なりすましアカウントの作品紹介ページ(赤枠は編集部)

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人気作家西尾維新さん(37)になりすました第三者が、ノベル投稿サイト「小説家になろう」に自作のファンタジー小説を掲載する騒動があった。

このなりすましユーザーは、虚偽の刊行情報などを作品ページ上で告知。それだけにインターネット上では、西尾さん本人が「なろう」で新作を発表したと誤解するユーザーも相次いでいた。

「メディアワークス文庫で書籍化」と告知

西尾さんの名前を騙ったユーザーの作品は、「異世界召命『人生ゲーム/オンライン』」というタイトル。「西尾維新(NISIOISIN)」というユーザー名で、2018年5月18日から1話ずつエピソードを投稿しており、6月3日に最終話が公開されていた。

西暦2200年の日本を舞台に、不老不死の超能力者となった人間の戦いを描いたストーリー。作品紹介の欄では、「皆さんの<声>によって完成版が変わります。みんなでつくり上げる僕史上も、世界史上も初の小説になる予定です」。さらには、

「メディアワークス文庫より12月25日第一巻発売予定」
「2022年、春。劇場版アニメーション公開予定」

といったウソ情報まで告知していた。

西尾さんの名前を騙って投稿されたこの作品は注目を集め、「小説家になろう」の総合ランキング(日間)でも5位となっている(18年6月4日昼現在)。さらにツイッターやネット掲示板では、

「名義、そのままで書籍化決まってるなら西尾維新本人なんやろうなぁ」
西尾維新、なろうで書いてたんだ!知らなかった!読もう」
「久し振りになろう見てて、なんかレベルの違う作品あると思ったら西尾維新 コレ多分本物だよね?」

など、西尾さん本人の作品だと信じた様子のユーザーも相次いでいた。

規約違反によりアカウント削除

ただ一方、作品の文体やセリフ回しについて、「そもそも文体が全く似てない」「こんな雑な文章だったっけ?」と違和感を抱くファンの姿も。また、公開当初のユーザー名が本人の使うスペル(NISIOISIN)とは異なる「NISHIOISHIN」だったことから、

「ホンモノならペンネームのつづりを間違えるわけが無い」

との指摘もあった。

実際、書籍の刊行が告知されていた「メディアワークス文庫」を展開するKADOKAWA広報課の担当者は4日昼、J-CASTニュース編集部の取材に対し、「そのような事実はございません」と否定した。

なお、「小説家になろう」運営は4日15時過ぎまでに、西尾さんを騙ったアカウントを規約違反により削除している。このユーザーのマイページにアクセスすると、

「このユーザは規約違反のため、運営により削除されました」

とだけ表示され、作品を閲覧することはできなくなっている。

なお、具体的にどの規約に違反したかは説明されていないが、同サイトの規約にある「禁止事項」には、

「自分以外の人物を名乗ったり、代表権や代理権がないにもかかわらずあるものと装ったり、又は他の人物や組織と提携、協力関係にあると偽って本サービスを利用する行為」

の項目がある。