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3月いっぱいで閉店した都内のセブンイレブン加盟店オーナーの妻が4月15日、都内で記者会見を開き、きちんとした手順を踏まないまま一方的に契約解除されたと主張した。

この店舗は、セブン東日本橋1丁目店。会見した店舗マネージャーの齋藤政代さん(52)によると、2月末に店舗を担当する経営相談員(OFC)から、店のオーナーで夫の敏雄さん(60)に対して、3月末での閉店が告げられたという。

敏雄さんはその後、寒いところに行けば、持病の心筋梗塞で家族にいくばくかのお金を残して死ねるのではないかと考え、北海道へ渡ったが、3月下旬に支援者に促され、関東に戻ってきている。

●4月に入って「協定書」へのサイン要求

セブンは、敏雄さんと解約の合意が成立しているとしている。実際に閉店後、政代さんが本部から見せられた「中途解約申入書」という書類には、敏雄さんのサインと印鑑が押されている。解約申し出の日は「平成30年11月11日」。つまり昨年だ。

しかし、この書類には「解約事由等の該当条文」や「契約終了の日」といった項目が空欄のままになっていた。

また、4月に入って、敏雄さんは本部から「中途解約に関する協定書」という別の書類に、署名・押印するように求められたそうだ。

書類の内容は、「加盟店契約を2019年4月1日をもって解消することに合意」「3月31日15時まで…店舗の営業を継続することを確認」したという内容で、「2019年3月■日」(■は空欄)付になっている。

解約の合意が成立しているのだとしたら、なぜ4月にこのような書面をやり取りする必要があるのか。取材に対するセブンの回答は次のようなものだった。

「オーナーから解約の申し出があり、閉店に向けて手順を踏んでいた。しかし、2月末に協議して閉店の日を決めると、協定書を提示する間もなく、オーナーが失踪してしまった。協議して決定した事項で閉店しているが、ちゃんと書面を残そうということ」

●合意にこだわるセブン

セブンの契約書上、敏雄さんのようにオーナーが店の経営を放棄してしまうと、無条件で契約解除されてしまう可能性がある。しかし、セブンは失踪後も「合意」にこだわったようだ。

セブンによる「フランチャイズ契約の要点と概説」という文書には、2015〜2017年の間にセブンから契約を解除した店舗は一つもないことが書かれている。

政代さんを支援しているコンビニ加盟店ユニオンの顧問で、コンビニ関係の相談を多く受けている中野和子弁護士は会見で、次のようにコメントした。

「(オーナーの始末書の数などが)一定のレベルに達すると、『解約ものだよ』ということになって、とりあえず申入書を書かせるという事例はあります。だからと言って、いつ閉店するとか、そういう合意がないまま推移することが多い」

●ドミナント(集中出店)で経営悪化と主張

会見した政代さんによると、齋藤さんの店は2010年にオープン。他チェーンを撤退に追い込み、自宅も購入したところ、2013年に大通りの反対側に別のセブンができ、店員の奪い合いや経営悪化が起こったという。

2014年には長男・栄治さん(当時19)が夜勤明けに自殺したこともあり、家族はバラバラになっていった。本部には店をやめたいという話もしたが、違約金がかかるため断念したという。

家のローンを払いながらの店舗経営は苦しく、オーナーの敏雄さんは借金を重ね、コンビニを回していた。しかし、次男の学費に手をつけたこともあり、夫婦は2017年に別居。政代さんと次男は店舗から手を引いている。

この日、政代さんは「私たちのような犠牲者を二度と出したくない」と会見に臨んでいた。

(弁護士ドットコムニュース)