ロッテ・安田尚憲【写真:荒川祐史】

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「打てなかったことより、振れなかったことを悔しがってほしい」

■ソフトバンク 6-4 ロッテ(CS・15日・PayPayドーム)

 来季の本格的なブレークにつながるか。ロッテは15日、敵地PayPayドームで行われた「パーソル クライマックスシリーズ パ」第2戦で、ソフトバンクに4-6の逆転負けを喫し、連敗で日本シリーズ進出が夢と消えた。この日「4番・三塁」で出場した安田尚憲内野手は、2試合を通じて9打数4安打4打点、打率.444と気を吐いたが、豊かな可能性とともに、課題も改めて浮き彫りになった。昨年まで5年間ソフトバンクのコーチを務めた飯田哲也氏が分析した。

「7番・三塁」で出場した前日の第1戦では、1回に千賀から右翼席へ先制2ラン。4番に昇格したこの日も、1回無死二、三塁で東浜から左中間を破る先制2点二塁打を放ち、7回には左腕・嘉弥真に中堅フェンス直撃の二塁打、9回には守護神・森に中前打を浴びせた。

 飯田氏は「特に、東浜の外角低めのシンカーを逆らわずに左中間へ運んだ先制二塁打は見事でした」と高く評価したが、一方で、1点リードで迎えた4回2死一、三塁での空振り三振を、見逃すわけにはいかないと言う。

「ロッテとしては、不調の相手先発・東浜にとどめを刺すチャンスでした。カウント3-1の有利なカウントから、5球目はほぼど真ん中のストレート。この1球に手を出さなかったのは、痛恨でしょう」と指摘する。結局、カウント3-2となってから、外角低めのボール球のシンカーを振らされ、三振に倒れた。

「物足りない所があるとすれば甘い球を絶対に逃さないという気迫、積極性」

「まだプロ3年目、21歳の安田には、失敗を恐れず、どんどん行ってほしい。それだけに、あの甘いストレートを見逃したことには、僕もがっかりしましたが、ロッテの首脳陣はもっとがっかりしでしょう。打てなかったことより、振れなかったことを悔しがってほしい」

 安田は今季、開幕4番のレアードが腰痛で打撃不振に陥り、その後戦列を離れたこともあって、7月21日から10月30日まで86試合連続で4番を任された。西武との2位争いが激しくなった同31日からは、その座を清田に明け渡し、今季打率.221、6本塁打、54打点も、4番にふさわしい数字とはいえないが、三塁守備を含めて成長のあとは見せた。

 2017年ドラフト1位で履正社から入団した時には、ヤクルト・村上、日本ハム・清宮とともに「高校BIG3」と呼ばれた。昨年セ・リーグ新人王を獲得した村上は、今季も全120試合で4番を務め、打率.307、28本塁打、86打点をマークしている。

 飯田氏は「村上があれだけできたのだから、安田だってもっとできるはず」と檄を飛ばし、「この1年は良い経験になったと思うが、来年結果が出なかったら、『何のために4番を打たせたのか』という話になる。村上と比べて、安田に物足りない所があるとすれば、甘い球を絶対に逃さないという気迫、積極性でしょう」とエールを送った。

 短期決戦を含め、チームの最前線に立って経験を貯め込んだ若武者。あとは一気に飛躍を遂げるだけだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)