主婦業のかたわらエッセイストとしても活動する若松美穂さんが、楽しく、豊かに暮らすためのさまざまな工夫をつづります。

東日本大震災を機に、実の母と同居を始めた若松さん。家族だからといって、最初からスムーズにいったわけではないと言います。
同居生活で感じたことを執筆していただきました。



母と私のドタバタ暮らし〜母は信じやすい人〜



私、母、それぞれの友人と車で出かけたときのこと、友人が言いました。「会話を聞いていると、親子漫才みたいだね」。
ありがとうございま〜す…って、ほめてないか? 必要以上に、ツッコミが激しい私。そして、ボケ上手な母。といいますか、本人はまともなつもりなのでしょうけれど、ボケている。天然です。私も人のことは言えないのですが(汗)。

母が言います。「あのね、周りの方のお話を伺っていると、娘さん(40代〜50代)のダメ出しに、傷ついている方が多いみたいなの」。君は違うわけ!? と、またツッコミたい感じですが、そう! 母は違う。こんな風に、文章でおおっぴらにダメ出しをされていたとしても、傷つくどころか「あなた、うまいこと言うわね」「私、こういうとこあるわよね〜」と笑っています。じつは彼女についての原稿を、いちばん初めに読むのは母自身なのです。

私は、周囲に母のことを表現するとき、“天使みたいな人”と言うことがあります。人への愛情が強く、家族や身内・友人や周囲の人を疑ったり、物事を悪い方向に受け取ったりしない。だから、私が書く文章も、否定的に捉えたりしないのです。「いいじゃな〜い」と思われるかもしれませんが、そこはまあ、問題も発生します。

昔、田舎の方では、各家庭を回って商品を売る文化がありました。海が目の前のわが町には、山の方から山菜やお野菜、みそなどを持って、「いかがですか?」と売りに来ます。
それはいたって普通のことなのですが、いろいろな人がいますよね。母は、人に「裏」や「悪い気持ち」があるなんて思わない。そこで、彼女はやらかしました。

たまたま仕事の合間に玄関に出た母は、みそを…なんと2万円で購入しました。いくらおいしいと言ったって、なんてことのない量のみそを2万円!! 相手の言う事を、丸ごと信じたのですよね。買い物をしないので、物の価格も知らないですし。もう、語り種です。

その後も、あるお客様から、手づくりのベッドカバーを買わないかと誘われ、それも2万円で買いました。2万円が好きなの!?
買った結果…そのお客様は来なくなったそうです。お〜い!!
それでも信じる母は「せっかく買ったんだから使ってよ〜」と、また私を使う。

結果、宮城を出るまで、私専用のベッドカバーになったのでした。かわいい人ってことにしておきます。

【若松美穂(わかまつみほ)】



お金をかけずにセンスと工夫でおしゃれに暮らすカリスマ主婦読者として、生活情報誌『ESSE』や『サンキュ!』などで紹介され人気者に。2011年、心理カウンセラーの資格を取得。主婦業のかたわら、エッセイストとしての執筆活動のほか、講演、各メディアへの出演など多方面で活躍。夫と娘2人、母親の5人家族。埼玉県在住。公式サイト「“いま”と“みらい”のへや
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