エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

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並み居る強打者を圧倒する「一流の武器」と認定

 二刀流として打席でもマウンドでも活躍を続けるエンゼルス大谷翔平投手。打席では、並み居るメジャー打者をも驚愕させるパワーと打撃技術が大きな魅力だ。投手としては、もちろん時速160キロを超える剛速球で球場を沸かせるが、同時に対戦打者から面白いようにアウトを奪う宝刀スプリットに大きな注目が集まっている。「今季最もあり得ないヒット 大谷翔平編」と題した特集を組んだのは、米スポーツ誌「スポーツイラストレイテッド」電子版だ。

 登板を重ねるたびに打者の口から「攻略するのが難しい」と称賛されるのが、垂直落下するような変化を見せるスプリットだ。記事では「Shohei Ohtani splitter」とネット検索すると「球界で最もアンタッチャブルな球」「彼を本当に偉大にする球」「フェアじゃないスプリット」など最上級の賛辞が並ぶことを紹介。大谷のスプリットはそんなに素晴らしいボールなのか、動画を用いながら、これまでの登板を検証している。

 結論としては「このスプリットは一流の武器」と認定。これまで投じた44球のスプリットは29.7%という高い空振り率で、今季奪った52三振のうち30個は3ストライク目をスプリットで決めているという。さらに44球のうちインプレーとなったのは14度で、そのうちヒットとして記録されたのは、驚きの1度だけであることを紹介。44球のうち安打は1本だけという事実に、大谷のスプリットを「現実であり得る最も圧倒的な球」と絶賛した。

 さらに、記事ではこの貴重な1安打を振り返っている。5月5日(日本時間6日)本拠地レイズ戦の5回に、ウィルソン・ラモスが打ったレフト前ヒットを「2018年シーズンで最もあり得ないヒット」と命名。大谷のスプリットにようやくバットを当てた打球は、捕球しようとジャンプした三塁手コザートのグラブを弾いてレフト前に抜ける安打となった様子を動画入りで紹介し、「コザートがオオタニのスプリットを被安打ゼロのパーフェクトに抑えるまで、どれだけ近かったことか」と指摘している。さらに、「もし彼がもう少しタイミング良くジャンプしていれば、打者は44打席でヒットゼロだった可能性が高い」と、ほぼ打ち取った当たりだったとしている。

 大谷のスプリットを対戦打者延べ44人目にしてヒットにしたラモスについて、「アナハイムの太陽の下、ホンのわずかな間だが、野球界のキングだった」と“称賛”。攻略のカギは「失投を願い、祈るしかない。ほとんど起きないけれど」と、ほぼないと結んでいる。

「現実であり得る最も圧倒的な球」とまで絶賛された大谷のスプリット。だが、メジャーを代表する打者たちは、そのプライドを懸けて攻略法を探っていくはずだ。そこにまた、見る者を魅了する真剣勝負が生まれるのだろう。(Full-Count編集部)