今週、J1の横浜FCは下平隆宏監督を、J2の愛媛が和泉茂徳監督を交代させました。例年に比べると今年のJリーグは降格の条件が厳しいため、10試合もしないうちに手を打ったのでしょう。

監督交代は処方箋に過ぎません。どうしてもうまくいっていないチームを何とか向上させるための劇薬だと思います。交代させられた監督とともに選手にも責任があるのは、チームの中はみんな思っているでしょう。

どのタイミングで交代させるかについては各クラブにこれまでの経験値があります。横浜FCはかつて1試合で交代させたこともあるので、早い決断に至ったのかもしれません。ただ、今回の横浜FCや愛媛と対照的なのは鹿島だと思います。

今季序盤の鹿島は苦戦しました。ですが自分たちのサッカーを信じ、自分たちのサッカーに合うように獲得した選手を信じ、監督をとことん支え続けてきた歴史があります。たぶん今シーズンの最初、下位に沈んだときも「まだ始まったばかり」とどっしり構えていたのではないでしょうか。

そうやってクラブとしてまとまることが出来るのが鹿島の強みでしょう。逆に監督交代に踏み切らざるを得ないチームは、確かに監督交代で浮上することはありますが、問題を奥深くに抱えている可能性があります。僕自身の経験として、チームが低迷するときは監督だけが問題というわけではないのです。

今回の例だけに当てはまるのではないのですが、僕は監督交代したチームは、たとえばシーズンが終わった後にでも、フロントの誰かが何かしらの責任を取ることも必要だと思います。選手、スタッフの現場だけではなくフロントもプロフェッショナルである必要があると思っています。

「監督が交代しました」「チームが浮上しました」でシーズンが終わったら来シーズンも同じことを繰り返します。どうなっていくか、忘れずに見守っていきたいと思います。