これが本当に紙?精巧すぎる切り絵アート Twitterで話題の作家を直撃
白い紙をカッターで切るだけで信じられないほど美しい世界を表現できる――
いま、とある切り絵作家の作品が、ツイッターで注目を集めている。
「海蛸子」(福田さんの公式ツイッターより)
こちらは「切り剣Masayo」名義で切り絵作家として活動する福田理代(まさよ)さんの作品「海蛸子」(かいしょうし)。
いまにも動き出しそうな躍動感あふれるタコの姿は、思わず息をのむほど美しい。まさかこれが元々は何の変哲もない1枚の紙だったとは想像することすら難しい。
19年9月4日、福田さんは自身のツイッターで「白い紙をカッターで切るだけでどこまでの表現が出来るかを極めて行こうと日々精進しています」と上の海蛸子などの過去の作品画像を投稿。すると、投稿は17日現在までに2万4000件のリツイートを超え、話題を呼んでいる。
いったい、こうした精巧な作品はどのようにしてできあがるのだろうか。Jタウンネット編集部は話題の作家を直撃した――。
切り絵との出会いは高校生の頃
「リュウグウノツカイ」(福田さんの公式サイトより)
シャープペン、デザインカッター、ペンライト、タント紙といったどこでも購入できるものを使って表現を続ける福田さん。一枚の紙を切り抜いて表現する切り絵の世界は、制限があるからこそ、追及していく楽しさがあると説明する。
「一枚の紙を切り抜いて描く単色の世界の中で、鉛筆画のような美しく繊細なアートを目指しています。
写実的、美しい、繊細、存在感、立体感がある作品を目指して皆様に毎回、驚きと感動を与えられる切り絵作品を行っていきます。制限のある世界だからこそ、究め、追求していく楽しさがあると思っています」(福田さん)
福田さんが切り絵に出会ったのは自身が高校生の頃。友人に贈るメッセージカードを作っていく内に、ただの四角いカードに物足りなさを感じ、ハート型に切り抜いたことがきっかけだった。
当初、これが切り絵だという実感はなかったそうだが、作業に没頭するうちに、だんだんと切り絵の魅力に取りつかれていったという。
「海蛸子」制作の様子(福田さんの公式YouTubeより)
福田さんによれば、作品をつくる上で一番重要なのは下書き。福田さんは紙の裏に下書きをするため、完成品は左右逆となる。逆転を考えながら、全体のバランスを計算して下書きを完成するのが重要な工程となるそうだ。
普段は時計修理会社に勤めながら、夜や早朝に作品づくりを続けている。平均にして1日の作業時間は4時間程度。1作品につき、1、2か月くらいかけて制作に取り掛かるとのことで、作品を仕上げるのはかなりの長丁場となるようだ。
「海蛸子」の下書き(福田さんの公式ツイッターより)
「私にとってのアートとは『楽しい時間』です」と述べる福田さん。今回ネット上で話題になったことを受けて、
「たくさんの人に作品を見てもらうために、切り絵作家として私自身が有名になることも必要であると思います。そして、その結果『切り絵をやってみよう』という人が増えたら嬉しいです。そのためにまず、海外で個展を行えるようになりたいです」
とした。