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 婚活ライターをしながら、仲人としてもお見合い現場に携わる筆者が、目の当たりにした男女の婚活事情を、様々なテーマ別に考えてゆきます。今回は、『“運命の出会い”という言葉を使う男の素性』です。

婚活アプリで出会ったイケメンは

 婚活アプリを利用する人が増えています。SNSや大手企業が運営しているものは値段も手頃で、登録している会員数が結婚相談所よりも圧倒的に多い。アプリで出会って幸せな結婚している人たちもいますから、需要が高まるのもわかります。

 しかしながら一方で、婚活アプリで出会った相手に騙され、痛い目にあっている人たちもいます。アプリは登録のチェック機構が甘いので、男性のヤリモク、女性のパパ活、既婚者が独身を装って登録していることもあるのです。

 先日、私の女性会員がこんな体験をしました。

 39歳の伊藤由美子さん(仮名)は、私の相談所に入会して半年になりますが、お見合いではなかなか素敵な男性に巡り会えませんでした。そこで、大手の婚活アプリに登録しました。相談所の活動と並行しながら、出会いの機会を増やすためです。

 アプリに登録したことは、後日、由美子さんから聞かされました。

「“いいね”をもらった男性の中に、見た目がとてもタイプな方がいたんです。背も高かったし、サイト上で何度かやりとりして、お会いすることになったんですね」

 初めてのデートは、横浜みなとみらい、赤煉瓦倉庫近くにある海が見えるテラス席のあるレストランでした。

「テラス席を彼が予約しておいてくれたんですね。席に着くと、沈んでいく夕陽が海をオレンジ色に染めて、とてもロマンチックでした」

 スパークリングワインでまずは出会いに乾杯し、カプレーゼ、カルパッチョ、アヒージョと、おなじみのイタリア料理をつまみながら、お互いの趣味や仕事のことを楽しく話しました。

「海風も気持ちよかったしお酒の酔いも手伝って、すごく楽しい時間でした。彼は、クシャっと笑うとタレ目になって、その笑顔がかわいかった。恋に落ちそうな予感がしました」

 ところが、その男性、お酒のグラスが進むにつて、由美子さんの肩や腰に手を回したり、身体をすり寄せてきたり、手を握ったりと、だんだんとエロ男に変貌していったのです。

「最初は素敵な人だと思っていたけど、出会って2時間弱のうちにボディタッチが始まった。もう目的がミエミエだったので、彼が身体をすり寄せてくると私から離れるようにしていました」

 離れても離れてもすり寄ってくる。そうかと思ったら、由美子さんの頭をグイッと引き寄せ、耳元で囁いたそうです。

「運命の出会いってあるよね。由美ちゃんには運命を感じるんだ。今夜はこれから僕んちにこない?」

 “これは、完璧ヤリモクだ!”と思った由美子さんは、「私、もう帰ります。お会計していただいていいですか」と言いました。そんな由美子さんの言葉に彼はひるむ様子もなく、「じゃあ、そろそろ出ようか」と、テーブルの横にあった伝票をもちレジへ。

 1万円で数百円のお釣りをもらっていた彼に、「おいくらお支払いしたらいいですか?」と聞くと、「4000円でいいよ」と女子割金額を提示され、由美子さんは千円札を4枚手渡して店を出ました。

 駅に道すがら、エロ男は肩を抱いたり腰を抱いたりしながら、さかんに、「今夜は僕の家に行こうよ」とリフレインしていたというのです。それを振り切って電車に乗り、家に帰ってきたそうですが、その後も、「今日の続きはいつする?」とLINEがきたので、そのアドレスはブロックしたそうです。

ボロボロの下着を身につけて行きました

 この一部始終を語った後、「でもね、鎌田さん」と、由美子さんがチラリと本音を吐露してくれました。

「私、しばらく恋愛もしていなかったし、男の人とそういうこともしていなかったから人肌も恋しかった。お酒を飲むとガードも緩むじゃないですか。アプリの彼は見た目がタイプだったから、迫られたら誘惑に負けてしまいそうな気がしたんです」

 そこで彼女は、そうならないように自分を戒める、ある秘策を考えつきました。

「前の晩、お風呂に入った後で身につけようとしたショーツがあったんですけど、ゴムの周りのレースがほつれてみそぼらしかった。もう履けないと思って、ゴミ箱に捨てたんです。

 でも、出かける前に拾い出して、それに履きかえました。ブラジャーも持っている中で一番くたびれたのを身につけました。ボロボロの下着だったら、どんなに素敵な人が現れても、絶対に服は脱がないと思ったから(笑)」

 そして、ヤリモクの餌食にはならずに、無事帰還しました。

出会ってすぐに“運命”という男には要注意

 私のところに婚活相談に来た中には、アプリで痛い目を見た女性たちがほかにもいます。37歳の裕子さん(仮名)は、会員数600人を誇る大手アプリで出会った男性から、結婚詐欺にあいました。

 裕子さんには、「34歳」と言っていたのに、実は54歳で、2度目の結婚をしていました。20歳もサバ読むなんてありえませんよね。

 そこで裕子さんに写真を見せてもらったのですが、“もしかして整形した?”というくらい、シワのない顔立ちでした。さらに驚いたことに、最初の奥さんとの間には、30を過ぎた息子がいて、その息子には5歳と4歳の子どもがいたので、孫までいた! 

 そんな状況下であったにもかかわらず、裕子さんの両親に結婚の挨拶をし、ハワイで挙式をする予約をしていました。

 挙式が近づくにつれ、暴言を吐くモラハラ男に変貌。不審に思った裕子さんが弁護士を立てて、彼の戸籍謄本を取ったところ、事実が明るみに出たのです。このケースは示談金を取りました。

 また、アプリで出会った既婚男性に、性病をうつされた女性もいます。容子さん(39歳 仮名)の体調が悪くなり、病院に行ったところクラミジアに感染したことが判明。それを相手男性に告げると、電話番号やSNS関係の連絡手段をブロックされました。

 ただ悪いことをしたら逃げきれないもので、その男性が勤めていた大手企業に、容子さんの大学時代の親友の旦那さんが勤めていたのです。恥を忍んですべてを話し、彼のことを調べてもうと、なんと2人の子どもがいる既婚者でした。

 しかも2人目は、生まれたばかりの赤ん坊。彼女経由で彼に連絡を入れると、「自分は性病にはかかっていない」と主張され、挙げ句の果てにはストーカー扱いされる始末。こちらは結局、泣き寝入りとなりました。

 こうした男性たちが、女性に出会った時に、まず使う言葉が“運命”です。

「運命ってあるんだね」

「ふたりが出会ったことに運命を感じるよ」

 出会ったばかりで、“運命”もへったくれもありませんよ。“運命”という言葉を使う男性には、要注意です!

鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイト『あいかつハウス』http://aikatsuhouse.grupo.jp/