多くの情報が瞬時に手に入り、どこにいても友人や知人と繋がることができるネットの世界。今や私たちの日常生活においてなくてはならない存在ですよね。一方で、人間関係のもつれや誹謗中傷などさまざまなトラブルがあるのも事実。

今回はESSE読者357人に、SNSやネットにまつわるトラブルについてアンケートをとってみました。
また私たちがネットでこういったトラブルに巻き込まれないために、気をつけるべきことはなんなのか、スマホやSNS事情に詳しいITジャーナリストの高橋暁子さんにお話とその対処法なども伺いました。


読者が体験したSNSトラブル

もはや他人事ではない!?読者が体験した職場・友人間でのSNSトラブル



今回のアンケートによると、ESSE読者357人の約9割はネット上でのトラブルの経験はないと回答。ほとんどの人が、他人とつながるからこそ気をつけて利用している印象でした。

ただ、約10%の人はなんらかのネットトラブルの経験があると回答。具体的な体験談とその対処法をご紹介します。

●困りはしないけれど、地味にイヤなSNSのアカウントバレ




まずは、経験がある方も多そうなアカウントバレ。プライベートと職場を切り離したい人にとって、実名ではないSNSを見られるのは地味につらいこと。

「職場先にいるバイトさんにTwitterのアカウントがバレてしまい、ほかの人たちにもアカウントがバレてしまいました」(北海道・接客業・34歳)

どう気をつければいいのでしょうか。

<対処法:実名でないアカウントでもバレるものと思って使う>
「じつは匿名のアカウントであっても、個人の特定は意外と簡単にできるんです」と高橋さん。

・IDに個人情報が紐づけられている
「たとえばInstagramはIDが表示されますよね。大抵の方はニックネームや誕生日、お子さんの名前なんかを組み合わせて考えていると思います。そうなるとID自体に個人情報が含まれてることに。TwitterやInstagramなどそれぞれ使い分けていたとしても、同じIDだとすぐ分かってしまいさらに、特定しやすくなるわけです」(高橋さん)

・趣味や生活圏など共通項が多すぎるのでつながりやすい
「お友達や同じ趣味をもっている人、同じ会社の人など、そう言った身近な人は共通項があるのでどうしてもつながりやすくなってしまします。共通項とは、例えば『学校のこと』『地元のローカルなお店』『仕事での出来事』などです。鍵をかけ非公開設定にする方法もありますが、もし会社の人やママ友、知人に見られたくない、特定されたくない人は、そもそも共通の話題などを呟かないのがいちばんです。また見られても大丈夫なことだけを書いていれば心配はいりません」(高橋さん)

●画像の無断使用や誤解など…友人間であったSNSトラブル



「掲載されたくない写真を、友人に無断で使用されていました」(東京都・主婦・33歳)

「私は顔写真が写ったものをアップしないのですが、友人が私と写った写真をネットにアップしていました。なかなか削除して、嫌だとは言えないですよね」(愛知県・アルバイト・31歳)

「子どもができたことをまだ公にしていなかったのに、それを知っていた友人が子どものことについてコメントで書かれてしまいました」(神奈川県・主婦・31歳)

「Twitterで、ウェディングハイの友人についてイヤな気持ちを呟いたら、同時期に結婚予定だった別の友人から『私のこと?』って連絡が来て謝られました」(神奈川県・主婦・31歳)

友人、ママ友、共通の趣味を持つ友人、いろんな人たちとつながっているSNS。だからこそ、そこで生じてしまう写真の無断使用や誤解といったトラブルは、ダメージが大きいもの。受け取り方や発信の仕方もそれぞれな分、「そういうつもりじゃないのに」「なんでそうなるの?」というようなモヤっとするような体験をした人たちも。

<対処法:トラブルが起きたときは、直接会って伝えるのがベスト>


「今では『写真載せていい?』と確認するのがマナーにはなってきていますが、勝手に写真を載せられた、勝手に情報書かれてしまったなどは、ネットトラブルとしてよくあること。そうならないためにも普段から『ネットって怖いから写真はあげないようにしているんだけど、みんなはどうしている?』など周りがどういう使い方をしていて、自分はどうしているのか伝えておくといいでしょう」(高橋さん)

それでも載せられてしまった場合は直接会って、消してもらうようにお願いする方がよいそう。
「直接会って話せば、相手の反応に応じてフォローしやすいのでオススメです。また伝えるときは『ニュースでネットは怖いっていうの見たから』『(学校や園の)先生たちが心配しているみたいだから』など、納得しやすい要因を入れてやんわりと伝えることが、トラブルにつながりづらくなります」

●正義感が裏目に…気づけば自分がデマを加担する側に!?



「コロナに関するフェイクニュースが市内に流れたときに、友人からのLINEで入手した情報を信じてしまい、緊急性が高いと思って友人に流してしまいました。ただし、すぐにフェイクとわかってそれを伝えたので、大きなトラブルにはならずにほっとしました」(滋賀県・アルバイト・40歳)

「コロナで休校になった時期、40℃くらいでコロナが死滅するというスパムメールをママ友からLINEで送られてきました」(千葉県・主婦・41歳)

ニュースにもなっていましたが、「よかれと思って伝えた情報がことがじつはデマ」を、今回のコロナ禍で経験したという方も数名いました。情報が錯綜するなか、少しでも早く、そしてだれかのためにという正義感が、こういう形でトラブルのきっかけになってしまうのはとても悲しいもの…。まずは拡散するまえに信憑性を確かめるという作業が必要かもしれません。

<対処法:情報の信頼性を確認して、不明ならシェアしない>
「災害時は、不安で情報が錯綜するため、とくにデマの流布が増えることが知られています。多くの人がシェアしていても、みんながだまされている可能性もあるので、それだけで信用するのは危険です。いつ、だれが言っている情報なのかや、複数の情報を確認するというのが、デマにだまされないポイントです。必ず情報の出どころを調べて、信頼性を確認するくせをつけましょう」(高橋さん)

一般的に、省庁や公的機関、新聞社などの大手メディアなどが、発信している情報は信頼できる可能性が高くなるそう。
「その際、複数の情報発信元を確認するようにするとなお安心です。また災害時の情報は、そのときは正しい情報でも、時間が経つと状況が変わっていることもあるので、最新の情報かどうかも確認してください」

また、万一デマを流してしまった場合はどうするのがよいのでしょうか。
「TwitterやInstagramなどであれば削除の上、訂正したものを再投稿するといいでしょう。Facebookの場合は、謝罪コメントをつけた上で、もとの投稿を修正しておくことをおすすめします」

自分の使用しているアカウントは何のためか再確認を




「トラブルもゼロではないとはいえ、ネットを利用することはメリットも多いですし、私たちの暮らしから切っても切り離せないもの。だからこそ今一度何のために使うのか確認してみるのがいいと思います」と高橋さん。

ネットやSNSの主な用途は3つ。
・記録用
・交流用
・情報発信や収集用

「本来何のためにどう使いたかったを確認することにより、どこまで公開するのか、どういったことまで発信したり書こうなど、ルールをつくることができます。ルールさえ決めてしまえば、あとから『あの写真アップしなければよかった』『こんなこと書かなければよかった』などという失敗を減らすことができると思います」

SNSはあくまでコミュニケーションのツールです。手軽にコミュニケーションが取れるからこそ、根本にある「人としてのマナー」を忘れずに、便利に使いこなしたいですよね。

<取材・文/やまざきひでよ>

●教えてくれた人
【高橋暁子さん】



ITジャーナリスト。元小学校教員。Webの編集者などを経て独立。SNSやスマホの安心安全利用などをテーマとし、メディアなどに多く出演するほか、学校などを回って講演することも多い。1児の母。