亡くなった飼い主の遺言により健康な犬が安楽死させられる(画像は『NBC12 2019年5月23日付「Loved to death: Is euthanizing pets to be buried with dead owners OK?」』のスクリーンショット)

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愛犬家の中には、死後も一緒にいたいと思えるほど犬を愛してやまない人もいるようだ。このほどアメリカで、亡くなった本人の希望通り健康に問題の無い犬が安楽死させられ、飼い主と一緒に埋葬されたことが物議を醸している。『New York Post』『NBC12』などが伝えた。

今年3月8日、米バージニア州の「チェスターフィールド・アニマル・シェルター」にシーズーのミックス犬が保護された。「エマ」という名のこの犬は同州リッチモンド在住の飼い主に可愛がられていたが、その飼い主が亡くなってしまったのだ。

飼い主はエマを愛してやまなかったようで、遺言には自分が亡くなった後、一緒にエマを埋葬して欲しいと残していた。そのためエマは健康な体であるにもかかわらず安楽死させられる運命にあった。

同シェルターにエマは2週間滞在していたが、その間もシェルターのスタッフは安楽死を阻止するために飼い主の遺言執行人と何度か議論を重ねていた。しかしそれも無駄に終わってしまったようだ。

シェルターのマネージャーであるキャリー・ジョーンズさん(Carrie Jones)は、当時のことをこのように明かしている。

「私達は『エマなら新しい里親をすぐ見つけて再スタートができる』ことを彼らに伝え、エマを任せてもらうための署名を何度も勧めました。しかし3月22日に、彼らはエマを安楽死させるために連れて行ってしまったのです。」

その後、エマは地元の動物病院で安楽死させられた。後にリッチモンドのペット火葬センターで火葬され、エマの遺灰は骨壷に入れられて飼い主だった故人の遺産管理人へと引き渡された。

これには多くの人が人間の身勝手さに怒りを隠せず、このような声があがった。

「なんてこった! 人間は動物の命なんて、お構いなしなんだな。薄情で冷酷すぎる。犬が可愛そうだ。」
「遺言だからって犬を殺した奴らは、まさにゴミだ!」
「なんて(人間は)身勝手なモンスターなんだ。」

バージニア葬儀社協会の理事長であるラリー・スピアッジ氏(Larry Spiaggi)によると、バージニア州の法律では例外を除いて、いかなる動物の遺灰も亡くなった人の棺桶に入れての埋葬はできないことになっている。しかし、何年も前にこの法律が定められているにもかかわらず、エマと同様のことを求める人が他にもいるという。

これに対して同州にある「シェイディ・グローヴ動物病院」のケニー・ルーカス医師(Kenny Lucas)は、健康なペットを安楽死させることは断固拒否すると強く語った。

「私たち医師が動物を安楽死させる時は、とても重苦しい思いをしなければなりません。私たちは医療倫理や任務についての誓約を守ることを誓い、話をしてきましたが、安楽死とは想像をはるかに超えたもので、仕事を終えて自宅に帰ってもずっと引きずって考えてしまうほどです。」

なおバージニア州では動物の遺灰を故人の遺灰や遺体と一緒に埋葬できないが、それは商業墓地の場合であって、個人所有の土地への埋葬や自宅内で一緒に遺灰として保管する場合は違法ではないそうだ。

画像は『NBC12 2019年5月23日付「Loved to death: Is euthanizing pets to be buried with dead owners OK?」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)