シーズン終盤に入り打撃好調のエンゼルス・大谷翔平【写真:AP】

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右肘靱帯に新たな損傷発覚後、7試合で打率.462

 エンゼルス大谷翔平投手は12日(日本時間13日)、本拠地レンジャーズ戦に渡米後最長の8試合連続スタメン出場。打球速度170キロを超える痛烈なヒット2本で今季20度目のマルチ安打をマークし、チームの勝利に貢献した。右肘靭帯損傷で手術が必要と球団から発表されたはずの二刀流の大爆発に、エンゼルスの打撃コーチは「ヒットを打つのに靭帯は必要ないのか」と驚愕しているという。地元紙「ロサンゼルス・タイムズ」が報じている。

 メジャーの常識を覆す躍動を見せている。2点リードで迎えた3回2死走者なしの第2打席には、先発ガヤードのスライダーを捉え、痛烈なライナーで右翼手の頭上を超える二塁打。打球速度108マイル(約173.9キロ)、飛距離360フィート(約110メートル)の大飛球で2試合ぶり安打をマークした。

 7回には1死走者なしから、右腕バトラーの初球94マイル(約151キロ)の直球を捉えた。一二塁間を破る右前打は初速109マイル(約175キロ)を計測。1本目の二塁打を上回る“ロケット安打”となった。

 エンゼルスが大谷の右肘靭帯の新たな損傷を伝えた5日(同6日)から、大谷のバットは火を噴いている。7試合に出場し、26打数12安打、打率.462で3本塁打、二塁打3本、三塁打1本、10打点、9得点。この期間には自身2度目のア・リーグ週間MVPにも輝いた。

“苦手”左腕も8月1日以降は対戦打率.333

 同紙の取材に応じたエンゼルスのエリック・ヒンスキー打撃コーチは「本当にどうなっているのかわからないよ。ヒットを打つのに靭帯は必要ないのか。彼はスイングしても気にならないようだ」と、ジョークを交えながら二刀流のスーパースターに脱帽したという。さらに「彼は全く(痛みを)訴えてこない。アメージングな男なんだ。打席に立てば、試合がガラリと変わる。間違いなく脅威だよ」と、身長193センチのベビーフェイスのスラッガーが打席で相手投手に与えているプレッシャーを称賛している。

 痛めていた膝の手術に踏み切ったアルバート・プホルズ内野手が戦線離脱。その影響もあり、大谷はこれまで苦手で外れていた相手先発が左腕の試合にもスタメン出場し、打席を重ねることに成功している。記事によると、中盤戦まで打率.170だった大谷の左腕相手の成績は劇的に向上。8月1日以降は24打数8安打、2本塁打、8打点で、この間の対左腕打率は.333となっている。

 ヒンスキー打撃コーチは「彼は左腕相手に出場機会を得られていなかった。左打者は打席に立たなければ左腕攻略は難しい。毎日試合に出れば、成功のチャンスは格段に上がるんだ」と話し、大谷が今後も左腕に順応していくであろうことを予測している。

 靭帯損傷のショックを吹き飛ばし、左腕も攻略しつつある大谷。底知れぬ才能で、押し寄せる難題を軽々とクリアし、卓越した打者に成長し続けている。(Full-Count編集部)