なぜか大量のガーフィールド電話が次から次へと流れ着くビーチの謎
何十年もの間、「なぜか大量のガーフィールドの形の電話が海岸を汚染し続けている」という謎がフランス・ブルターニュ地方で伝えられていました。この長年の謎がついに解き明かされたと報じられています。
Solved: The 35-Year-Old Mystery of the Garfield Phones on a French Beach - Atlas Obscura
https://www.atlasobscura.com/articles/garfield-phone-beach
ガーフィールドの電話は、アメリカのオモチャ会社「Tyco」が1980年代に発売したもの。この電話は、受話器が持ち上がるとガーフィールドの目が開くという仕組みでした。
なぜガーフィールドの電話が海岸に大量に転がっているのか?ということは、地元の長年の謎でした。これまでは「コンテナが船から落ちて海に沈み、中身が少しずつ海岸にあがってきている」という説が有力で、Meur氏もそれを信じてきました。フランスのニュースメディアであるFranceInfoも2019年2月にこの説をベースにガーフィールド電話の記事を掲載しています。
FranceInfoの記事に協力したMeur氏ですが、しかし記事を掲載してからすぐ後に、偶然「ガーフィールド電話の原因を知る」という男性・René Morvan氏に出会いました。
Morvan氏はビーチに隣接する場所で農家を営む57歳の男性。Morvan氏によると、Morvan氏が20歳前後の頃に大きな嵐が海岸部を襲い、その後からガーフィールド電話がビーチに現れるようになったとのこと。ガーフィールド電話の存在を不思議に思ったMorvan氏とその弟が調査を行った結果、崖の中の洞窟に運送用のコンテナが引っかかっているのを発見。ほとんどの時間、コンテナは水中に沈んでいますが、干潮になると時々姿を現すそうです。
この話を聞いたMeur氏が、数人のボランティアと共に干潮のタイミングで洞窟を訪れたところ、コンテナの金属片とともに何百というガーフィールド電話のかけらが見つかりました。破片の中には受話器など形が残っているものもあり、ボタンはまだ数字が読み取れる状態だったそうです。コンテナが確認できたことで何十年も続く謎が解決されたわけですが、Ar Viltansoùは、海岸に流れ着いたガーフィールド電話は別の場所にある別のコンテナから出たものではないか、ともみているそうです。
これが実際に洞窟を探索した時の映像。
Le mystère des téléphones Garfield échoues enfin résolu - YouTube
岩場を歩く人々。
男性が指さす先に……
さびたコンテナの姿がありました。
周囲には金属片が散らばっています。
そしてこの男性が石と石の間から拾ったものが……
ガーフィールド電話。
コードのようなものもありました。
見つかったガーフィールド電話の破片はこんな感じです。
ガーフィールド電話の謎は一見するとほほえましい話題のように思えますが、近年問題視されているマイクロプラスチック汚染の文脈で考えると、非常に深刻なものです。
汚染物質「マイクロプラスチック」が大西洋・中深海水層の73%の魚の胃に入っていた - GIGAZINE
マイクロプラスチッックは微小なプラスチック片のことで、海洋に漂うマイクロプラスチックを魚が摂取し、食物連鎖のすえ人間が体に取り入れる危険性があるほか、海水から作る食卓塩にもマイクロプラスチックが含まれているといわれています。ガーフィールド電話も砕け、微小な粒子となり、海洋経由で人間の体に取り込まれる可能性があります。
「プラスチックを分解するには400年という月日を必要とします」「大きなプラスチックのように目に見えませんが、微小なプラスチックは空気、水、砂などあらゆる場所に存在します」とMeur氏は述べました。
地球では毎年何千というコンテナが海に落下しています。最初にガーフィールド電話について記事を掲載したFranceInfoの調べによると、1年のうちに失われるコンテナは1500〜1万5000個とのこと。フランスの沖・1993年という限定的な区切りでも、農薬や硫黄、ニトロセルロースといった可燃性が高い物質が落下したことが判明しています。
たとえ有毒な物質であっても、人は海に落下したもののことをすぐに忘れ去ってしまいます。しかし、ガーフィールド電話という特徴的なアイテムは記憶に残りやすいもの。「いつもなら興味を持たない物事に心を開いて、海に落ちたものの物語に耳を傾けてもらえればなと思います」と Meur氏は語りました。