本田圭佑に「何様のつもり?」。敗退後のSNS発信にファンが猛反発
本田圭佑のボタフォゴは7月5日、リオデジャネイロ州選手権の準決勝をフルミネンセと戦った。
この試合は本田にとって、ブラジルでの最初の真剣勝負と言ってもよかった。これまでの試合はすべて中小チームとの対戦で、フルミネンセは彼が初めてぶつかった強豪だった。言い換えれば、彼が実力を見せる絶好の機会でもあった。
再開後、3試合にキャプテンマークを巻き先発した本田圭佑 photo by ZUMA Press/AFLO
後半27分になってやっと見せ場が訪れた。本田がFWのブルーノ・ナザリオにピタリと合うパスを送り、ナザリオがシュート。しかし、残念ながらこれはゴールバーを叩いて終わった。その後はまた膠着が続き、そのままゲームは0−0で終了。本田のモーターはフルスロットには遠い状態だった。
他の選手よりは多少マシだったかもしれないが、W杯を三度も経験し、世界的にも名の知れた本田である。ここで何かやってくれるのではと思っていたサポーターは肩透かしを食らった形となった。
ただ、ピッチでは話題をさらえなかった本田も、ピッチの外では注目を浴びることとなった。原因は試合後のSNSへの投稿だ。
試合結果は0−0のスコアレスドローであったが、ボタフォゴは選手権での敗退が決まった。リーグのルールでは、引き分けの場合、延長、PK戦はなし。1次リーグでポイントが高かったほうが勝利することになっているからだ。
1次リーグでボタフォゴはグループAに所属し、1位はフラメンゴ(15ポイント)、2位がボタフォゴ(8ポイント)。グループBは1位フルミネンセ(10ポイント)、2位ヴォルタ・レドンダ(10ポイント。フルミネンセとは得失点差)だったため、フルミネンセが決勝に進出することになった。
本田はどうやらそのルールに驚いたようだ。
彼のTwitterには英語で「フルミネンセおめでとう。彼らは勝利に値した。しかしこれだけは言っておきたい。このルールは変えられるべきだ。延長やPK戦がないトーナメントなんてこれまでみたことがない」の言葉があった。
この投稿がブラジルで物議を呼んだ。
最初の反応は「本田ってこれまでこのルールを知らなかったの?」だ。試合後のタイミングでこう発言をするということは、彼がルールを知らずにプレーしていた可能性も高い。「ピッチに入る前にそれくらい勉強しておけよ」「ボタフォゴは、こういうルールであることを教えてくれなかったんですか?」……。もしそうだったら、本田は自分がチームと意思の疎通が取れていないと宣言したようなものである。
また、もし彼がこのルールを知っていたとしたら、今度は「なぜこのタイミングで?」ということになる。「なんで敗退後に言うの?」「しょせん負け犬の遠吠え」という反応が相次いだ。
本田のパフォーマンスを揶揄する声もある。「嘆くのは自分がいいプレーをしてからにしろ」「やるべきこともやらないで、ルールをとやかくいう資格なし」……というわけだ。
そして何より一番多かったのは「何様のつもり?」というものだった。本田はファンから見ればまたも過ちをしてしまった。
確かにこのルールは少し変かもしれない。ブラジルでもその他の州リーグには、こんなルールは存在しない。しかし、シーズンが始まる前から決まっていることであり、サッカー協会とすべてのチームが協議の末、合意してサインをしたルールである。
突然やって来て、まだ数試合しかプレーしていない者が「おかしい、変えるべき」と言い出したら、いい気持ちがしないことは、わからないのだろうか。ボタフォゴは本田のことを大事に思っているし、騒ぎを大きくしたくないから、この件に関して何も反応しないだろう。だがチームも、頭ごなしにこんなことを書かれては、気分はよくないはずだ。
まだ自由な気風のリオデジャネイロだからこれで済んだが、もしこれがプライドの高いサンパウロだったら、人々は本田を絶対に許さなかっただろう。
本田は以前、「オリンピック代表に入るためにボタフォゴで頑張りたい」とツイートし、ボタフォゴサポーターを鼻白ませた。今回もまた、ブラジルの人々の気持ちを逆なでしてしまう結果となってしまった。
敗退したボタフォゴが次にプレーするのはブラジル全国リーグだ。今のところ開幕は8月9日とされている。つまり、約1カ月のブランクがあることになる。
ボタフォゴはその間、きちんとした練習はできない。試合のないチームは5人以上での練習が禁止されているからだ。これを守らないチームは多いが、ボタフォゴはコロナ禍に対しては慎重な態度をとっており、きっとこの決まりも順守するだろう。全国リーグが開幕した時には、フィジカルコンディションにも影響してくるだろう。