エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

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名物コラムニストのヘイマン氏とスターク氏は大谷推し

 エンゼルス大谷翔平投手は今季打者として打率.289、22本塁打、61打点、投手としては4勝2敗、防御率3.31という二刀流の活躍で、ア・リーグ新人王の有力候補に挙げられている(現地9月28日現在)。2001年のイチロー(マリナーズ)以来、日本人メジャー選手で4人目の新人王は誕生するのだろうか。栄冠を決める投票権を持つ米記者からは、大谷の受賞を確実視する声から迷う声まで、賛否両論が出ている。

エンゼルスのショウヘイ・オオタニが終盤に追い上げて新人王候補に」と特集したのは、地元紙「オレンジカウンティ・レジスター」だった。

 今季開幕直後、投打に渡る活躍で米国で二刀流センセーションを巻き起こした大谷は、ア・リーグ新人王獲得は確実視されていたが、6月に右肘靱帯の損傷で戦列を離れ、賞レースから脱落したかに見えた。だが、7月に打者として復帰以来、類い稀なる才能を発揮。「あらゆる意見を総括すると、エンゼルスの二刀流スターが新人王のトロフィーを獲得する可能性が高いということだ」と、終盤戦の大活躍で一気に大本命に躍り出たと分析している。

 すでに名物コラムニストのジョン・ヘイマンとジェイソン・スターク両記者は、自らのコラムで大谷に投票することを宣言。さらにはMLB公式サイトが賞レースの投票権を持つ米野球記者協会(BBWAA)の記者36人にアンケート調査を行った結果、26人が大谷を新人王1位と格付けしたことも伝えている。

 球界の流れとしては大谷優勢に見えるが、ア・リーグ他球団の番記者から様々な意見が出ているようだ。

怪我で戦列を離れた期間を問題視する声も…

「彼が怪我せずにシーズンを通じてプレーしていたら確実だっただろう」と語ったのは、「シアトル・タイムズ」紙のライアン・ディビッシュ記者。故障期間がありながら、二刀流という偉業に挑む大谷の功績を高く評価した。大谷新人王の鉄板派「サンフランシスコ・クロニクル」紙のジョン・シェイ記者は「予め決まっていたかのようにも思えるが、もはや議論の必要もないだろう」と断言。「彼は投打どちらもハイレベルでこなし、あらゆる球界関係者の視線を釘付けにした」と称賛した。

 その他の新人王有力候補には、ヤンキースのミゲル・アンドゥハー内野手とグレイバー・トーレス内野手が挙げられている。ヤンキースファンはこの2選手の新人王選出を猛プッシュしているが、なんとヤンキースの番記者からも「大谷派」が登場している。

 スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」のマーク・クレイグ記者は「かなりの僅差だが、私はオオタニへの投票に傾いている」と告白。だが、「もし投票権を持っているとしたら、投票する瞬間までこの考えを貫き通せる確信はあまりない」と揺れる心も明かしているという。

 一方で“反大谷派”の声も出ている「タンパベイ・タイムズ」紙のマーク・トプキン記者だ。「オオタニは他の新人の手が届かないほど堅実でいい1年を過ごした。だが、投票する上で引っかかるのは、最良のシーズンを過ごしたわけではないこと。怪我で欠場や短期スランプもあったので、評判通りではなかったとなる可能性もある」とし、右肘靭帯損傷による離脱期間を疑問視したという。

 その他、「ボストン・グローブ」紙のピート・エイブラハム記者、カナダのテレビ局「スポーツネット」のシャイ・ダビディ記者は、大谷を最有力候補に推したという。

 実際に新人王の投票権を持つ記者は、最後の最後まで頭を悩ませることになりそうだ。(Full-Count編集部)