【戸塚啓コラム】森保ジャパン初トライの3−4−3、その出来栄えを評価する
いいトライだった。
6月5日に行われたトリニダード・トバゴ戦で、日本代表の森保一監督は3−4−3のシステムを採用した。就任から15試合目で初の3バックである。
昨年9月の立ち上げにあたって、指揮官は継続性を重視した。ロシアw杯で西野朗監督(当時)が用いた4−2−3−1に、新たに招集した選手たちも当てはめていった。
「これまでも毎回、(3バックを)試そうと思って活動してきた」と森保監督は言う。サンフレッチェ広島の監督時に使っていたシステムを、代表でも使いたいと考えるのは当然だろう。昨年はU−21として、今年はU−22として活動している東京五輪世代のチームでは、3バックで躊躇なく戦っている。
継続性の先に見据えたのはベース作りである。継続性だけでなく「選手に合っている」とも考える4−2−3−1をチームに浸透させるために、3バックでの戦いは封印してきた。
機は、熟した。
トリニダード・トバゴ、ホンジュラスと対戦する今回のキリンチャレンジカップを終えると、フル代表が次に集合するのは9月である。W杯予選がスタートする。公式戦を前にして3バックにトライできる最後のタイミングを、逃すわけにはいかなかったのだ。
出来栄えは悪くない。時間の経過とともに疲労を溜めていく相手に、26本ものシュートを浴びせた。決定機がもれなく得点に結びついていたら少なくとも3点、うまくいけば5点は入っていただろう。
だが、良くもない。4−2−3−1で見せてきた連動性を発揮するに至らず、とりわけ前半は個人による仕掛けと「点」で合わせる攻撃が量産された。相手DFが日本の選手とボールの動きを同一視野に置けない場面は、限られたものだったと言っていい。侵入するのは難しいが相手にとって厄介なエリア──たとえばセンターバックとサイドバックの間の背後のエリア──の攻略は、これまた限定的だった。3バックでの戦いを意識するあまりに、システムを問わない原理原則がやや置き去りにされた印象があった。
それも当然ではある。チームが集合してから試合まではわずかに3日だった。トリニダード・トバゴは長距離移動による疲労を引きずっていたが、日本の選手たちもコンディションは万全でない。差し引きすべき要素はあった。対戦相手のレベルの違いはあるものの、西野朗前監督の初陣で見せた3バックより見どころはあったと言っていい。
トリニダード・トバゴ戦を終えた森保監督は、次のエルサルバドル戦も3−4−3で戦うことを示唆した。オプションとしての精度を上げていくには必要なプロセスで、来るW杯予選への布石にもなる。日本と同じグループになった相手は、3月までの4−2−3−1に加えて3−4−3への対策もしなければならないはずだからだ。
久保建英のデビューは見送られた。初招集即出場の期待が高まっていたが、森保監督は「シーズンを通してチームをけん引するようなプレーをしてきて、移籍報道もある。プレッシャーがかかっているので、少し緊張の糸を緩めながら先に進んだほうがいい」との判断を下した。
久保はコパ・アメリカでもメンバー入りしている。国内でのテストマッチとブラジルでの真剣勝負は、まったく異質の空間だ。あらかじめデビューさせたところで、コパ・アメリカがタフな戦いになるのは間違いない。慌てる必要はないとの判断も、時機にかなうものだった。
6月5日に行われたトリニダード・トバゴ戦で、日本代表の森保一監督は3−4−3のシステムを採用した。就任から15試合目で初の3バックである。
昨年9月の立ち上げにあたって、指揮官は継続性を重視した。ロシアw杯で西野朗監督(当時)が用いた4−2−3−1に、新たに招集した選手たちも当てはめていった。
「これまでも毎回、(3バックを)試そうと思って活動してきた」と森保監督は言う。サンフレッチェ広島の監督時に使っていたシステムを、代表でも使いたいと考えるのは当然だろう。昨年はU−21として、今年はU−22として活動している東京五輪世代のチームでは、3バックで躊躇なく戦っている。
機は、熟した。
トリニダード・トバゴ、ホンジュラスと対戦する今回のキリンチャレンジカップを終えると、フル代表が次に集合するのは9月である。W杯予選がスタートする。公式戦を前にして3バックにトライできる最後のタイミングを、逃すわけにはいかなかったのだ。
出来栄えは悪くない。時間の経過とともに疲労を溜めていく相手に、26本ものシュートを浴びせた。決定機がもれなく得点に結びついていたら少なくとも3点、うまくいけば5点は入っていただろう。
だが、良くもない。4−2−3−1で見せてきた連動性を発揮するに至らず、とりわけ前半は個人による仕掛けと「点」で合わせる攻撃が量産された。相手DFが日本の選手とボールの動きを同一視野に置けない場面は、限られたものだったと言っていい。侵入するのは難しいが相手にとって厄介なエリア──たとえばセンターバックとサイドバックの間の背後のエリア──の攻略は、これまた限定的だった。3バックでの戦いを意識するあまりに、システムを問わない原理原則がやや置き去りにされた印象があった。
それも当然ではある。チームが集合してから試合まではわずかに3日だった。トリニダード・トバゴは長距離移動による疲労を引きずっていたが、日本の選手たちもコンディションは万全でない。差し引きすべき要素はあった。対戦相手のレベルの違いはあるものの、西野朗前監督の初陣で見せた3バックより見どころはあったと言っていい。
トリニダード・トバゴ戦を終えた森保監督は、次のエルサルバドル戦も3−4−3で戦うことを示唆した。オプションとしての精度を上げていくには必要なプロセスで、来るW杯予選への布石にもなる。日本と同じグループになった相手は、3月までの4−2−3−1に加えて3−4−3への対策もしなければならないはずだからだ。
久保建英のデビューは見送られた。初招集即出場の期待が高まっていたが、森保監督は「シーズンを通してチームをけん引するようなプレーをしてきて、移籍報道もある。プレッシャーがかかっているので、少し緊張の糸を緩めながら先に進んだほうがいい」との判断を下した。
久保はコパ・アメリカでもメンバー入りしている。国内でのテストマッチとブラジルでの真剣勝負は、まったく異質の空間だ。あらかじめデビューさせたところで、コパ・アメリカがタフな戦いになるのは間違いない。慌てる必要はないとの判断も、時機にかなうものだった。
関連情報(BiZ PAGE+)
1968年生まれ。'91年から'98年まで『サッカーダイジェスト』編集部に所属。'98年秋よりフリーに。2000年3月より、日本代表の国際Aマッチを連続して取材している