調べてみると、いろんなサービスや補助があったりしますので、ぜひこうした補助を積極的に利用して、ご自身の負担を減らしていただきたいですね」
こうしたサービスを使えば、シッター代は格安に。たとえば、保育園から自宅までの送迎30分と1時間半のご自宅でのお世話で計2時間4400円。ベビーシッター券4400円を利用すれば交通費の実費のみで利用できます。
不安がいっぱいな“職場復帰”。そんなときに役に立つのが先輩ママの声です。
家族との協力が不可欠(※画像はイメージです)
「本当にやりたいことなら、まず家族に相談。子どもにも正直に仕事をしたい理由を話す。家族の協力が絶対に不可欠!」(埼玉県・アルバイト・45歳)
“家族との協力”が大事と答えた人が多数。ひとりで抱え込まないで、家族と相談しながら仕事をすることがよさそうですね。大変なのは子ども。だからこそ子どものケアをすることも忘れずに。
さらに、自身へのメッセージとして
「すべてを完璧にしようとは思わないほうが良い。できないのが当たり前だと思っていればつらくはならない」(大分県・アルバイト・47歳)など、完璧にやろうと無理をせずにすることも大事なポイントのようです。
働きに出るということは、やることも増え、決して楽ではありません。しかし、家族と連携することによって、不可能を可能に変えることもでき、メリットもあります。何事もひとりで抱え込まないで、自分と周りと相談しながら働くことが大事です。
<取材・文/藤村はるな>
に続いて出産後の仕事復帰で遭遇しがちな悩みについて、「ポピンズシッター」代表取締役であり、自身も一児の母である丸山祐子さんに対処法を聞いてみました。
職場復帰をするにあたり、大切なこととは…?(※画像はイメージです)
職場復帰は不安がいっぱい。そんなときはどうすればいいの?
いざ働こうと思っても不安なことばかり。そこで、3月末にESSEレポーター293名に「仕事復帰に関するアンケート」を実施。そのなかで、「職場復帰した経験がある」と答えた170名に詳しく聞いてみました。
●「子どもの急な病気」に不安を感じる声が多数
職場復帰に際して不安を抱く人が多かったのが、「子どもの体調」についてです。
※画像はイメージです
「子どもがよく熱をだし、休みづらい職場の為、困った。子どもがママといたい! と泣かれたこと」(大阪府・派遣社員・40歳)
「いつ保育園から呼び出しがくるかハラハラしながら仕事していた」(千葉県・専業主婦・40歳)
何かあるかもしれない。という不安を抱えたまま、仕事をするのは精神的にも肉体的にもつらいものです。ただ、不測の事態は必ずや起こるもの。丸山さんは、「子どもの病気などの不測の事態に備えるため、日頃から人に相談を」とアドバイスします。
「学校の行事と仕事の用事がかぶったり、子どもが急な病気で3日間登園できなくなったりと、子育て中はいろんな予定外の事態が起こります。そんなときは、ひとりで抱え込まず、誰かに相談しておくことが大切です。たとえば、日頃から会社の人にその状況や不安について共有しておけば、万が一のときに調整してもらえることもあるはず。家族にも日頃から相談しておけば、両親や夫のサポートも得られやすいはずです」
また、万が一のときは、病児保育やシッターなどを利用する手もあります。ただ、外部のサービスに頼る場合は、できるだけ、復職前や平常時から利用しておく方がベターだと、丸山さんは続けます。
「仕事の内容や会社の方針などが変化していることも多いため、復帰直後は新しい環境に自分自身が適応するのに時間がかかることもあります。そんなときに、ゼロから知らないサービスを利用するのは、新たなストレスの原因となることも。いざというときを見越して、先に相性のよいシッターさんや家事代行の人を選んでおくのがおすすめです」
●毎日がつらい…。そんなときに相談したのは?
丸山さんが言うように、子育てをしながらの仕事復帰には、周りの協力は必ず必要になるものです。では、アンケートでは、復帰したときの悩み相談をする相手は、どんな人が一番多かったのでしょうか?
子育てしながらの仕事復帰について、相談できる相手はいますか?(複数回答可)
・夫 110人
・親、兄弟姉妹 82人
・友人 72人
・職場の先輩や同僚 35人
・SNSなどネット上の知り合い、コミュニティ 10人
・いない 11人
・その他 3人
・夫 110人
・親、兄弟姉妹 82人
・友人 72人
・職場の先輩や同僚 35人
・SNSなどネット上の知り合い、コミュニティ 10人
・いない 11人
・その他 3人
復帰された方の一番の相談相手は「夫」が一番高い割合に。やはり、家事を分担するうえで、旦那さんとの話し合いは必要不可欠。次いで親や兄弟姉妹が多い結果となりました。
これに対して、丸山さんは「育児に悩みを抱えている方にこそ、ベビーシッターを活用してほしいです」と言います。
「子どもが0〜3歳くらいまでは、とくに育児が大変な時期です。最初のお子さんが生まれたばかりのお母さんは、はじめての育児に戸惑うことも多いですよね。シッターは育児や保育のプロなので、寝かしつけやトイレトレーニング、お着替えなどといった育児の知識を豊富に持っています。実際、利用者の方からは、『プロのシッターさんにいろいろ質問できるのはありがたい』『シッターさんは、一緒に育児をするパートナーのような存在』だと言っていただくことも多いです」
●在宅勤務中であっても、シッターを利用する人は少なくない!
コロナ禍を経て、「リモートワークで在宅勤務になったせいで保育園の延長が認められなくなった」などと言う声も多数聞かれます。ただ、在宅勤務とはいえ、親が近くにいれば、子どもたちはかまってもらいたがるもの。
そのため、「自宅にいるときは、自分で面倒を見なくては」という呪縛に囚われてしまうことも多いと思いますが、こうした状況でこそ、賢くシッターサービスを利用するのもおすすめです。
画像はイメージです
「『在宅ワーク中にシッターを頼むなんてぜいたくだ』と考える方もいらっしゃるのですが、お子さんがいる状況では仕事にならないのも確か。そこで、在宅ワーク中だからこそ、シッターを利用する方も増えています。また、私たちのサービスは30分から使えるので、夕方のお迎えや習い事への送迎など、短時間でご利用される方も多いですね」(丸山さん)
在宅勤務中以外でも、「夜泣きが始まってまったく眠る時間が取れないため、睡眠時間を確保するためにシッターを利用したい」という人や、「連休中、毎日子どもの相手をしていると疲れてしまうので、1日だけシッターさんをお願いしたい」という人もいるのだとか。
家にいる時間だからこそ、ひとりで子どもの面倒を見なければならないと思ってしまいがち。でも、自分の時間を確保するために、シッターを利用するという手段も、ぜひ覚えておいてはいかがでしょうか。
●家事サービスや育児サービスは、まずは自分が自宅にいるときに利用を
育児サービスや家事代行サービスなどを利用したいという気持ちはあっても、「知らない人に家に入られたくない」「知らない人に子どもを預けられない」といった不安感を抱く人も少なくないはず。
「そうした抵抗感を持つのは、当然のことだと思います。だから、こうしたサービスを初めて利用する場合は、できればご自身がご自宅にいるときに一度利用していただくのをおすすめしてします。実際に働いている様子を見ることで、想像もつきやすくなるはず。特に、ベビーシッターの場合は、お子さんとの相性もあるので、お子さんが楽しそうにしているかどうかで、判断するのがいいのかなと思います」(丸山さん)
※画像はイメージです
また、家事代行や育児サービスを利用する際、真面目な人ほど「人を呼ぶならば、家を掃除しなきゃ」とかえって負担を感じてしまうことも。でも、丸山さんはこう続けます。
「ベビーシッターや家事代行などといったサービスは、今の状況が大変だからこそ、利用するものです。お伺いするシッターの皆さんは力になりたいという気持ちでお伺いするので、いつもの状態で受け入れていただくほうがありがたいです。ぜひ、気楽にご活用いただきたいですね」
●ベビーシッターは、国や自治体、会社からの補助を使うのが得策!
ベビーシッターなどのサービスを利用できたら便利だとは思うものの、やはり気になるのが金銭面です。せっかく復職してお金を稼いでも、そのお金がシッター代に消えてしまっては、元も子もない…と二の足を踏む人も多いのではないでしょうか。
ただ、じつはベビーシッターを利用する人に向けて、多数の補助制度が存在するのだそうです。
「たとえば、弊社の場合、利用できる補助制度は大きく分けると二つあります。一つは、内閣府が発行しているベビーシッターの補助制度。これは、内閣府の承認事業主となっている企業から発行されるもので、一日最大4400円の補助が出ます。もう一つは、会社の福利厚生サービスですね。加入している企業の場合は、1回の利用ごとに500〜1000円ほどの補助が出るケースもあります」
そのほか、自分の住んでいる自治体がなんらかの補助制度を用意している可能性も。
「東京都で行っているベビーシッター利用支援事業では、自治体によって1時間2500円まで補助が出てベビーシッターサービスを利用することができます。じつは、調べてみると、いろんなサービスや補助があったりしますので、ぜひこうした補助を積極的に利用して、ご自身の負担を減らしていただきたいですね」
こうしたサービスを使えば、シッター代は格安に。たとえば、保育園から自宅までの送迎30分と1時間半のご自宅でのお世話で計2時間4400円。ベビーシッター券4400円を利用すれば交通費の実費のみで利用できます。
●これから働くママにアドバイス!
不安がいっぱいな“職場復帰”。そんなときに役に立つのが先輩ママの声です。
家族との協力が不可欠(※画像はイメージです)
「本当にやりたいことなら、まず家族に相談。子どもにも正直に仕事をしたい理由を話す。家族の協力が絶対に不可欠!」(埼玉県・アルバイト・45歳)
“家族との協力”が大事と答えた人が多数。ひとりで抱え込まないで、家族と相談しながら仕事をすることがよさそうですね。大変なのは子ども。だからこそ子どものケアをすることも忘れずに。
さらに、自身へのメッセージとして
「すべてを完璧にしようとは思わないほうが良い。できないのが当たり前だと思っていればつらくはならない」(大分県・アルバイト・47歳)など、完璧にやろうと無理をせずにすることも大事なポイントのようです。
●働くことは大変。でも、良いこともある
働きに出るということは、やることも増え、決して楽ではありません。しかし、家族と連携することによって、不可能を可能に変えることもでき、メリットもあります。何事もひとりで抱え込まないで、自分と周りと相談しながら働くことが大事です。
<取材・文/藤村はるな>