二刀流やめて打者に「大谷翔平」脅かすエンゼルスのそろばん勘定
「エプラーGMは『手術を避けられることを願っている』と発言したが、3週間後の再検査の結果次第では、トミー・ジョン手術の可能性もある」(メジャー取材記者)
6月7日(日本時間)、ロイヤルズ戦に先発した大谷翔平(23)だったが、右手中指にマメができた影響で、4回に緊急降板。その後、事態は急変。右肘靱帯の損傷で、10日間の故障者リスト入りが発表された。
「事態が深刻なのは、損傷の度合いが『グレード2』だったこと。これは部分断裂を含め、靱帯になんらかの損傷があったことを意味している。大谷はエンゼルス入団直後に、右肘靱帯の治療を受けていたことが判明し、大騒ぎとなった。そのときは『グレード1』だったから、悪化しているというわけだ」(前出・記者)
また、あるメジャー関係者は右肘の故障について、2つの原因が考えられると言う。
「ひとつは、メジャー球が日本のものより重いこと。加えて、対戦するすべての打者に全力で向かっていかないと抑えられない。おのずと肘への負担は増える。もうひとつは、スプリットを多投しすぎたこと。
大谷の真っすぐは160キロを超えるが、球筋がきれいすぎる。大半のメジャー投手は、ストレート系のムービングボールで勝負するが、それを投げられない大谷は、スプリットに頼らざるをえない。
2014年に、ヤンキースの田中将大投手も右肘靱帯の部分断裂で長期欠場したが、これもスプリットの多投が原因だった」
元メジャーリーガーのマック鈴木氏(43)が言う。
「肘は一度損傷してしまうと元に戻ることはないので、メジャーでは『将来のことを考えて早めに手術しておきましょう』と言われることが多い。せっかく球数も100球を超えるようになってきたのに、ローテや投球数などを再考する必要がある。
そうなってくると、首脳陣はしばらくは打撃に専念させようという考えになってくると思う。大谷は左打ちなので、インパクトのときに右肘に負担は小さいですしね」
一方で、エンゼルス側には、営業面の事情があるという。
「大谷獲得で、観客動員数やグッズの売り上げなど、営業収入の大幅アップを目論んでいる。それだけに、今回の怪我は痛すぎる。エンゼルス側は二刀流を断念させて、打者としての出場機会を増やしたい。
ただ、その起用法を大谷がのむか否か。もし大谷が従わなければ、当初見込んでいた営業収益がパーになりかねない」(前出・メジャー関係者)
漫画のような活躍でアメリカンドリームを体現する二刀流男も、やっぱり生身の人間だった。