コロナ禍で家計はどう変わった? エッセ読者にアンケートをとったところ、3割強が収入が減り、4割強が支出が増えているという結果に。一方で、「変わらない」という世帯も多数いる模様。

「今は大丈夫という人でも、この先どんな影響があるかは未知数。だからこそ、今、家計を見直すことが大事」と話すのは、ファイナンシャルプランナーで家計立て直しのプロ、横山光昭さん。貯まる家計になるためのポイントを教えてもらいました。

ウィズコロナの時代、強い家計をつくるための見直し3原則




「コロナ禍で貯金ができない人がいる一方で、上手に対応して資産を増やす人もいて、二極化が進んでいます」と横山さん。貯金を増やしている人は、「支出を減らす」「収入を増やす」「運用する」の3つをバランスよく実行している人だそう。


「自分の苦手分野を探し、まず、支出と収入の改善を検討しましょう。そのうえで、できる範囲で運用も始めるのがおすすめ。先行き不透明な今は、生活防衛費を月収12か月分(通常は7・5か月分)と多めに確保することも忘れないでください」

●見直し1:支出を減らす




なんとなく貯金できない人は、気づかないうちにムダづかいしているもの。
「通帳の記録や日々の行動から、おおよその支出を家計表に書き出してみましょう。数字にすると使いすぎている費目がよくわかって、効率よく削減できます」

Q:コロナ禍ならではの注意点は?
A:「不安感からくる使いすぎに気をつけて」


コロナへの不安から食品や日用品を買いだめする人が増加。またステイホームのストレスでのお取り寄せや動画サービスなどのサブスクへの課金も家計を圧迫する原因に。ルールを決めて出費カットを。

●見直し2:収入を増やす



妻が働きに出たり、副業やプチ稼ぎを始めるなど、収入を増やす努力も重要。
「とくに収入減で赤字が大きい人は、すぐ行動を。コロナ不況でも人手不足の職種は多いので、仕事はきっと見つかります」

Q:働くうえで、今後意識すべきことは?
A:「60歳すぎても働くことを前提に考えよう」

人生100年と老後が長い時代、今の手取りが減っても勤務先で厚生年金に加入して将来の年金額を増やしておくと安心。さらに60歳以降も働ける職場や職種なら、その分、準備する老後資金は少なくてすみます。長い目で見て、自分に合った働き方や仕事を選んで。

●見直し3:運用する



銀行に預ける以外の対策を取るのも手。
「月収12か月分の備えがあって、毎月の家計が黒字なら、今後を考えて投資で黒字分を運用してみても。少しずつ始めましょう」

Q:今の“株高”ってずっと続くの?
A:「景気は変動があるもの。リスクを分散するのが大事」

株価の今後は不透明ですが、投資する商品を決めて毎月一定額を買いつけていく「積立投資」なら、市場価格が上がると少なく、下がると多く買えて、トータルでリスクが分散できます。「iDeCo」「つみたてNISA」なら、税制優遇があって◎



オカネジェンヌ2020受賞者も強い家計に進化!



年間100万円貯めた人を募集するエッセの“オカネジェンヌ”コンテスト。昨年受賞者のその後を取材しました。

●<金賞>作下裕美さん(長崎県・39歳)




整理収納アドバイザーの資格取得で、片づけと節約の関連を発見。先取り貯蓄とカンタン家計簿で貯まる仕組みをつくり、金賞受賞!



収入減でも、年180万円の貯金をキープ!

受賞後はブログのPVが10倍に! 昨年はコロナ禍でアドバイザーの対面仕事が激減しましたが、保険の見直しなどで出費のカットに成功。例年どおり年間180万円貯金を継続中。

●<銀賞>野村蘭さん(大阪府・43歳)




「あるもので暮らす」をモットーに、環境に優しくエコに配慮したサスティナブルな生活を実践。家計にも好影響で年間200万円貯金!

NISAとiDeCoの運用で資産アップ

銀賞受賞で、サスティナブルな生活を伝えられ、やる気倍増。新しい仕事も増えました。ステイホームで食費は増えましたが、レジャー費が減り投資運用の収益アップで家計は順調。

●<銅賞>林香織さん(仮名・岡山県・32歳)




ライフプランをつくり、お金の「貯めどき」「使いどき」を把握。シンプルな生活でムダを省き、年間貯金180万円。

収入減で転職し、ピンチがチャンスに!

コロナ禍でパート先の仕事が減り、収入減に。思いきって公務員試験を受けたところまさかの採用! 貯金を月5万円増やせました。レジャー費やガソリン代も減り貯蓄は大幅アップ。

●<特別賞>らんさん(仮名・広島県・33歳)




普段は節約、交際費などはケチらないメリハリのあるお金の使い方で、赤字生活から貯蓄100万円家計に。夫婦で投資もスタート。

ムダを見直し、ジュニアNISA開始

コロナ禍でストレスがたまらないように、節約の手は少し緩めましたが、妻のこづかい枠をつくってムダづかいをカット。子ども2人の名義で、ジュニアNISAを始めました。

※投資は元本割れのリスクがあります。リスクを把握したうえで自己責任のもと投資してください。

どんなことが起こるかわからない世の中。将来にわたって安心して暮らすためにも、ピンチに対応できる家計にしておくことが大事。今の家計に少しでも不安があるなら、すぐに見直しを始めてみましょう。

●教えてくれた人
【横山光昭さん】



ファイナンシャルプランナー。家計立て直しのプロで、これまでの相談件数は2万3000件超。1男5女のお父さん

<撮影/山田耕司 イラスト/いといゆき 取材・文/ESSE編集部>