鉄道車両で世界2位のドイツ・シーメンスと同3位のフランス・アルストムが合併をすることで、現在世界トップの中国中車に強力なライバルが出現すると警戒している。(イメージ写真提供:123RF)

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 鉄道車両売上高で現在世界のトップに立っているのは中国中車だ。2014年に中国の国有企業2社が合併して中国中車が誕生して以来、世界2位のドイツ・シーメンスと同3位のフランス・アルストムを規模で圧倒してきたが、2018年中にこの2社の鉄道事業が合併するという。新会社は中国中車にとって強敵となるのは間違いないだろう。

 中国メディアの今日頭条は29日、この合併は中国中車にとって最大のライバルが出現することを意味するのかを分析する記事を掲載した。記事によると、影響は中国中車のみならず、日立やカナダのボンバルディア、韓国のヒュンダイなどにも波及する可能性が高いという。

 とはいえ、この合併は主に中国中車に対抗するためのようだ。記事は、合併後は必ず中国の海外受注を奪いに来るに違いなく、中国にとって「EU市場に参入する障壁が高くなったのは間違いない」とその脅威を伝えた。記事が特に危惧しているのは、この2社が老舗企業であることにあるようだ。

 中国の台頭前は、鉄道車両業界のトップ3といえばシーメンス、アルストム、ボンバルディアだった。これらのメーカーは中国中車とは異なり、歴史があって基礎も強いと分析。アルストムは中東、アフリカ、ラテンアメリカに強く、シーメンスは中国、米国、ロシアで優勢を保っている。記事は、この合併で「ほぼ世界を網羅する」と危機感を示した。また、技術と製造など特に鉄道信号システムにおいてシーメンスは強く、中国はコストと基礎建設の面で差別化を図っていくことになるだろうと分析した。

 記事は最後に、鉄道会社の競争はますます熾烈になっていくことが予想されるが、「海外にすでに進出している中国中車もますます強くなっていくと信じている」と結んだ。国有企業として国の絶対的な後ろ盾を持つ中国中車。技術と信頼の厚い2社の合併がどのように脅威となるのか、注目されるところである。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)