日本の高速道路は世界屈指の高額設定となっている

 コロナ前、海外から日本に多くの観光客が押し寄せていた。

 そのなかには、日本へのリピーターもどんどん増えていったが、何度目かの来日となると自由に移動したいということで、レンタカーを借りる人も増えていった。

 そんな彼らが、実際にレンタカーを使ってみてビックリするのが高速料金である。

 欧米と比べて、日本の高速道路料金は2倍や3倍というレベルではなく、東名高速など長距離になると、欧米の5倍から10倍というほどの超高額になってしまうからだ。

 その他の料金としては、駐車料金は東京など都市部ではかなり高いとはいえ、ニューヨークやロンドンよりは安い印象がある。また、ガソリンやディーゼル燃料は欧米と比べると日本は安い場合が多い。

 そうしたなかで、高速道路の料金の高さが目立つ。とくに、ETC(自動料金徴収システム)を使わないと料金割引にならず、相当高額な料金を払うことになる。

補修などの費用がかかるため無料化の目処は立っていない

 では、なぜ日本の高速道路料金はこんなに高いのか?

 筆者の幼少期だった1960年代、「いま全国に建設が進んでいる高速道路は、その建設費を高速料金としてドライバーが支払っているので、皆さんが大人になることには無料になる」などと言っていた小学校の先生がいた。

 確かに、地方の一部有料道路などでは建設された数十年後に無料になったケースはある。だが、首都高速、東名高速、名神高速など主要な高速道路の料金は下がるどころか上がっている。

 これに対して、道路事業各社は「既存の道路の補修費用、新規路線の工事費用、さらにサービスエリアなどの施設を拡充するための費用が新たにかかる」として、無料化の目途について明言することはない。

 一方、たとえばアメリカの場合、第二次世界大戦後の連邦政府によるインターステートハイウエイ構想によって、無料の高速道路(フリーウエイ)が全米に張り巡らされていった。

 筆者は過去40年間ほどで、全米各地をクルマで巡ってきたが、州によって道路の補修に対する予算規模は大きく違うため、同じ名前のフリーウエイでも州境を超えるといきなり路面状況が悪くなるケースもある。また、日本のような立派なサービスエリアもフリーウエイにはなく、フリーウエイをいったん降りて一般企業が経営するガソリンスタンドやレストランに入る。

 ただし、2000年代に入って、カリフォルニア、フロリダ、テキサスなど自動車保有台数が多い州では一部道路の有料化が進んでいる。とはいえ、通行料金は日本と比べるとかなり安い。

 結局、アメリカにおける高速道路は、州など地方自治体が費用を負担する社会インフラという位置付けであり、企業活動の一環というケースは少ない。

 こうした状況は、ドイツなど欧州各国でも似ていると思うが、たとえばドイツではアウトバーンで国外登録車に対する有料化の実施について賛否が分かれている状況だ。

 いずれにしても、日本が世界でもっとも高速道路料金が高い国であることが変わることは、当分の間ないだろう。