『ドッキリGP』フジ“土8”にお笑い番組復活! 名バラエティのDNA継承
●『トリビア』『みなさん』スタッフが演出
フジテレビの“土曜8時”に、お笑い番組が帰ってくる――かつて『オレたちひょうきん族』『めちゃ×2イケてるッ!』などが放送されてきた看板枠で、きょう11月10日にスタートする新バラエティ『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(毎週土曜20:00〜 ※初回19:00〜2時間SP)は、ゴールデン・プライムタイムで、トークやクイズ、情報を盛り込んだバラエティが全盛の中、貴重な存在となった“ただただ笑える番組”ということで、お笑い志望のスタッフたちが目を輝かせて制作に取り組んでいるという。
「一方的に“ドッキリを仕掛けられる”側だった芸能人が、“ドッキリを考える”側になる」というコンセプトを掲げ、ハイテンポで繰り出されるドッキリの数々に、初回収録のスタジオも大盛り上がり。その裏側を、企画・チーフプロデューサーの蜜谷浩弥氏と、演出の中川将史氏というフジ同期入社コンビに聞いた――。
○無理難題を実現してきた“美術番長”
――初回のドッキリの手応えはいかがでしたか?
蜜谷:4回放送した特番時代で良かったものをブラッシュアップしたパターンと、今回初めてやってみたパターンがあったのですが、スタッフを今までの優秀なスタッフに加えてさらに強化しているので、VTRの精度もかなり高いものになったかなと思います。収録後も、MCの東野(幸治)さん、小池(栄子)さん含めて、皆さん「面白かった」と言っていただきました。
中川:VTRをスタジオに出すまではめちゃめちゃ不安なんですけど、出演者の皆さんやお客さんが笑ってくれて、初めてホッとできました。今回の収録は、笑い声も大きかったので、その瞬間に「あぁ、やっと始まったな」という感じがしましたね。
――スタッフさんを強化したということですが、どのように増強されたんですか?
蜜谷:特番時代は、僕が最も信頼する制作会社の1つであるIVSテレビ制作さんとガッツリやっていたんですが、そこにプラスして『トリビアの泉』をやっていた木村剛さん(総合演出)や、前回の特番から参加している自分の同期で『とんねるずのみなさんのおかげでした』をやっていた中川(演出)などで構成するフジテレビ社員の班を作って、2班体制にしたんです。フジテレビでお笑いをやりたい人たちが集結しています。
――そうすると、かつて放送されていた『とんねるずのみなさんのおかげでした』や『めちゃ×2イケてるッ!』などのノウハウが生かされる場面が出てくるのでしょうか?
蜜谷:やっぱり脈々と受け継がれているものがありますね。中川が作ってくるVTRだと「このきめ細かいテロップや意地悪なナレーションは『みなさん』っぽいなぁ」と思いますし、木村さんのVTRも「『トリビア』のような旨い小ネタが詰まってるなぁ」と思います。こちらのリクエストだけでなく、それぞれの持ち味をいっぱい重ねて撮ってきてくれるので、僕もすごく楽しみにしています。
――中川さんは、長年『みなさん』に携われていましたが、なにか意識してそのイズムを盛り込んでいる部分はあるんですか?
中川:意識はしていないので、自然と出てしまっているのかもしれません。自分では分からないですが、14年いた『みなさん』のテンポや発想が染みついてしまっているので、これまでの『ドッキリGP』を踏襲するだけではなく、自分の一番面白いだろうと思う撮り方とすり合わせながら作っている感じです。
――『みなさん』で“美術番長清原”と呼ばれていた内山高太郎さんが、特番から引き続き美術進行として参加されますよね。
中川:内山さんは、長い年月一緒にやってきた仲で、僕らの無理難題を全部実現してきた人なので、ドッキリの美術進行としては一番向いているスタッフの1人だと思います。内山さんだから、僕も「無茶だけどできますよね?」とお願いできるので。
○小池栄子の姿勢に感動
――初回収録を終えて、東野幸治さんと小池栄子さんのMCのコンビネーションはいかがでしたか?
蜜谷:いやぁ、すごかったです! こちらもスタジオの進行台本を作るんですけど、全然その通りいかなかったですから(笑)。これまで見たことのないコンビで面白い流れになったなと思ったんですけど、小池さんと本番後にお話をしたら、「どうやったらもっとゲストをオイシくできるのか。出て良かったと思われるために私はどういう風にしたら良いのか」ということをおっしゃっていて、「あぁ、そこまで考えて臨んでいるんだ」と感動しました。
中川:2人とも、とにかくドッキリが好きなんだなというのを、見てて思いましたね。もうゲラゲラ笑ってて、コメントを聞いてても2人のちょっと“S”な感じの性格が番組に合ってるなと思いました。誰かがドッキリにかかってるのを、大喜びしてる感じがピッタリなんですよ(笑)
――特に東野さんって、ああいうVTRを見て本当に幸せそうに笑いますよね(笑)
蜜谷:東野さんはMCをオファーするときに、「ウソ臭いドッキリはやりたくない」とおっしゃっていたんですね。何かと規制が多い今の時代にドッキリをやるのは難しいんですけど、そんな中でもやるからには、『ダウンタウンのごっつええ感じ』で歴史に残るようなドッキリを目の当たりにして、自分もかかってきた東野さんが腹を抱えて笑ってくれるものにしたいというのが、ベースとしてあります。だからスタジオ収録でも、東野さんが笑ってるのかをよく確認してますね。
○精度を上げてドッキリのプロ集団に
――『金曜★ロンドンハーツ』(テレビ朝日)や、『水曜日のダウンダウン』(TBS)、特番でも『うわっ!ダマサれた大賞』(日本テレビ)といったドッキリを放送する番組がある中、『ドッキリGP』の新しさというのはどんなところでしょうか?
蜜谷:やはり、「芸能人が仕掛けを考える」というのが、番組のアイデンティティになります。僕ら制作スタッフの経験上、「こんなの成立しないよ」となってしまうものをなんとか実現することで、見たことのないものが生まれるし、引っ掛けられ慣れた人だからこそ分かるようなきめ細かいものを考えられるという狙いがあります。それともう1つ、これによって責任の所在がはっきりするんですよ。だから、ドッキリが全然うまくいかなかったとしても、仕掛け人が責められて、それがまた面白いシーンになればいいなと思っています。
――なるほど。仕掛け人にもスポットライトが当たりますからね。
蜜谷:他にも、僕は子供が生まれて自分が父親になったり、親が高齢になって親孝行したいなという気持ちが出てきて共感するようになったんですけど、タレントさんによっては、ドッキリで相手を喜ばせたいと考える人もいるんです。特番のときに、阿部祐二・桃子さん親子が考えた「大好きなスターが突然家に来たら!?」という芸能人のお母さんに仕掛けるほっこりしたドッキリというのもあるので、そうしたものも織り交ぜて、土曜8時に家族みんなで見てもらえればと思います。
中川:僕は、番組タイトルで「ドッキリ」と銘打って、レギュラーで毎週放送していくので、今後我々はドッキリのプロ集団になってしまうと思うんです(笑)。その精度は、放送するたびにどんどん上がっていくはずなので、それによってまた見たことのないドッキリが増えていくというところも新しいところだと思いますね。
――そうすると、今は四六時中ドッキリのことを考える生活になってるんですか?
中川:常に「ここで今何が起こったら面白いかな」とか「あの人が言ってたことは、ここだったら実現できるかな」とか考えるようになりましたね。あと最近、ドッキリを考える夢を見るようになりました。「あ!いいの思いついた!」って思った瞬間に起きたりする(笑)
蜜谷:分かる! 俺もあるよ。夢の中でメモってるのに起きたら覚えてない(笑)
――「秒でドッキリ」という企画は、短い時間に何連発も放送されますから、本当にロケの数が多いですよね。
蜜谷:普通、ドッキリを芸能人に仕掛けるとなったら、1つのネタで短くても5〜6分、長くて20分くらい放送すると思うんですけど、本当に20秒とかでやりますからね。それによって何が生まれるかというと、大赤字です(笑)。初回は2時間スペシャルで総勢70人くらいに仕掛けていますが、放送尺が短ろうが長かろうが、キャスティング費もロケ隊の費用も一緒ですから、ものすごい効率の悪い番組ですよ(笑)。でも、その分楽しんでもらえるように、面白いところをギュッと恐縮しているので。
中川:先々週なんて、週6日ロケやってましたからね(笑)
――これだけドッキリを仕掛けると、芸能人の方もフジテレビで聞いたことのない番組の仕事が入ると、警戒しだすんじゃないですか?(笑)
蜜谷:そうですね(笑)。そうなったら他局の近くで仕掛けるとか、それを逆手に取ってやるかもしれません。で、それが定着したら、またフジテレビに戻ってくるみたいな(笑)
●デヴィ夫人の頭を燃やす秘密システム
――今回、モニターの裏側から映像を投影するというドッキリが最新技術を投入していると伺ったのですが、他にもそうした新しいテクノロジーを取り入れたドッキリはあるんですか?
中川:パッと思いつくので言うと、デヴィ夫人の頭が燃えるドッキリですね。
蜜谷:あれ、どういう仕掛けになってるの?
中川:教えない(笑)
――プロデューサーにも教えないんですね(笑)
蜜谷:僕、最初にスタッフに向けて、まずみんなが知らない最新テクノロジーをリサーチして集めてみようと言ったんですけど、実際にどう応用されているのか、あまり知らないんですよ(笑)。デヴィ夫人のやつも、最初にフッと煙が立って、その後燃え上がるようになってるんですけど、どうやってるのか分からないんですよね。
中川:これはもう、『みなさん』からの盟友の特殊効果さん、元野猿の飯塚生臣(ジェリー)さんですけど、その人と一緒に3週間くらいかけて作り上げたシステムです。実際に仕掛ける前に、100回以上着火実験やってますよ(笑)
――「こういうのがやりたい!」というのがあって、それを実現するためにシステムを作り上げたんですね!
中川:そうです。あれは、夢を作り上げたんです(笑)。夫人が熱くないような素材を探したり、燃えだすタイミングもこっちで決められるように無線を飛ばしたり、何秒以上燃え続けないといけないとか、前から見てバレないようにするとか、いろんな条件をクリアしてできたドッキリですね。
――やってること、『ガリレオ』の犯人と同じじゃないですか(笑)
中川:新開発の化学兵器とかもチェックするようになりましたね。東京ビッグサイトでやってる新技術の展示会にも行きましたから(笑)
蜜谷:中川はドッキリが本当に好きなんですよ。入社同期で17年目なんですけど、こんなにドッキリが好きだったって、今まで知りませんでした(笑)
――それがレギュラーでできるなんて、念願かなったという感じですか?
中川:最初は思ってました。でも今は大変すぎて(笑)。楽しいですけどね。
蜜谷:まず会議が楽しいですよね。人をどうやって驚かすのかを考えるのって、すごく楽しいんですよ。あの情報をどこで入れようかとか、トークの展開をどうしようとかいうのを考えなくていいんで(笑)
○『めちゃイケ』総監督も気にかけて…
――フジテレビさんのゴールデン・プライム帯で、純粋な「お笑い番組」というのは、この『ドッキリGP』だけですよね。
蜜谷:ADの子たちを見てると、みんなすごく目がキラキラして、楽しそうにやってるんですよ。テレビ局に入って、こういうものを作りたいと思ってる人が多かったんだなって、あらためて思いましたね。
中川:普通ADって、僕らから「あれどうなってる?」ってお尻を叩くことが多いんですけど、この番組に関してはどんどん自分たちでテストしてきたり、前のめりになってるんです。だから、スタッフの空気がめちゃくちゃいいですね。僕自身も、お笑い以外の番組をやったことがないんで、『みなさん』が終わって、情報っぽい番組や真面目なことをやらなきゃいけないのかなと思ってたんですけど、蜜谷から今回声をかけてもらって、本当にうれしいし、ありがたいなと思いました。
――制作側が楽しんで作ってる感じが、画面からも伝わってくるといいですよね。放送枠は、『オレたちひょうきん族』や『めちゃイケ』が放送されていた、いわゆる“土8”というフジテレビさんの看板枠ですが、そこを担うことについての心境はいかがですか?
蜜谷:この前DA PUMPさんのコンサートに行った時、隣が『めちゃイケ』総監督の片岡飛鳥さんだったんですけど、僕に「ドッキリはISSAにかけるだけじゃなくて、他のメンバーにやったほうがいい。純粋で良い子たちで面白いリアクションするから、あいつらをドッキリスターにしたほうがいいぞ」って、コソっと言ってくれたんですよ。このように、社内でも“土8”でお笑い番組をやるということに対して応援してくれる人が多いのを感じるので、面白い番組にしないといけないというプレッシャーはありますが、チャレンジャーとして頑張るしかないという気持ちですね。
中川:もちろん、伝説の番組を放送してきた枠というプレッシャーはなくはないんですけど、とにかく笑えるだけの番組をフジテレビがゴールデンという場で作ったということが純粋にうれしいです。そのために、僕はフジテレビに入ったんだと、あらためて思いました。それと、若手や後輩の社員たちからも「僕もドッキリやりたいです」って声が結構あるんですよ。そういう番組をやれているという楽しさのほうがプレッシャーより勝っているので、1日でも長く続けていけるようにしたいですね。
――では、最後に初回2時間スペシャルの見どころをお願いします。
蜜谷:大笑いもできますし、感動してホロッとしたりキュンとしたりもできるドッキリがギュッと詰め込まれているので、ぜひ家族みんなで見てもらいたいなと思います。
中川:僕が担当している「秒でドッキリ」は、チャンネルを変える暇もないくらい、ドッキリの洪水が来るという今まで見たことのない感じだと思います。ぜひ楽しみにしてもらえれば。
フジテレビの“土曜8時”に、お笑い番組が帰ってくる――かつて『オレたちひょうきん族』『めちゃ×2イケてるッ!』などが放送されてきた看板枠で、きょう11月10日にスタートする新バラエティ『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(毎週土曜20:00〜 ※初回19:00〜2時間SP)は、ゴールデン・プライムタイムで、トークやクイズ、情報を盛り込んだバラエティが全盛の中、貴重な存在となった“ただただ笑える番組”ということで、お笑い志望のスタッフたちが目を輝かせて制作に取り組んでいるという。
○無理難題を実現してきた“美術番長”
――初回のドッキリの手応えはいかがでしたか?
蜜谷:4回放送した特番時代で良かったものをブラッシュアップしたパターンと、今回初めてやってみたパターンがあったのですが、スタッフを今までの優秀なスタッフに加えてさらに強化しているので、VTRの精度もかなり高いものになったかなと思います。収録後も、MCの東野(幸治)さん、小池(栄子)さん含めて、皆さん「面白かった」と言っていただきました。
中川:VTRをスタジオに出すまではめちゃめちゃ不安なんですけど、出演者の皆さんやお客さんが笑ってくれて、初めてホッとできました。今回の収録は、笑い声も大きかったので、その瞬間に「あぁ、やっと始まったな」という感じがしましたね。
――スタッフさんを強化したということですが、どのように増強されたんですか?
蜜谷:特番時代は、僕が最も信頼する制作会社の1つであるIVSテレビ制作さんとガッツリやっていたんですが、そこにプラスして『トリビアの泉』をやっていた木村剛さん(総合演出)や、前回の特番から参加している自分の同期で『とんねるずのみなさんのおかげでした』をやっていた中川(演出)などで構成するフジテレビ社員の班を作って、2班体制にしたんです。フジテレビでお笑いをやりたい人たちが集結しています。
――そうすると、かつて放送されていた『とんねるずのみなさんのおかげでした』や『めちゃ×2イケてるッ!』などのノウハウが生かされる場面が出てくるのでしょうか?
蜜谷:やっぱり脈々と受け継がれているものがありますね。中川が作ってくるVTRだと「このきめ細かいテロップや意地悪なナレーションは『みなさん』っぽいなぁ」と思いますし、木村さんのVTRも「『トリビア』のような旨い小ネタが詰まってるなぁ」と思います。こちらのリクエストだけでなく、それぞれの持ち味をいっぱい重ねて撮ってきてくれるので、僕もすごく楽しみにしています。
――中川さんは、長年『みなさん』に携われていましたが、なにか意識してそのイズムを盛り込んでいる部分はあるんですか?
中川:意識はしていないので、自然と出てしまっているのかもしれません。自分では分からないですが、14年いた『みなさん』のテンポや発想が染みついてしまっているので、これまでの『ドッキリGP』を踏襲するだけではなく、自分の一番面白いだろうと思う撮り方とすり合わせながら作っている感じです。
――『みなさん』で“美術番長清原”と呼ばれていた内山高太郎さんが、特番から引き続き美術進行として参加されますよね。
中川:内山さんは、長い年月一緒にやってきた仲で、僕らの無理難題を全部実現してきた人なので、ドッキリの美術進行としては一番向いているスタッフの1人だと思います。内山さんだから、僕も「無茶だけどできますよね?」とお願いできるので。
○小池栄子の姿勢に感動
――初回収録を終えて、東野幸治さんと小池栄子さんのMCのコンビネーションはいかがでしたか?
蜜谷:いやぁ、すごかったです! こちらもスタジオの進行台本を作るんですけど、全然その通りいかなかったですから(笑)。これまで見たことのないコンビで面白い流れになったなと思ったんですけど、小池さんと本番後にお話をしたら、「どうやったらもっとゲストをオイシくできるのか。出て良かったと思われるために私はどういう風にしたら良いのか」ということをおっしゃっていて、「あぁ、そこまで考えて臨んでいるんだ」と感動しました。
中川:2人とも、とにかくドッキリが好きなんだなというのを、見てて思いましたね。もうゲラゲラ笑ってて、コメントを聞いてても2人のちょっと“S”な感じの性格が番組に合ってるなと思いました。誰かがドッキリにかかってるのを、大喜びしてる感じがピッタリなんですよ(笑)
――特に東野さんって、ああいうVTRを見て本当に幸せそうに笑いますよね(笑)
蜜谷:東野さんはMCをオファーするときに、「ウソ臭いドッキリはやりたくない」とおっしゃっていたんですね。何かと規制が多い今の時代にドッキリをやるのは難しいんですけど、そんな中でもやるからには、『ダウンタウンのごっつええ感じ』で歴史に残るようなドッキリを目の当たりにして、自分もかかってきた東野さんが腹を抱えて笑ってくれるものにしたいというのが、ベースとしてあります。だからスタジオ収録でも、東野さんが笑ってるのかをよく確認してますね。
○精度を上げてドッキリのプロ集団に
――『金曜★ロンドンハーツ』(テレビ朝日)や、『水曜日のダウンダウン』(TBS)、特番でも『うわっ!ダマサれた大賞』(日本テレビ)といったドッキリを放送する番組がある中、『ドッキリGP』の新しさというのはどんなところでしょうか?
蜜谷:やはり、「芸能人が仕掛けを考える」というのが、番組のアイデンティティになります。僕ら制作スタッフの経験上、「こんなの成立しないよ」となってしまうものをなんとか実現することで、見たことのないものが生まれるし、引っ掛けられ慣れた人だからこそ分かるようなきめ細かいものを考えられるという狙いがあります。それともう1つ、これによって責任の所在がはっきりするんですよ。だから、ドッキリが全然うまくいかなかったとしても、仕掛け人が責められて、それがまた面白いシーンになればいいなと思っています。
――なるほど。仕掛け人にもスポットライトが当たりますからね。
蜜谷:他にも、僕は子供が生まれて自分が父親になったり、親が高齢になって親孝行したいなという気持ちが出てきて共感するようになったんですけど、タレントさんによっては、ドッキリで相手を喜ばせたいと考える人もいるんです。特番のときに、阿部祐二・桃子さん親子が考えた「大好きなスターが突然家に来たら!?」という芸能人のお母さんに仕掛けるほっこりしたドッキリというのもあるので、そうしたものも織り交ぜて、土曜8時に家族みんなで見てもらえればと思います。
中川:僕は、番組タイトルで「ドッキリ」と銘打って、レギュラーで毎週放送していくので、今後我々はドッキリのプロ集団になってしまうと思うんです(笑)。その精度は、放送するたびにどんどん上がっていくはずなので、それによってまた見たことのないドッキリが増えていくというところも新しいところだと思いますね。
――そうすると、今は四六時中ドッキリのことを考える生活になってるんですか?
中川:常に「ここで今何が起こったら面白いかな」とか「あの人が言ってたことは、ここだったら実現できるかな」とか考えるようになりましたね。あと最近、ドッキリを考える夢を見るようになりました。「あ!いいの思いついた!」って思った瞬間に起きたりする(笑)
蜜谷:分かる! 俺もあるよ。夢の中でメモってるのに起きたら覚えてない(笑)
――「秒でドッキリ」という企画は、短い時間に何連発も放送されますから、本当にロケの数が多いですよね。
蜜谷:普通、ドッキリを芸能人に仕掛けるとなったら、1つのネタで短くても5〜6分、長くて20分くらい放送すると思うんですけど、本当に20秒とかでやりますからね。それによって何が生まれるかというと、大赤字です(笑)。初回は2時間スペシャルで総勢70人くらいに仕掛けていますが、放送尺が短ろうが長かろうが、キャスティング費もロケ隊の費用も一緒ですから、ものすごい効率の悪い番組ですよ(笑)。でも、その分楽しんでもらえるように、面白いところをギュッと恐縮しているので。
中川:先々週なんて、週6日ロケやってましたからね(笑)
――これだけドッキリを仕掛けると、芸能人の方もフジテレビで聞いたことのない番組の仕事が入ると、警戒しだすんじゃないですか?(笑)
蜜谷:そうですね(笑)。そうなったら他局の近くで仕掛けるとか、それを逆手に取ってやるかもしれません。で、それが定着したら、またフジテレビに戻ってくるみたいな(笑)
●デヴィ夫人の頭を燃やす秘密システム
――今回、モニターの裏側から映像を投影するというドッキリが最新技術を投入していると伺ったのですが、他にもそうした新しいテクノロジーを取り入れたドッキリはあるんですか?
中川:パッと思いつくので言うと、デヴィ夫人の頭が燃えるドッキリですね。
蜜谷:あれ、どういう仕掛けになってるの?
中川:教えない(笑)
――プロデューサーにも教えないんですね(笑)
蜜谷:僕、最初にスタッフに向けて、まずみんなが知らない最新テクノロジーをリサーチして集めてみようと言ったんですけど、実際にどう応用されているのか、あまり知らないんですよ(笑)。デヴィ夫人のやつも、最初にフッと煙が立って、その後燃え上がるようになってるんですけど、どうやってるのか分からないんですよね。
中川:これはもう、『みなさん』からの盟友の特殊効果さん、元野猿の飯塚生臣(ジェリー)さんですけど、その人と一緒に3週間くらいかけて作り上げたシステムです。実際に仕掛ける前に、100回以上着火実験やってますよ(笑)
――「こういうのがやりたい!」というのがあって、それを実現するためにシステムを作り上げたんですね!
中川:そうです。あれは、夢を作り上げたんです(笑)。夫人が熱くないような素材を探したり、燃えだすタイミングもこっちで決められるように無線を飛ばしたり、何秒以上燃え続けないといけないとか、前から見てバレないようにするとか、いろんな条件をクリアしてできたドッキリですね。
――やってること、『ガリレオ』の犯人と同じじゃないですか(笑)
中川:新開発の化学兵器とかもチェックするようになりましたね。東京ビッグサイトでやってる新技術の展示会にも行きましたから(笑)
蜜谷:中川はドッキリが本当に好きなんですよ。入社同期で17年目なんですけど、こんなにドッキリが好きだったって、今まで知りませんでした(笑)
――それがレギュラーでできるなんて、念願かなったという感じですか?
中川:最初は思ってました。でも今は大変すぎて(笑)。楽しいですけどね。
蜜谷:まず会議が楽しいですよね。人をどうやって驚かすのかを考えるのって、すごく楽しいんですよ。あの情報をどこで入れようかとか、トークの展開をどうしようとかいうのを考えなくていいんで(笑)
○『めちゃイケ』総監督も気にかけて…
――フジテレビさんのゴールデン・プライム帯で、純粋な「お笑い番組」というのは、この『ドッキリGP』だけですよね。
蜜谷:ADの子たちを見てると、みんなすごく目がキラキラして、楽しそうにやってるんですよ。テレビ局に入って、こういうものを作りたいと思ってる人が多かったんだなって、あらためて思いましたね。
中川:普通ADって、僕らから「あれどうなってる?」ってお尻を叩くことが多いんですけど、この番組に関してはどんどん自分たちでテストしてきたり、前のめりになってるんです。だから、スタッフの空気がめちゃくちゃいいですね。僕自身も、お笑い以外の番組をやったことがないんで、『みなさん』が終わって、情報っぽい番組や真面目なことをやらなきゃいけないのかなと思ってたんですけど、蜜谷から今回声をかけてもらって、本当にうれしいし、ありがたいなと思いました。
――制作側が楽しんで作ってる感じが、画面からも伝わってくるといいですよね。放送枠は、『オレたちひょうきん族』や『めちゃイケ』が放送されていた、いわゆる“土8”というフジテレビさんの看板枠ですが、そこを担うことについての心境はいかがですか?
蜜谷:この前DA PUMPさんのコンサートに行った時、隣が『めちゃイケ』総監督の片岡飛鳥さんだったんですけど、僕に「ドッキリはISSAにかけるだけじゃなくて、他のメンバーにやったほうがいい。純粋で良い子たちで面白いリアクションするから、あいつらをドッキリスターにしたほうがいいぞ」って、コソっと言ってくれたんですよ。このように、社内でも“土8”でお笑い番組をやるということに対して応援してくれる人が多いのを感じるので、面白い番組にしないといけないというプレッシャーはありますが、チャレンジャーとして頑張るしかないという気持ちですね。
中川:もちろん、伝説の番組を放送してきた枠というプレッシャーはなくはないんですけど、とにかく笑えるだけの番組をフジテレビがゴールデンという場で作ったということが純粋にうれしいです。そのために、僕はフジテレビに入ったんだと、あらためて思いました。それと、若手や後輩の社員たちからも「僕もドッキリやりたいです」って声が結構あるんですよ。そういう番組をやれているという楽しさのほうがプレッシャーより勝っているので、1日でも長く続けていけるようにしたいですね。
――では、最後に初回2時間スペシャルの見どころをお願いします。
蜜谷:大笑いもできますし、感動してホロッとしたりキュンとしたりもできるドッキリがギュッと詰め込まれているので、ぜひ家族みんなで見てもらいたいなと思います。
中川:僕が担当している「秒でドッキリ」は、チャンネルを変える暇もないくらい、ドッキリの洪水が来るという今まで見たことのない感じだと思います。ぜひ楽しみにしてもらえれば。