U−21日本代表が、アジア大会の準々決勝を制した。サウジアラビアを2対1で退け、ベスト4入りを果たした。

 日本の2ゴールは、前田大然と岩崎悠人の関係で生まれた。失点は立田悠悟のオウンゴールだったが、そもそもの原因はペナルティエリア内で相手をフリーにしたことにある。不運だが偶然ではなかった。

 ここから先の時間帯が、この試合のポイントだっただろう。1対1に追いつかれたあとに崩れず、粘り強く戦うことができていた。

 森保監督のベンチワークも的確だった。57分と60分の交代は、2点目を取りに行くという分かりやすいメッセージだった。相手より先に動いたことを合わせて、73分の2点目を生み出したと言える。

 ベスト4入りまで勝ち残ったことで、チームは9月1日の最終日まで現地に滞在することになった。準々決勝の相手はUAEだ。
 
 1月のU−23選手権は、中東エリアの強豪国とは対戦せずに終わった。サウジアラビアに続いて中東勢と対戦するのは、チームとしても個人としても今後につながるだろう。
 
 準決勝のもうひとつのカードは、ベトナム対韓国となった。森保監督と選手たちは、ウズベキスタンに勝ち上がってきてほしかったかもしれない。U−23選手権の準々決勝で0対4と完敗した相手に、今大会でリベンジしたい気持ちは強かったはずだ。
 
 とはいえ、ベトナムと韓国も悪くない。
 
 グループリーグで敗れたベトナムとの再戦になれば、これもリベンジの機会になる。
 
 韓国戦はいつだって熱が入る。

 ロシアW杯のレギュラーGKチョ・ヒョヌ、言わずと知れたソン・フンミン、G大阪のFWファン・ウィジョをオーバーエイジで加え、大会のレギュレーションどおりに23歳以下でチームを編成した韓国とは、東京五輪でも対戦するかもしれない。21歳以下の選手たちにとって、とりわけDF陣にとって、ソン・フンミンとの遭遇は価値ある経験となるはずだ。

 ところで、U−21日本代表の活動が伸びたことにより、森保監督の帰国は遅れることになった。来月7日と11日に行なわれる日本代表のテストマッチのメンバーも、現地で(書面で?)発表されることになりそうだ。

 アジア大会が行われているジャカルタに、森保監督は8月12日に入っている。その後行われたJ1リーグの4節分とJ2リーグの3節分は、自身の目でチェックできていないわけだ。

 日本国内にいたとしても、スタジアムで観られるのは1日に1試合だ。首都圏を素早く移動しても、2試合が限度である。多くの試合はスタッフと手分けをして情報を集めている訳で、視察についての影響はさほど大きくないと言えるだろう。

 もっとも、偶然の出会いは少なくなる。

 岡田武史監督が香川真司を日本代表に招集したのは、彼のプレーをずっと追跡していたわけではなく、五輪代表の試合を視察したのがきっかけだった。思いがけない発見をする機会が、森保監督は少ないかもしれない。

 いずれせよ、まずはアジア大会である。サウジ戦から中1日で迎える準決勝で、日本は心身ともにタフさを見せなければならない。